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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第4章 海原のアクア
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330 溺れる者

 魔王城アクアリウムは、自重のないアクアの暴露話の連続と連動するように崩壊した。

 海というフィールドで解放されるアクアの全力には肝を抜かすほどだった

 アクアを討伐した際に脱出経路を用意されていたという事実。

 ボクが魔王アスモデウスを討伐した際に起こった、敵側の事情。

 そして実りのある少女のボディを持ちながら実年齢六歳というとんでもないカミングアウト。さすがに最期のは嘘だと信じたいけれども。

 とにかくいろいろな常識もろとも、恐怖の象徴である城アクアリウムも崩壊していった。

 ボクたちは魔王(アクア)を推進力とした船任せにヴァッサー・ベスの海岸へと戻る。

 アクア自身は頑なに自らを魔王だとは認めないけれど、あの魔王染みたスピードと魔王染みた莫大な魔力は紛れもなく魔王だから。体感したからこそ、もう魔王としか言えない。

 エリスがアクアに文句を言っているのを見て、元気だなぁと思ってしまったのは年を食ったせいだろうか。僕まだ二十七なんだけどな。

 海岸から改めて魔王城アクアリウムが崩壊している事を確認する。

 今度こそ領主の館に吉報を届け、信じてもらう事が出来るだろう。アクアの事さえ隠し通せれば。

 アクアにはもう、きな臭い噂が広まっている。思うところはあるけれど、ヴァッサー・ベスにいる間だけは身の安全を確保しなくては。

 宿に戻った後、ボクはワイズと共に領主の館へ報告に向かう。

 最初こそ疑念を抱かれていたが、魔王城アクアリウム崩壊の確認が取れたのを機に雰囲気が歓迎する物に変わった。

 翌日に島中を巻き込んだ祝勝会を開くから参加してくれと切に懇願され、勇者パーティ全員で参加すると約束を果たす。

 宿に戻ってからそのことを説明する。エリスが幼い子供に言い聞かせるように、アクアへクドクドと留守番を押してけていた。

 翌日

 正装に着替えたボクらはアクアを宿に残して祝勝会に参加する。贅沢な海の幸に、高級巨大魚の解体ショー。浴びる程の酒に煌びやかな女性の舞。

 臨時の祝勝会とは思えないほど洗礼されていた。

 ワイズがハメを外し、クミンが灸を据える。エリスは雰囲気に飲まれ、酒に酔っていた。勇者からのありがたい一言を無茶降りされたときは焦ったな。

 最後に領主へロンギングからの援助を持ちかけると、とても意外な反応をされた。

 そんな望みなんて持っていなかった……いや持とうとも思えなかったような、疑心に満ちた驚き方だった。

 ボクからそんな言葉が出てくるのが信じられないっていったような。

 後日談だけどワイズが調べてくれた。ロンギングからヴァッサー・ベスにはとても悪い条件で契約が結ばされていた。勇者の恩恵を建前に、一方的に搾取されていたらしい。

 汚職という言葉が頭によぎっては、首を振ってむりやり霧散させる。ロンギングだって一枚岩ではなかったんだ。欲に溺れてしまった人間だって多少は……

 不意にアクアの言葉が引っかかって、めでたいはずの祝勝会は暗雲立ちこめる物と変わってしまっていた。

 そんなこんなでおひらきし、アクアの待つ宿へ戻る。

 晩までには戻ってくるね。と言う書き置きを見つけてエリスが発狂していた。

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