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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第3章 魔王と勇者の輪廻
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268 逃げるついでに

 キヒヒっ。みんな尻尾を巻いて逃げてってらぁ。戦場に残ってんのは僕とヴァリーの二人だけ。コレならうるさく言われずに暴れられるってもんだぜ。

「なぁワイズにクミンよぉ。不抜けた勇者の代わりに、テメェらが遊んでくれんだろ」

 たくさんのザコ共を散らばらせながら前方に魔法使い、後方に戦士が紛れてるぜ。ヴァリーに背中を任せねぇと注意が追いつかねぇ。

「火遊びも大概にしろよガキ共。テメェらだけでもココで討ち取ってやらぁ」

「キャー怖いー。ヴァリーちゃんは襲われないようにー、たくさんの死者(ナイト)に護ってもらわなきゃー」

「被害者を増やされる前に、アンタらを叩き切ってやるよ」

 クミンがヴァリーのゾンビ軍を蹴散らしながら突っ込んで来やがった。

「さすが勇者の仲間だ、おもしれぇ」

 ヴァリーと位置を入れ替え、両手でクモ糸を伸ばして剣を防ぐ。絡んだ。

「キヒヒっ。コレで剣は使えねぇぜ」

「その剣に愛着ないからくれてやるわ。普通の剣なんてそこら中にあるもの」

 クミンは簡単に剣を手放すと、事切れた兵士の剣を拾いやがった。万全の装備じゃないから出来る捨て変え戦法ってか。

「グランドバイト」

「なっ!」

 僕らを囲むように地面から無数の岩の針が湧き上がった。食われる。

「デッド跳んでー」

「わぁってるよ」

 ボフリとヴァリーが背中に跳び乗ってきたのを確認してから、建物の外壁に向かってクモ糸を伸ばす。

 身体を引き上げながらジャンプし、食らいつく大地から難を逃れて壁面へと着地したぜ。

「くっ、器用な野郎がっ」

 ワイズが苦虫を噛んだような表情をしてたが、文句を言いたいのは僕らの方だ。マジで危なかったんだかんな。

 ふと横を見ると、槍で貼り付けにされたマリーがぶら下がっている。

「マリーも凄い執念だったよねー。使えそー」

 ヴァリーが耳元で囁いた。もう死んでんのに使うもクソもねぇように思うんだがな。

「ちと(はえ)ぇが、僕らもそろそろ逃っぞ」

「賛成ー。けどちょっとだけ寄り道してこーよー」

「今更逃げられると思わないで!」

 クミンがジャンプしながら剣を振り上げてきた。僕は屋上へとクモ糸を伸ばして更に跳ぶ。着地ついでに床へクモの巣を貼ってトラップを仕込み、次の屋上へと跳んで移る。

「逃がさなっ……ちぃ!」

 かかった。クモの巣に足を張り付かせたな。

「じゃーねー。ヴァリーちゃん達はお城を見学してから帰るよー」

「おっ、いいなソレ。ついでに寄ってくかぁ」

 僕は追っ手が来ないようにクモの糸を張り巡らせながら、屋上伝いに城を目指した。敵に追いつかれないように撒くのがしんがりの務めだかんな。

 視線を巡らせると、遠目に槍の雨が降っていやがる。

「なぁヴァリー。あそこら辺って何があったっけ?」

「えっとー、確か魔科学研究所だった気がするー」

 別の方向からは悲鳴が聞こえてくんな。

「じゃああっちは?」

「んー……富裕層の居住エリアだったかなー」

「なんっつーかさぁ、僕らって意外と似たもの同士だよなぁ」

「まー、家族だからねー。ヴァリーちゃん達も寄り道しよー」

「だな」

 僕は侵入におあつらえ向けな窓を発見したぜ。

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