1.古い店
プロローグ
ある日、天照、月読、須佐之男が生まれました。
父イザナギから天照は太陽の神として高天原を、月読は月の神として夜を、須佐之男は海と嵐の神として海原を統治するように任せられました。
しかし、須佐之男は黄泉にいる母イザナミに会いたい為に大暴れしてイザナギから海原を追放されました。
須佐之男は黄泉に行く前に天照と月読に挨拶しようとまず天照に会いに行きました。
高天原に着くと、須佐之男は何を思ったのか大暴れして物を壊し続けました。
天照は理由を聞き説得しようとしましたが、須佐之男は暴れ続けました。
それを見て怒った天照はある場所に隠れてしまいました。
すると、世界は闇に覆われ始めました。
造化三神はこれはやばいと思い、殆どの力を使い闇に包まれるはずだった世界から新しく創造した世界に闇を移動させました。
すると、その世界は闇に包まれて闇から生まれた闇の生物が至る所に現れました。
そこで、須佐之男を倒せば天照が出てきて闇が消えると思った欲の神ヨクボーンがある事を思いつきました。
その世界と欲深い人間を使い、須佐之男を倒せる人間を生み出せばいいと。
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1.古い店
人間は常に欲に溢れている。
主に三大欲求と呼ばれる食欲、睡眠欲、性的な欲求は中でも誰しもがもっている基本的な欲だ。
しかし、その三大欲求の他にも様々な欲がある。
その欲を我慢する人もいれば、欲の思うがままに一攫千金を狙う人もいる。
そして、己の欲を満たす為に破滅の道へ進んでいく人もいる。
そんな中、神の世界であるゲームが流行り出した。
人の欲を利用して誰が一番強者を生み出せるか。
ルールはそう難しくなかった。
それぞれの神は全世界の中でたった1人の眷属を選び、ある世界へ送り込む。
その世界で与えられる試練を行い、欲を満たすことが出来る度に【神からの贈り物】が貰える。
しかし、それだけではなかった。
神々がそのゲームにハマる理由、それは【神のみぞ知る】ことだった。
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(神の世界)
天照が隠れている場所の前である二柱の神が話していた。
「ねぇ、知ってる?あのゲーム。」
「外から何か聞こえるわ。」
天照は何やら外から聞こえる声に耳を澄ませた。
「知ってる知ってる!あの今流行ってるゲームでしょ?」
「そうそう、人間の欲を利用するゲーム!」
「何それ?私がいない間何か面白そうな事してるなんてずるいわ。」
天照は気になって聞き続けた。
「なんか、人間を一人選んで自分の眷属にするとある世界に自動的に送られるんでしょ?」
「そうそう、送られた後にその世界で生活しながら私達から試練を与えて欲を満たすとその人間に自分の力を与えるんだよね。」
「一番強い人間を生み出した神が…」
そこで話していた二柱の神が何処か行ってしまった。
「何故か急に聞き取りづらいわね…でも、面白そうだわ。」
天照は、自分の眷属になる人間を探すのであった。
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(人間の世界)
ドタッドタッドタッ!
(階段から降りる音)
「やばいっ、やばいっ!初日から遅刻するっ!」
階段から降りて、一直線に玄関へと向かう。
「双葉っ!あんた、ご飯は?」
「いらないっ!父さんは?」
「もうとっくに行ったわよ!」
「何で起こしてくれなかったんだよ!」
「呼んだのに起きなかったのはあんたでしょ!」
うっ…
何も言い返せずに鞄を持ち、急いで家を後にした。
自転車に跨り、立ち漕ぎで坂を下って行く。
すると、会社で必要な大事な書類を持ってきてない事に気が付いた。
キーーーーッ!!
ブレーキを握って止まる。
改めて自転車のカゴに書類がない事を確認する。
まじかよっ…
一瞬、サーっと顔が青ざめる。
とりあえず、急いで引き返して家に戻る。
行きはいいが、家を戻る時に坂を上るのが辛い。
はぁ…はぁ…
前もって玄関に忘れない様に置いておいた書類の入った封筒を忘れるなんて…
家に戻ると玄関で姉ちゃんと出会した。
「双葉、あんた行ったんじゃなかったの?」
「いや、今日必要な書類を忘れて…」
「もしかして、これ?」
玄関の棚の上に置いてある封筒を手に取って見せてきた。
「そうそう、それ!それより姉ちゃん仕事は?」
「休みよ!それより早く行かないと父さん怒るわよ?初日から遅刻したら拳が飛んでくるでしょうね。」
「そうだった…ちょい行ってくる。」
家を後にして、猛スピードで会社に向かって爆走した。
しかし、猛スピードと言っても流石に自転車の速度なんてたかがしれている。
同じ方向に行く車が横を何台も通り過ぎていった。
このままだと始業時間に間に合わない。
しかし、知ってる道ではどう考えても遅刻だ。
そう思い、大通りの道を行って遅刻するか知らない道だけど一か八かで中道に入ってショートカットになりそうな道を行くか一瞬頭によぎったがそうも言っていられない。
中道に進むしかないとハンドルを左に切った。
知らない道だけど方向さえ合っていれば大丈夫なはずだ。
住宅街を進んで行くと、歩きか自転車でしか通らない様な道に入り込む。
その道は会社がある方向に向かって行っている。
これはワンチャン遅刻せずに済むかもしれない。
すると、この細い道の終わりが見えた。
よし、ショートカット成功だ。
そう思い込んだ矢先、急に目の前が切り替わり古そうな家が現れた。
キーーーーーッ!!
家にぶつかりそうになり、自転車のブレーキを咄嗟に握った。
ふぅー、危なかった…
何だ、この家は!?
さっきまでなかったのに、急に現れたよな…
とりあえず、怪し過ぎる家から離れようと周囲を見渡した。
あれ?道がどこにも無い。
来た方向にも道がなく、2階建の家の壁で隙間なく周囲を塞がれていた。
これじゃあ、あの怪しい家に入るしか無いじゃないか…
しかも、遅刻確定だしっ!
はぁ…
額に手を当て、ため息を吐いた。
仕方なく怪しい家の家主に出る方法を教えてもらいに向かった。
近づくと、何やら扉の前に張り紙が貼ってあった。
『古の萬屋 条件満たす者歓迎 満たさない者天罰下る』
古の萬屋って事は店か?
それに、条件って何だ…天罰ってのも気になるし。
入ろうと思ったが、条件も書かれてないし、天罰ってのも怖いから入るに入れなかった。
しかしな…
どうしよう…
モヤモヤしながら時間が刻一刻と過ぎていく。
でも入るしかここから出る方法が分からなかった。
行動しないと何も解決しないと思い、仕方なく入る事を決断した。
木造で出来た古い扉に手を掛けるとバチッと静電気の様な感覚が手に伝わってきた。
変だ…
木造なのに静電気があるなんて聞いた事がない。
手を見て握ったり、開いたりしてみるがまだ手が痺れている。
そのまま扉を開けると、チリンッと鈴の音が鳴る。
その瞬間、不思議な感覚が身体を襲った。
体に浮遊感があり頭がふわふわする。
まるで意識だけが何処かにいっている様だった。
感覚が元に戻ると鈴の音が気になり扉に鈴が付いてるのかと思って見ても鈴はどこにも無かった。
店の中は外から見た外観とは違い、木造ではなく白い壁に覆われていた。
それに、中は神々しいオーラで包まれていて3倍くらいの広さがあった。
部屋を見渡すと、色んな物が置かれていた。
何があるのか歩いて物色すると、陳列棚が至る所に置かれていてその上に骨董品の様な皿や壺、日常で使いそうな雑貨まであって壁には古そうな時計や古そうなポスター等ありとあらゆる物があった。
奥に行くと、受付カウンターがあった。
しかし、誰もいないな…
近づくと、カウンターの向こうに通路があるのが見える。
気になり、通路の奥を見ると扉があった。
その扉には勾玉の模様が描かれていて、その絵が一瞬神々しく光って見えた。
うっ。
何だ?あの絵!一瞬、眩しかったけど…
その扉の向こうの部屋にいるのかもしれないと思って叫んだ。
「すいませーん!」
「…」
何の反応もない。
いないのか…?
もう一回呼んでみる。
「す…」
「はいはーい!なんですのん?」
「うわぁっ!」
「そんな驚かなくてもいいですのん!」
「急に出てきたらそりゃー、びっくりするだろう!って狐?しかも浮いてる!?」
いきなり目の前に宙に浮いている白い狐が現れた。
続




