201 気合の衣装
コンテストの控室は思ったよりも広かったよー。参加者全員が集まっているみたーい。
清潔に整っているしー、スペースにも余裕があるねー。
ふっかふかのソファーもたくさん用意されているしー、ウェイターみたいな人も控えているのー。頼めば飲み物を出してくれるもたーい。
「キャハ。ついにコンテストだよー。みんな楽しみだねー。パパが素敵な衣装も作ってくれたしー、気合入っちゃうよー」
ヴァリーちゃんは赤を基調にしたセーラー服風のアイドル衣装なんだー。ヘソチラで胸元におっきなリボンがついててー、スカートはフリルがふんだんのミニなんだー。
「うぅ、ヴァリーはポジティブで羨ましい。私、さっきから足が震えっぱなしだよぉ」
アクアってば自信なさげに俯いちゃってるー。せっかく映える衣装を着ているのにもったいないなー。
セーラー服風でヘソチラなのはヴァリーちゃんとー、っていうか姉妹みんなと一緒だよー。
アクアは青が基調でー、胸元のリボンは細長いのー。スカートはマーメイドスカートなんだー。魚のイメージって優雅だよねー。
「リッラクスだよぉ。場所なんて気にせずにぃ、普段通りにいこぉ」
フォーレは緑のネクタイにー、花が咲いたようなブルームスカートを穿いてるのー。ゆったりしていてかわいいのー。
「ケッ。どうでもいいからさっさと終わらせてぇぜ。なんでこんなことになってんだか」
苦い表情をしながら毒をつくのはデッドだねー。そんな事を言いながらもー、つき合ってくれるから大好きだよー。
兄弟陣はスラッとした学生服の衣装が基本なんだー。
デッドは紫色でー、ブレザーの前を開けているワイルドな姿だねー。長袖長ズボンが似合ってるー、かっこいーやつだよー。
「まぁそういうな。可憐なる末妹のお願いなんだ。盛大に聞き入れようではないか」
シャインは終始ご機嫌すぎて引くぐらいだねー。でもパパの衣装を着ているからかっこいいんだー。馬子にも衣装だねー。さっすがパパだよー。
白色をベースにしていてー、キッチリとボタンを閉めてるから凛々しいんだー。背も高めだから着こなしもバッチリー。
「あはは。ダンスが終わったらシャインと遊びたいな。ホントは今すぐ遊びたいんだけど、疲れさせるわけにもいかないもんね」
エアが技を極めたくてウズウズしていたよー。終わったらなんの気兼ねもなく落としちゃってねー。
エアは黄色い衣装だよー。胸元をちょっとはだけさせていてキュートなんだー。下は黒いスパッツの上に短パンを穿いているのー。活発でいい感じー。
「自分も最後のトドメを手伝いますよ。鬱憤が溜まっているので発散したかったんです」
シェイは怒りを空気に滲ませていたねー。演技中はしまってほしいなー。
黒色をベースにしていてー、リボンの代わりにスカーフを巻いていたのー。フレアスカートは足首まで肌を隠しているだけどー、足首にチラリズムがあってセクシーなんだー。
「シャインの行く末はどうでもいいから、さっさと終わらせたいものだ。俺は堅苦しくて堪らない」
眉間にしわを寄せてー、グラスが迷惑そうにため息をついたのー。
色は落ち着いたベージュが基調なんだー。なのに衣装はー、半袖半ズボンで元気のよさを表に出しているのー。アンバランスさがまたいいよねー。
「なんでみんな平然とできるのぉ。場違いだと思っているのは私だけなのぉ」
「そんなのはぁ、今更だからねぇ」
オドオドと縮こまっているアクアをー、フォーレがバッサリ切ったのー。フォローのつもりだったのかもねー。
周囲を見てみるとー、ドレスを着飾った少女たちがたくさんいるよー。品のよさが滲み出ている貴族たちだねー。
参加リストを見てみるとー、個人で勝負する子がほとんどみたーい。
お家の上下を決めるコンテストなのかなー。それともヒエラルキーを確認させるためかもー。
みんなバイオリンとかの楽器を持っていてー、メイクもバッチリ決めているよー。
ヴァリーちゃんたちはすっぴんだけどー、負けるつもりはないねー。
アクアが怖気づいちゃう理由もわからなくないんだー。ヴァリーちゃんたちは異物だからー、視線が集まっちゃうんだー。
「アクアにアドバイスだよー。他の人たちはどーでもいいのー。大切なのはー、パパに練習の成果を見てもらうことだけなんだからねー」
「パパに」
憂いで逸れていた眉が、少しだけ山なりに戻ったねー。
「そーだよー。実家にいるつもりでエンジョイしよー。失敗しても気にしないでねー」
「そっか。そうだよね。ありがと、ヴァリー」
アクアはパパの事だけ考えてくれたみたーい。肩の力が抜けたよー。そうじゃないと実力半減しちゃうもんねー。
「その調子だよー。まだ演技まで時間あるしー、ヴァリーちゃんは外の空気を吸ってくるねー」
他人の事なんてどうでもいいんだけどー、空気がギスギスでちょっと気分が乗らないんだよねー。楽しいことを考え直さなきゃやってられないよー。
「キヒッ、迷子になんなよヴァリー」
「ご忠告どーも、デッド」
笑顔で手を振って廊下に出たよー。
「ふーっ。テンション切り替えなくっちゃねー。あの参加している貴族の子たちを全員ビックリさせてやるんだからー……あれー」
ドアを背に笑っていたんだけどー、廊下の奥から声が聞こえてきたのー。
「なんだろー。行ってみよーっと」
楽しい予感がしたからー、音を立てずにスキップしたよー。




