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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第3章 魔王と勇者の輪廻
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255 平和記念パレード

 長くツラい戦いだった。魔王を討伐するまでの道すがらはもちろん、見えていないところでも罪のない人々が苦しんでいた。

 たくさんの人がボクに力を貸してくれては、別れたり帰らぬ人となったりしてしまった。

 それでも傷だらけになりながら、死ぬほど痛い思いをしながらどうにか魔王アスモデウスを討伐した。

 魔力を失い、崩れだした魔王城から脱出できて、初めて生を感じられた。おぞましい空気が晴れて、新たな平和の地となったことを肌で感じられた。

 豊かな土地になるよう願い、プラサ・プレーヌとこの地に名付けた。

 そうしてボクは、たくさんの屍の上で平和を手に入れたんだ。

 王都ロンギングに帰還してすぐ、ボクたちの為に凱旋パレードが執り行われた。

 人々は笑顔に溢れ、みんな明るく賑やかだった。

 マリーも弾むような喜びの表情でボクを出迎えてくれた。

 昂揚していたボクは勢いのままプロポーズをし、マリーはためらうことなく受け入れてくれた。

 仲間達から茶化すような歓声を浴びて、もう何も言えないくらい最高だった。

 すぐに盛大な結婚式が執り行われ、世界中が祝福してくれた。

 慣れない正装に身を包み、マリーのドレス姿にドギマギした。ボクは新参の王になった。

 と言っても政治の事なんてからっきし分からない為、マリーに全て丸投げしてしまっている。負担ばかりかけているのに、とてもいい笑顔でボクの為にと働いてくれた。

 いざ平和になると、やれることが分からなくて困る。

 ボクたちはいずれ新拠点のプラサ・プレーヌにホームを移すことになる。

 街造りをするため、ロンギングから労力が派遣された。何しろゼロから城を建築しなければいけない。ボクには大きすぎてどれぐらいの規模になるか見当も付かなかった。

 労力の中には、ボクたちに深く関わってくれた人も含まれていた。

 ボクの主な仕事は用意された文章を読み、選別された書類にサインをし、街を見回って盛大にボクの存在を示すだけだった。

 本当にこれだけでいいのか何度かマリーに聞いた。

「今までツラい戦いを任せてきたんですもの、少しぐらい休んでも誰も怒りませんわ」

 マリーはきっと、その他諸々の雑務を全部引き受けながらボクを労ってくれているんだと思う。折角夫婦になったのだから、もうちょっとボクにも負担を背負わせて欲しいとちょっと寂しく思った。

 

 マリーの頑張りにヤキモキしつつ、気がつけば魔王討伐から一年を迎えようとしていた。

 一周年を記念し、ボクは平和記念パレードを催す。

 ボクの役目はマリーと一緒に馬車に乗り、民衆に手を振って挨拶をするだけだ。音楽隊が結成され、ゆっくりとロンギングを一日かけて行進する。

 魔王討伐してから疎遠になってしまった仲間達は、手紙でパレードを見に来てくれると書いてくれた。

 平和で楽しい雰囲気も然る事ながら、気の置けない仲間達との再会が楽しみで仕方なかった。

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