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俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第2章 建築!!魔王城『タカハシ』
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138 漂う

 アクアとエアが競争するのを見守りながらぁ、(はす)みたいにプカプカと海に浮かんでいたのぉ。

 二人とも元気だなぁって思っていたらぁ、デッドとヴァリーがバシャバシャって音を立てたんだぁ。

 マズいと思って助けに行こうと思ったんだけどぉ、泳ぎ方を知らないことに気づいたんだよねぇ。

 どうしものないかぁってプカプカ浮かんでいたらぁ、岸が遠ざかったのぉ。

 アクアもエアもぉ、デッドとヴァリーに夢中だったぁ。

 何もできないままぁ、遠い海まで流されたのぉ。

 あたいは広い海にぃ、プカプカと一人きりだねぇ。

 真夏の太陽に冷たい海ぃ。ユラユラと波打っていてぇ、光がキラキラ反射しているよぉ。遠くには岸が見えるんだけどぉ、自力で戻るのは無理そぉ。

 というわけでチェルのメッセージを使ってぇ、おとーにヘルプをお願いしたのぉ。

 だから一安心だねぇ。あたいは信じて待っているだけでいいんだぁ。

 のんびり浮かんでいたらぁ、エアが空を飛んできたのぉ。探しにきてくれたんだと思ぉ。目がキョロキョロ動いているからぁ。

 そしてそのまま通りすぎていったのぉ。あたいに気づかなかったみたぁい。

「あれぇ? もしかしてぇ、見つけにくいのかなぁ」

 エアは三回くらい通りすがったよぉ。後半になるほどぉ、顔に焦りが浮かんでいたぁ。

「あちゃぁ。思ったよりもキビしぃのかもぉ。もしかしたらぁ、シェイも見つけられないかもぉ」

 海を見下ろしてみるとぉ、海底は見えなかったぁ。影が届いている気がしなぁい。

 これはちょっとぉ、みんなを心配させちゃうかもなぁ。特におとーは心配性だからぁ。

 エアとシェイは頼みの(つな)だったと思うからぁ、ガッカリしているんだろぉなぁ。

 グラスはそもそもぉ、泳ぐの苦手みたいだしぃ。デッドとヴァリーは(おぼ)れていたしぃ。

「そういえばシャインもいたっけぇ。その気になったらぁ、ホントに()そぉで困るなぁ」

 まぁ、シャインには期待していないけどねぇ。けどぉ、なんとかなるでしょぉ。

「だってぇ、アクアがいるもぉん」

 確信して微笑んだらぁ、海から巨大な影が近づいてきたのぉ。

 バシャーンて水しぶきが上がるとぉ、三体の巨大な魔物が顔を出したぁ。あたいは囲まれた形になるかなぁ。

「わぁ。逞し(たくま )い子たちだねぇ。みんなおっきぃ」

 リヴァイアサンとオクトパスとジョーンズがぁ、高いところから見下ろしているのぉ。

「こんにちわぁ。強そぉだねぇ」

 手をのんびり振っていたらぁ、海からブクブクあぶくが上がってきたぁ。

 影がどんどん大きくなってきてぇ、プハッて青い髪の少女が顔を出したのぉ。おへそあたりまで水面から出ているよぉ。

「見つけたよ、フォーレ」

「見つかっちゃったねぇ、アクアぁ」

 安心しきった笑顔で迎えに来たからぁ、おんなじくらいの笑顔で返したのぉ。

「みんな心配したんだから。私だって、心配だったんだからね」

 アクアは不満げに眉を寄せると抱きついてきたぁ。あたいも浮き輪が邪魔だったけどぉ、精いっぱい抱き返したよぉ。

「ごめんねぇ。ありがとぉ。この魔物()たちはどうしたのぉ」

「元々この海に住んでいた魔物でね、フォーレを探してってお願いしたら引き受けてくれたの」

 アクアが振り向くとぉ、魔物たちが愉快(ゆかい)そうに笑った気がしたぁ。

 さすがだねぇ。信じていたよぉ。でもぉ、まさかヌシ級の魔物を三体も手なずけるだなんてぇ。しかもケンカさせずにぃ。

 やっぱりカリスマだなぁ。アクアは気づいていないけどねぇ。つい()みがこぼれちゃうよぉ。

「みんなフォーレを見つけてくれて、案内してくれてありがとね。じゃあ、バイバイ」

 アクアが手を振るとぉ、魔物たちはそれぞれ別方向に帰っていったのぉ。

「さっ、帰ろうフォーレ。パパたちが待ってるよ」

 一仕事が終わったところでぇ、勢いよく振り返ったぁ。

「そうだねぇ。けどぉ、泳ぎ方がわからないからぁ、連れていってほしいなぁ」

「うん。わかったよ。一人きりで離ればなれだったんだもん。不安だったよね」

 アクアはあたいの浮き輪を両手で押してぇ、岸へと泳ぎだしたぁ。顔を見合わせているからぁ、後ろ向きに運ばれているねぇ。

「不安はなかったよぉ。絶対にアクアが助けてくれるってぇ、信じてたからぁ」

 だってアクアはぁ、あたいの一番のお姉ちゃんだからねぇ。

「フォーレ。ありがと」

「なんでアクアが感謝してるのぉ。普通は逆だよぉ」

 おかしくって笑うとぉ、アクアも一緒に笑ってくれたぁ。

 あぁ、今日は太陽が暑ぅい、いいお天気だなぁ。


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