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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第3章 魔王と勇者の輪廻
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273 集合

 口を出さず、俺を支え続けててくれるエア。

「俺は重いだろエア。お礼にお前が生き残るか」

 提案すると、満面の笑みで見上げてきた。

「父ちゃんに潰されちゃうほどやわな育ち方はしてないよ。それとウチ、生き残って暮らすビジョンにはピンとこないかな」

「そっか」

 よくよく考えたらエフィーを仕留めちまってるもんな。全力で仇討ちされても文句言えねぇ。

「おっ、どうやらみんなも戻ってくるようだな」

 森を揺るがすような地響きに安堵を覚える。重厚でいて軽快な足音、シャインかな。

「合流ぅ。シャイン止まってぇ」

「何を言うフォーレ。ミー達の逃避行に終わりなどはない。はーはっはっ!」

 高笑いしながら駆けてくるバカ。思わず頭を抱えて溜め息を付いちまった。

「エア、アレを一喝してきてくれ」

「あははっ、りょーかーい。チェル様、父ちゃんをお願いね」

「任せなさい」

 俺を支えていたエアはチェルと交代し、シャインに向かって飛んでいった。シャインに速度を合わせながらフォーレの肩を掴んで離脱させる。

「何をするエア。嫉妬したからと言ってフォーレの幸せを奪うのはまちが……」

 エアはフォーレを安全に降ろしてから、シャインの背に飛び乗る。後ろから両手でアゴを掴み、思いっきり仰け反らせた。

「キャメルクラッチ!」

「のおぉぉぉお!」

 エアのヤツ器用だなぁ。走る馬を相手に関節技(サブミッション)を極めるとは。シャインなんて前を見る余裕もなく暴れ……あっ。

 崖から駆け落ちた。激しい落下音が聞こえた。

 しばらくした後で、ボロボロのエアが照れくさそうに笑いながら、ボロボロのシャインを足にぶら下げて飛び戻ってくる。

「派手にやったけどぉ、大丈夫ぅ?」

「あはは、ちょっとやり過ぎちゃったかな。ウチは平気だよ、フォーレ」

「うぅん……ここが、楽園……」

 意識半ばでうわごとを漏らすバカ。当分は起き上がらないだろう。

「シャインはどこまで幸せな頭をしているのかしらね」

「知らねぇ、覗きたくもねぇな」

「同感ね」

 チェルと一緒に呆れていると、後ろから力強い着地音が聞こえた。振り向くとグラスがアクアを抱えていた。

「ありがとグラス。もう大丈夫だよ」

「フンっ」

 アクアを丁寧に降ろしながらそっぽを向くグラス。二人とも無事に帰ってきたようだ。

「あぁ、平和だなぁ」

「ふふっ、魔王のセリフじゃなくてよ」

 俺の呟きに満更でもない返事を返すチェル。

「ただいま戻りました」

「うわっ、シェイ。いつの間に」

 音もなく隣に立ってるの止めてくれねぇか。心臓に悪ぃんだけど。

「まぁいいや。後はデッドとヴァリーだけか。あいつら遊んでそうで怖いんだよな」

 遊びが過ぎてうっかり()られてねぇか心配だわ。

「撤退する際、悪い癖を発揮していました」

「あちゃー、やらかしてたかー」

「大丈夫よコーイチ。デッドもヴァリーも思っているより愚かではないわ。ほら噂をすれば」

 チェルが視線を向けると、森の向こうからデッドが歩いてきたぜ。背中でヴァリーが手を振ってらぁ。

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