第9話 『特殊な部隊』の鉄壁の内野陣
部員達を前に偉そうに腕組みをして監督の時のトレードマークのサングラスをかけたかなめはニヤリと笑った。
「おい、オメエ等。今年のアタシのリーグでの目標を言う!ちゃんと聞けよ!聞いてなかったなんて後で抜かしたらグラウンドから出たら射殺するからな!アタシは野球は神聖なものだと思っている。だから野球場にはアタシの好きなタバコも銃も持ち込まねえ。そんぐらい気合を入れて聞け!」
かなめは気合いの入った大声で部員達にそう叫んだ。
「今年の目標。それは『優勝』だ。万年Bクラスだと思われていたうちが去年はようやく5位に入った。しかも4位とは勝ち点が同じ。得失点差の結果の4位だ。うちのレギュラーメンバーが出場した時の勝率を考えれば決して無理な話じゃねえ」
そんなかなめの言葉には自信と確信がこもっている。聞いている誠は身が引き締まる思いだった。
「それに今年は正キャッチャーでかえでを入れる。かえでの肩は甲武国中等学校女子陸上大会やり投げで無敵を誇った実力だ。というかその記録は男子のやり投げの記録より良い。キャッチングの方はこの半年間、かえでが野球協約を無視して金でプロの選手から指導を受けたから問題もねえ。リードもその時に教わった。うちのキャッチャーが穴だとはもう他のチームには言わせねえ」
かなめは視線をキャッチャー用の防具に身を包んだかえでに目を向けた。大きすぎる胸で若干いびつに見えるレガースを揺らしながらかえでは余裕の笑みを浮かべていた。
「そして、次なる穴のセカンド。これはリンが務める。リンもかえでと同じく野球協約をかえでが金でなんとかしてプロ選手からセカンドの守備と打撃について徹底的に勉強させた。指導する相手はなんと言っても現役のプロ選手だ。千要リーグでは『カウラゾーン』とか呼ばれてリーグ一のショートと呼ばれてるカウラの上を行く守備で鉄壁の二遊間を作る……これでもううちの内野の穴はわざとスーパープレーをやろうとしては失敗するサードのアメリアだけだ」
勝ち誇ったようにかなめはそう言い放った。
「誰が穴よ!確かに内野の固定メンバーではサラの次にエラーが多いのは私だけどそれはとても捕れないような打球を捕りに行くからでしょ?そもそもそんな打球なんか捕れませんと諦めてたらあれはエラーにならないわ!凄いって褒めてもらわないと!」
かなめの指摘に無理になってアメリアが反論した。
「おい、オメエは2回真正面のなんでもないゴロをトンネルしたな?そんなサードが穴でなくて何を穴って言うんだ?」
呆れたような顔をしてかなめはアメリアの言葉を切り返した。誠も時々アメリアの明らかに雑な守備には思うところが有ったので静かにうなずいていた。




