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第8話 『特殊な部隊』の立派過ぎる専用グラウンドの秘密

 緊張感に包まれた朝食を終えると誠達部員はユニフォームに着替えて『特殊な部隊』の専用グラウンドに向った。


 そもそもなぜこの一司法執行機関に過ぎない『特殊な部隊』が夜間照明付き専用や旧グラウンドを持っているかということにはあまり自慢してはいけない理由があった。


 技術部整備班長、島田正人准尉。


 彼は彼の尊敬する東和陸軍教導隊教導隊長で現在は機動部隊部隊長兼司法局実働部隊副隊長のクバルカ・ラン中佐にパイロット失格の烙印を押されると彼の勧めで技術者に転向し、その師匠として最適な人物がいるということで東和共和国が仮想敵国としてみなしている遼北人民共和国に技術留学をした。


 そこで島田が出会った天才的女性技術士官は島田にその技術の多くを授けたが、元々ヤンキーで勉強の苦手な島田にはあまり効果が無かった。


 ただ、島田が覚えていたのは技術を陳腐化させないためには自動車をフルスクラッチするということが一番手軽で役に立つということだった。


 東和陸軍から『特殊な部隊』に出向となり、その腕力で強引に技術部長代理兼整備班長の地位に就いた島田はその事を実行に移した。


 最初は運航部の運用艦『ふさ』の操舵手であるルカ・ヘス中尉の『ハチロク』を作ったり、カウラがパワーがあるスポーツカーが欲しいといえば20世紀末日本を代表するスポーツカーである『スカイラインGTR』を作るなど、隊の隊員達のために車をフルスクラッチしていた。


 しかし、島田がただ単に『かっこいいから』という理由で作った『ランボルギーニミウラ』を作った時に状況が変わった。


 自分の技術力とその実車との再現性を自慢するために上げたサイトを見ていた地球の大富豪がぜひこの車が欲しいと言い出し、多額の金額を島田に提示した。


 金に目がくらんだ島田は遼州に駐留している米軍経由で『軍事物資』と偽装してこの車を密輸し、多額の金を手に入れた。


 ただ、島田も公務員である以上脱税は良くないと思って嵯峨に相談して納税だけはきっちりしたが、その段階で島田が天文学的資産を手にしたことが『特殊な部隊の風紀委員』を自称するランにバレた。


 怒り狂ったどう見ても8歳女児にしか見えない副隊長は島田とその部下達に鉄拳制裁を加えると同時にその資産のすべてを『福利厚生予備費』として取り上げた。


 そしてそのとても一行政機関が独占するには巨額すぎる金は『福利厚生』という本来の目的のために使用されることになった。


 その一つがこのあまりに立派過ぎるグラウンドだった。元々『特殊な部隊』の敷地は巡洋艦級の運用艦3隻を停泊させて運用させるだけの広さを誇っている。ただ、住宅街の上を低空で大型艦が飛行するなどという非常識なことが許されることも無く、その広大な敷地だけが残った。


 その片隅にこうして両翼120メートルというまるでプロ野球の試合でも十分できるような立派な専用グラウンドが完成した。


 誠はその異常な過去を思い出しながらかなめの前に整列する部員達の列に加わり、監督のかなめが何を言い出すかを待つことにした。

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