第69話 山道と白いバン
島田はそのままバイクにまたがると快調に回るエンジンに気分を良くしながらヘルメットを被り二車線の海沿いの国道を進んだ。
「いいねえ、海沿いの道。これは来た甲斐があるというもんだな。そして房相半島の山に挑戦……まあ、山と言っても400メートルも無いからエンジンの負担にもならねえだろうからな。それより気になるのは足回りだ……そっちがちゃんと仕上がってるか……県道の道が悪そうなところを選んでいくか……」
そんな独り言を言っている島田がバックミラーを見るとまた白いバンが島田のバイクの後ろを走っているのが見えた。
「なんだよコイツ……運転してるのは……又外人さんで今度は女か……なんでそんなに俺の後をつけたがるの?聞いてこようか……いや、今はこのバイクに集中しよう。俺はバイクに乗りに来たんだ。宗教に関わる為に来たんじゃねえ」
そう言うと島田はヘルメットに内蔵されているナビを操作してあまり路面状態が良く無いという山に向かう県道を選んでそこへ向かう交差点を目指した。
バイクはどこまでも快調で、その後ろを白いバンが一定の距離を取ってついてくる。
「ここで俺が県道に入るところまでついてくるならたぶん俺に用が有るんだろうけど……だから俺は宗教には興味がねえんだよ。まあ、あの運転している外人の姉ちゃんは奇麗だからそっちには興味がある」
島田はそんなことを考えながら山道へと続く県道にバイクを乗り入れた。
最初に広がるのは典型的な農村風景。島田は気を良くしてバイクを走らせる。
白いバンもまた島田の続いてバイクの後ろをついてきた。
「やっぱり用が有るのは俺か……もしかしてこのバイクに何か秘密が……それは無いか……部品の一つまでバラしたけど、怪しいお札も変な薬が入った袋もついていなかった……やはり俺か……一体何の用なんだ?」
そう思っているうちに急に細くなった道は森の中に入り込んだ。
未知の勾配が急にきつくなりエンジンの唸り声も高くなる。
「うん、良い感じだ……路面もここら辺まではしっかりしてるんだな。これから先が結構道路状態が悪いらしい。俺の運転には問題はねえだろうが、いじったばかりのバイクのサスが悲鳴を上げないかどうか……ここは丁寧に乗らねえといけねえな……」
島田は再びつづら折りの山道を走りながらバックミラーを見る。相変わらず白いバンが細い道に苦労しながら島田のバイクを追尾してきていた。
「細い東和の山道には慣れてないな、あの姉ちゃん。典型的なアメリカさんか……厄介なことにならねえと良いが……」
そんな一抹の不安を吹き飛ばすように島田はスロットルを開けて急な山道をバイクを加速させた。




