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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第3章 魔王と勇者の輪廻
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275 立役者

「時にコーイチ。足の傷は致命傷ではなくて?」

 子供達との朗らかなやりとりを眺めてたら、チェルが心底心配そうに言ってきやがった。

「足に矢を受けてしまってな。まぁかすり傷だけどな」

「コーイチなら充分に致命傷になり得てよ。早く治療をしないと手遅れになるわ!」

 今更チェルが慌てふためき始めやがった。俺は一体どこまでひ弱に思われてんだ?

 フォーレが急いで歩み寄ると、膝をついて傷を観始める。

「おとー、ズボン破くよぉ。傷は浅いけど太ももあたりをザックリやられてるねぇ」

 葉っぱをカッターのように使ってズボンを切り取る。改めてみると、結構血で染まってんなぁ。

「アクアお水ぅ。汚れを取るよぉ」

「はいフォーレ」

 フォーレがハンカチを手に出し、アクアが水で濡らした。絞ってから丁寧に固まりかけていた血を拭き取る。

「アタイたちだったらほっといてもすぐに治りそぉだけどぉ、おとーにとっては重傷かもぉ。とりあえず薬草を磨り潰して作った傷薬を塗ってぇ、ツタで固定しておくねぇ」

「ぬっ! ぐおぉぉぉ」

「痛むのねコーイチ、身体がビクついていてよ。けどこの治療は命に関わるの。だから辛抱なさい」

 んなこと言ってもチェル。擦り込まれたトコがむっちゃ痛くて染みるんだけどぉ。

「フォーレ……もっとこぉ、ポーションかけるだけで治るとかないのか?」

 俺の訴えを完全無視して処置を続けるフォーレ。

「おとーにはエリクサーでも心許ないからねぇ。地道に治すのがベストだねぇ」

 俺の体質だとエリクサーでもダメなんかい。まぁポーションの効き目が薄いことぐらいもう分かってるけどよぉ。それでもキツいぜ。

「はいおしまぁい。痛かったねぇ、よしよしぃ」

 フォーレは立ち上がると、手を伸ばして頭を撫でてきた。だぁいぶ恥ずかしいんだけど。

「なぁフォーレ。俺を何歳児だと思ってんだ?」

「えっとぉ、三十五歳児かなぁ」

 俺の歳、覚えてたのか。俺が子供の頃って、親の歳なん覚えてなかったんだけどなぁ。

「まぁいいや。ありがとな、フォーレ」

 お礼に頭を撫で返してやる。ほんわかと嬉しそうな微笑みが浮かんだ。

「そういや誰がマリーを仕留めたんだ? シェイか? デッドか?」

 性格からしてこの二人が最有力だろ。次点にグラス、シャインがダークホースだな。

「私だよ、お父さん」

「えっ、アクアが決めたのか」

 完全に予想外だ。競馬なら単勝でオッズが四十倍ぐらいありそうなアクアが仕留めただなんて。

 他の子供達に視線を向けると、それぞれ肯定の仕草をした。約一名伸びているけども。

「私、役に立てたかな?」

 首を傾げながら聞いてくる。青い瞳は不安の色に染まっていた。

 ほーんと、アクアはがんばり屋さんだわ。

 チェルに支えられながらアクアの傍まで歩き、頭をポンポンと叩いてやる。

「よくやった。さすが自慢の娘だ」

 目一杯褒めてやったら、溢れんばかりの笑顔が返ってきたぜ。

「みんなもよくやってくれた。ありがとな」

 全員を見渡すと、それぞれ最高の表情を返してくれたぜ。約一名伸びているけども。

「帰りましょう、コーイチ。私たちの魔王城タカハシへ」

「だなっ、みんな帰るぞー」

 俺はチェルと微笑み合った後で、みんなと隠し通路の地下鉄へと向かったぜ。約一め……

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