表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第4章 海原のアクア
304/738

303 真正面からの不意打ちを

「まずは開幕挨拶といくかい。ファイアボール」

 アクアを相手にファイアボール? さすがに相性悪すぎじゃないの。

「そんな魔法すぐに消しちゃうんだから。それっ」

 アクアがトライデントを振り上げると床から波が発生し、アタシ達に襲いかかってくる。燃えさかる火球なんて簡単に飲み込まれちゃうよ。

 逃げる心構えをしていたら、ワイズ達の口角が上がった。

 火球は波に衝突すると、あろう事か波を氷漬けにしてしまった。

「えっ嘘っ!」

 驚愕しているアクアに、ジャスとクミンが急接近。とっさにトライデントを構えるアクアだけど、防戦一方まで押し込んでいる。

 けど、なんで凍るのよ。

「おもしろいぐらい技名と見てくれに騙されてくれたな。アレ、炎と氷の混合魔法なんだぜ。って言っても、炎1%に氷99%の代物だけどな」

「はぁ! いくら何でも嘘つきすぎでしょ」

「一応ちょびっとはファイアボールしてんだぜ。表面が燃えてる程度だけどな。エリスも今の覚えとけよ。魔法は応用がいくらでも効くんだかんな」

 アタシに今の真似事が出来るようになれって事? いやいやペテンが過ぎるじゃないの。

「レクチャーはこれくらいにして、ジャス達の援護すっぞ。優勢ではあるけど押し切れてねぇかんな!」

 ワイズが杖を振るうと、火球がアクアに向かって飛んでいった。クミンの大振りをバックステップで躱した瞬間に合わさる。

 凄い。タイミングが完璧。いくらアクアでも避けられないでしょ。

「さすがは勇者の魔法使い。ワイズは嫌らしい攻撃が得意だねっと!」

 トライデントを大振りしながら火球を切り裂き、勢いのまま斬り掛かるジャスの剣を叩きつける。

 今のを捌くなんて。

 ジャスの剣が押し返されたタイミングを、クミンがカバーしながら横振りに斬り掛かる。

 アクアは大きく後転しながら、水圧弾をジャスたちに放った。難なく回避したけど、距離が空いてしまう。

「ワイズ達は退屈させちゃってるよね。ちょっとは歓迎しなくっちゃ!」

 アクアは周囲に水を纏わせると、踊り子のようにグルリと舞う。激しい水の流れは回転の勢いに乗り。大回りに渦を描きながらアタシ達に襲いかかってきた。

「エリス前だ。オレ達への気遣いなんて無用だっての!」

 側面から襲いかかってくる激流を前へ跳ぶことでやり過ごす。避けたはいいけど、後衛のアタシ達が自分から近付かされた。

「このっ、お返しよ」

 勢い任せに矢を放つも、トライデントで簡単に切り落とされる。

「筋はいいけどまっすぐすぎかな。まぁ最初の騙し討ちは焦ったけどね」

 アクアの微笑む様を見るに、まだまだ余裕って感じ。

「よく言うぜ。城そのものに雷属性で自滅するトラップを仕掛けておいてよぉ。騙し合いの方が好みなんじゃねぇのか」

 ワイズが皮肉を返す。するとアクアは首を傾げた。

「私のお城ってそんな効力持ってたの?」

 って、え?

「何しらばくれてんだよ。水属性の材質で作られた城だ。雷なんて撃った日には無条件で感電待ったなしだろうが」

「へー。水属性を前面に出すように建てた方が私らしいってフォーレがアドバイスしてくれたからそうしたけど、たぶんフォーレはトラップありきで口添えしてくれたんだろうな」

 なんだろう。会話がどこかズレてる。アクアの毒気を抜かれる反応はもしかして、本当に狙いなんてなく城を作っただけなんじゃ。

 ワイズのしたり顔がだんだん微妙な表情に変化してゆく。

 ひょっとしてアクアって、本当に純粋なのかも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ