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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第1章 スローライフ魔王城
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23 子供たちのスキル

 長女・アクア(クラーケン)

『完全人化』『水槍錬成』『水質調整』『経験値ブーストL』

 長男・グラス(マンティコア)

『完全人化』『獰猛獣化』『地形変化』『経験値ブーストL』

 次女・エア(ハーピィ)

『完全人化』『風纏(かぜまとい)』『音色・風』『経験値ブーストL』

 三女・フォーレ(マンドラゴア)

『完全人化』『植物学者』『月下美人(げっかびじん)』『経験値ブーストL』

 次男・シャイン(ユニコーン)

『完全人化』『ユニコーンホーン』『男女差別』『経験値ブーストL』

 三男・デッド(アラクネ)

『完全人化』『テリトリー』『ガキ大将』『経験値ブーストL』

 四女・シェイ(シャドー)

『完全人化』『影潜り』『鉱質化・闇』『経験値ブーストL』

 五女・ヴァリー(スケルトン)

『完全人化』『鏡映人化(きょうえいじんか)』『ボーンマリオネット』『経験値ブーストL』


 ヴァリーのスキルが発覚したことで、俺は急いでモンムスたちのステータスを見て回った。驚くチェルを置き去りに、子供たちのもとへと走る。

 母親たちは驚き(一部では威嚇(いかく)してきたが)、子供たちは俺の登場に身振り手振りで喜んだ。

 そして抱きながらステータスチェックした結果がこれだ。

 日の傾き始めたチェルの部屋。薄暗い橙に染まり、影が細く伸びている。俺は丸テーブルに頭を抱えて座っていた。

 もちろん向かいにはチェルが座っている。

「で、コーイチは何がしたかったの。それとも、目的は達せたのかしら」

「一応やりたいことはやれたぜ。けど、ちょっと頭んなかを整理させてくれ」

 俺は手のひらをチェルに向け、考えた。

 全員に完全人化と経験値ブーストLが備わってやがったよ。スキル(らん)に詳しい説明が書いてないから効力は想像になるけど、完全人化はそのまんまの意味だよな。きっと。

 アクアのイカ足を始め、ヴァリーのむき出しの骨まで。これら全てに適用されるスキルだとしたら、人間の街へ偵察させるのは容易になる。

 けど、ほとんど人間なシェイでさえ完全人化があったぞ。あの状況で一体何が人間に近づくっていうんだ。色白の肌が、肌色にでもなるのか。

 それと一番重要なのは経験値ブーストLだ。よりによってとんでもないスキルを全員が受け継いでいやがった。

 RPG的に考えると、敵を倒す経験値が増えるスキルだよな。それって逆に言うと、敵を倒さない限り成長しないのか?

 いや、ありえないな。

 赤ん坊が幼稚園児まで育つのにステータスの変化がないなんておかしい。成長の過程で日常生活を経験して育つのが普通だ。

 もし、この経験値ブーストLが日常生活レベルの経験にまで反映されていたらどうだ。普通に暮らすだけで他よりも数段成長するのではないか。

 仮定の話だから何とも言えないけど、可能性は充分にある。となると問題は『L』の部分だ。十中八九ブースト量の値だろうが、その大きさがわからない。仮に最大だとしても比較がないから比べようがない。

 倍だったとしても恐ろしく大きな数字だろう。

 ダメだ。経験値ブーストLは考えだけが膨れ上がる一方で収拾がつかない。ここは打ち切って別のスキルについて考えるか。

 見た感じでわかりそうなのもあれば、なんでこんなスキル名をしているのか謎なものも多い。水質調整に植物学者ってなんやねん。職業しか出てこないぞ。ガキ大将もどっこいどっこいだかんな。

 シャインの男女差別に至っては嫌な予感しかしない。マイナススキルだろ絶対。

 まぁ、ネタみたいなのや、かっこよさそうなものは後々でいいや。

 問題はフォーレの月下美人だ。もしも花のままの意味だったら一回しか使えないし、使ったらたぶん……死ぬ。

 生まれたときに花が蕾のままだったのも納得だ。容易に咲いていい花じゃねぇ。これだけはマンドラゴアにも言い聞かせておかないといけないな。

 ふぅ。とりあえずはこんなもんかな。

 考えがひと段落して顔を上げる。オレンジ色に照らされたチェルが、頬に手を添えて微笑んでいた。瞳の赤がやさしく輝いている。

「随分とうなっていたわね。考えはまとまったかしら」

 天使のような表情に胸が跳ねる。あぁ、俺は魔王の娘に惹かれてんだな。

「あぁ。まだ確信はしてないんだけどさ、俺の子供たちはたぶん、化けるぞ」


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