表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界で魔王になって勇者に討伐されるまで  作者: 幽霊配達員
第1章 スローライフ魔王城
11/738

10 異様な実験結果

 私の目の前でスケルトンとコーイチが楽しそうにじゃれついている。人の気も知らずに、能天気に。

 正直、実験がここまで順調にいくとは夢にも思わなかったわ。人間と魔族の配合なんて身勝手な酔狂(すいきょう)程度にしか思っていなかったもの。

 だけど現段階で成功率は100パーセント。もともと成功しやすいものだったのか、それともコーイチが特殊なのか。

 もしかしたら私自身のこともわかるかと思ったけれども、下手にとっつくとわからないことが増えるのね。まぁ、私のことはついでだからいいけれども。

 失敗したら失敗したで私の立場が悪くなるけど、ここまで成功してしまうのもマズイ。作った子供が役に立たなければ、使っただけの時間が無駄になってしまう。子供が育つとなれば、5~10年は軽く見積もらなければならない。

 これは、やってしまったのかもしれない。

 結果的に実験が失敗したら、私が魔王の器じゃないって証明になるんでしょうね。

 いけない、酷すぎて笑えてきたわ。全くもってうまくいかないんだから。

 視線を向けると、げんなりしながらも口元が笑っているコーイチがいた。

 コーイチ、ただのさえない男が面白いほど私を狂わせてくれる。いったいどこまで狂わされるのかしら、ぞっとしないわ。

 剣術の練習をしたと思ったら武器に振り回される。鎧は重くて着られない。勉強でさえ全く頭に入っていない。魔法の素質はゼロ。

 こんなダメダメな男に何を期待し、そして恐れているのだろう。私は。

 ボサついた髪は薄くなっていて疲れているし、背も低くて頼りない。服も貧乏くさい村人の服を好む。何より総合的に弱い。

 寝ているときも無防備だし。コーイチが私を襲うと言ったときには、そういう気概(きがい)もあったのかと感心したのだけれどね。逆に私がコーイチを襲うことを全く考えていないんだもの。気分次第でいつでも殺せるというのに。

 わかっていて、コーイチ。あなたの運命は私の手中にあることを。あなたは虫かごの蝶のように(もろ)いのよ。

 ……やめましょう。考えが卑屈だわ。ホント、調子が狂う。

 実験、続けてもいいのかしら。

 でも、もう漕ぎ出してしまったものね。最後までやりきってしまおう。

「ほらコーイチ。じゃれついてないで、そろそろ戻るわよ」

 従順に返事をし、犬が尻尾を振るように喜んで戻ってきた。この男にはプライドはないのかしら。

 私はコーイチを引き連れて部屋へと戻ったわ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ