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第41話 大会社の闇

「私としてもできるだけ早くそちらに納入したいのですが……取締役会でも多くの役員が反対していましてね……まあ、たぶんその原因は嵯峨さんにはお分かりになると思うのですが……」


 武田は少し寂しげな表情を浮かべて嵯峨を上目遣いに見つめた。


「持ち株会社である『菱川ホールディングス』の横槍……その会長を務める菱川重四郎氏は今現在での『方天画戟』を手放すことを望んではいない……『方天画戟』が『菱川重工目立工場』で製造された時はその法術関連のシステムは全て遼帝国から派遣された技術者により製造され、菱川はその技術を直接手にすることが出来なかった。でも、今はそんな監視の目は無い。だから好き放題に当時としては画期的、そしてうちの05式乙型や今度配備される05式改乙型の『法術増幅システム』より効率的でより強力な『方天画戟』の『法術増幅システム』を調べたい放題……徹底的に調査してその技術を手に入れる……まあ、今回の機会を逃せばそんな機会は来ないでしょうし、うちとしても定期的に『方天画戟』のメンテをしてもらうことを考えたらそうなるんでしょうけどね」


 酢昆布を口にくわえながら嵯峨はそうつぶやいた。


「でも、その技術……それが水漏れをしている……しかもよりにもよって地球圏に……武田さん。そんな話はご存じですか?」


 そう言う嵯峨の瞳には策士ならではの鋭さがあった。武田もその眼光に押されて長年の古傷の有る左ひざにやっていた手を戻すと真剣な表情で嵯峨を見つめ返した。


「本社の人間や、技術開発担当の常務はそんなことはありえないというのですが……間違いなくあの態度は何かを現場の人間に隠している感じですね。私は営業として重機械から兵器に至るまでの商品を売り込み、そしてそのサービスセンターのセンター長として繊細な機械がどれほどの管理体制が必要かを学んできた。そして今はそれを作る工場長の職にある。その間に色々と技術開発の専門家の意見を聞きましたが、彼等はその製品のすべてを話すことは絶対にありえない。ユーザーに都合の悪い欠陥があっても平気な顔をして何もなかったかのような顔が彼等には出来る。あの常務もそのくらいのことは当然できる。おそらく嵯峨さんのおっしゃる通り本社は私に隠し事をしている……『方天画戟』のブラックボックスともいえる先進的な『法術増幅システム』は間違いなくどこかに流出している……先週の役員会でもそんな雰囲気を感じました」


 実直な実務家としての武田の言葉に嵯峨は満足げにうなずき、自分の推理の裏付けが取れたというように目を守備練習を終えてダグアウトに帰る『菱川重工豊川』チームの比較的年齢層の高いレギュラーメンバーを見守っていた。

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