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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第4章 海原のアクア
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314 勇者の刃

 やっと出したね。全力の、ブレイブ・ブレイド。力を溜めていたときから感じてた。攻撃を見て実感した。アレは魔王を滅ぼす一撃だ。

 私は周囲に水を漂わせてから、飛来するブレイブ・ブレイドに向かって発射する。

集中豪槍雨しゅうちゅうごうそううっ!」

 放った水弾を密集した槍の雨に変え、ブレイブ・ブレイドを横殴りに打つ。

「ムダだ。全力で放ったブレイブ・ブレイドは、その程度じゃ止まらない」

 冷めた口調でジャスが宣言したとおり、ブレイブ・ブレイドは一切の減衰もなく槍の雨を切り抜けて進んできた。

 間違いなくやられる。そう言い切れちゃうぐらい凄い圧がある。もう、私の出番も終わりだね。けど。

 水槽へと潜って攻撃から逃げる。全力で泳ぎながら後方を確認すると、水中だろうとお構いなしにブレイブ・ブレイドがついてきた。

「自動追尾の必殺剣だもんね。簡単に逃げられるはずもないか」

 それでも抗って、全力で戦い抜く。アクア・タカハシは強敵だったって、少しでも記憶に残してもらわなくっちゃ。

 水面に浮かぶ巨大な氷塊を、水の流れに乗せてブレイブ・ブレイドにぶつける。スパンと切り裂くだけ切り裂いて、衰える気配は微塵も感じない。

 水中にトライデントを作っても、至る方向から水圧をかけてもなんのその。延々と迫り続け、私との距離が少しずつ縮んでくる。

 勢いよく水面に向かって加速し、水飛沫を上げながら大きくジャンプする。弧を描きながら足場のない所へ飛び込む軌道を確保した。

 上がった水飛沫ひとつひとつを槍に変え、ブレイブ・ブレイドを迎え撃つ。

 足場では勇者一行が私を祈るように見上げていた。

 向こうも必死そう。だけど今一番必死なのは私なんだから。

 水面から飛び出してきたブレイブ・ブレイドは、設置した槍を弾きながら私を追ってくる。

 着水し、水槽の奥へと潜りながら逃げる。

「私の全力じゃビクともしないや。王都ロンギングの時とは段違いの威力。それに、もうすぐ追いつかれちゃう」

 敵わないことぐらいわかってた。でも最後まで戦う。勇者一行が私の弟妹達と戦ったときに、ちゃんと力を比べてくれるぐらいはしてほしから。

 水中を旋回しながらブレイブ・ブレイドとの鬼ごっこを続ける。

 逃げながらは終われない。せめて最後はみんなの見えるところで、正面からぶつかり合おう。

 一際デカい氷塊を水圧で宙へと押し上げながら、もう一度ジャンプする。ブレイブ・ブレイドは真後ろから迫ってる。ここが、見せ場。

 中空でターンをして、全ての足で逆さまに氷塊へと着地する。トライデントを片手に、腰を捻って、全ての足に力を溜める。

 水面からブレイブ・ブレイドが飛び出してきた。勝負だ。

「カジキっ!」

 全力で氷塊を蹴って、ブレイブ・ブレイドへ急降下しながらトライデントを伸ばした。

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