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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第2章 建築!!魔王城『タカハシ』
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204 上流階級の妬み

 コンテストに結果は残せなかったけどー、個人的には大満足だよー。

 鼻につく貴族たちをー、いー感じにおちょくれたからねー。

 ランラン気分でパパの元に戻れるよー。

 参加することに意味があったしー、観客の受けもよかったからご機嫌だねー。兄弟も楽しかったーってお喋りしてるもん。

 ヴァリーちゃんはー、みんなの様子を見ながら一番後ろを歩いていたよー。

 十字になってる廊下を通過しようとしたらー、横から腕をつかまれて引っ張られちゃったのー。それも強引にー。

 ()ったいなー。かよわい女の子になんってことするんだろーねー。ブーブー。

 振り払おうと思えばできたんだけどー、おもしろそうな予感がしたからー、なすがままになってあげたんだー。

 ヴァリーちゃんを引っ張るのはー、コンテスト前にいじめをしていた女の子だったよー。

 顔は覚えていなかったけどー、ドレスは印象的だったからねー。

 無言のままドスドスとー、奥にある部屋まで連れてかれたのー。

 部屋に入るとー、勢いよく壁に投げ飛ばされちゃったー。背中からドンッて(ひど)いよねー。

「痛ったー。いきなり乱暴だねー。でー、ヴァリーちゃんに何か用かなー」

 顔を上げるとー、部屋に控えていた二人の少女がドアを閉めたのー。三人で寄って(たか)ってー、どうするつもりなんだろー。興味あるー。

「用なんてもんじゃないわ。やってくれたじゃない。薄汚れた一般市民が」

「そーよ。由緒正しき高貴なコンテストを土足で踏みにじってくれちゃって」

「この落とし前はどうつけてくれようか。あなたの家族なんて簡単につぶしてやるんだから」

 憎しみでゆがみまっくた顔して脅してきたよー、元は悪くないのに醜い(みにく )もんだねー。

「確かにヴァリーちゃんたちは異質だったかもねー。けどー、あなたたちには関係ないでしょー。表彰台をかすめ取ったわけでもないしー」

 よっぽど身分の高い貴族の子みたいだねー。なんでも自分の思い通りになると勘違いしているみたーい。

 おちゃらけた態度をとりながらー、神経(しんけい)逆撫(さかな)でるように首を傾げたよー。

「黙りなさい。あんなお遊戯(ゆうぎ)のせいで、表彰台に上がっても全然称えられなかったのよ」

「お世辞の言葉ばっかり。気分が悪いわ」

「謝りなさいよ。ドブネズミのように汚いあなたが、土足でコンテストを台無しにしてごめんなさいって」

 一方的な意見ばっかりだねー。聞いていて楽しいやー。だってー、それだけムキに怒っているってことなんでしょー。

「へー、それはヴァリーちゃん知らなかったなー。でもー、話題になっているってことは楽しんでもらえたってことでしょー。だったらいいことじゃーん」

 両手を広げて満面の笑みを返してあげたよー。謝る理由もないしねー。

 気に(さわ)っちゃったのかー、少女たちは目をキッと吊り上げて葉を食いしばったのー。

 カツカツと靴を鳴らして近づいてくると―、勢いよくヴァリーちゃんを引っ叩いたよー。

 こう勢いよくパァンってー。()けようと思えば余裕だったんだけどー、あえて痛みに怯えるフリをしてあげたんだー。

 膝から崩れ落ちてー、痛そーに頬を手で押さえるのー。震えながら怖じおじと見上げるんだー。

「ふざけないで! パパに頼んでここら辺を人払いしてもらったんだから。助けを呼ぼうったて無駄よ」

「素直に謝った方が身のためよ。あんまり強情だと私たち、何をするかわからないから」

 目に黒いものを宿らせちゃって怖いなー。視野(しや)が狭くなっちゃているようにも見えるねー。

 それにー、人払いされているんだー。だったらー、遊んじゃおーっと。

「やめてー、ぶたないでー。痛いのは嫌だからー」

 悲痛(ひつう)を演じて泣き叫ぶのー。演技派(えんぎは)なヴァリーちゃんはー、涙を一筋ツーって流したんだー。

 するとー、少女たちは狂気(きょうき)を含んで笑ったのー。口なんか三日月の形になっているよー。もういじめたくて(たま)らないって顔だねー。

「黙りなさい! ぶたれたくなかったら跪い(ひざまず)て謝るの。この害虫!」

 ダメ押しにもう一発ぶとうとしてきたのー。つい口元がゆるんじゃったねー。誘導(ゆうどう)が簡単すぎるんだもーん。

 打たれる瞬間を狙ってー、ヴァリーちゃんは完全人化を解除したのー。

 土色の光を放つとー、眩しさにキャって悲鳴が上がったよー。けど勢いの乗った腕は止まることなくー、ヴァリーちゃんの頬をぶったのー。

「ヒッ、ばっ……ばっ……」

「またぶったねー。このヴァリーちゃんをー。キャハ」

 ハーフスケルトンの姿にビビってるねー。醜い(みにく )ことは知っているしー、恐怖を(あお)るにはもってこいだよねー。

 腰を抜かして動けなくなっている子もいればー、逃げようと()つん()いになっている子もいたよー。

 ヴァリーちゃんをぶった子はー、(きも)()わっているのか後ずさる程度のリアクションだったよー。瞳孔(どうこう)が小さくなって死相(しそう)が出ちゃっているけどねー。

「どうしたのー。跪かせて謝らせたかったんじゃないのー。このヴァリーちゃんをさー。キャハ!」

 顔を近寄せてー、骨の手で頬を撫でてあげたんだー。するとジョジョジョジョって水音が聞こえたよー。

「ダッサーイ。いい歳なのにお漏らしなんてしちゃったのー。キャハハ」

 けどー、まだまだこんなものじゃないんだからねー。

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