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第3話 彼女いない歴=年齢の先輩と彼女持ちの後輩

「おう!来たか!菰田……神前!島田!それにアンもいるな!早く食え!とっとと食って今日は軽くランニングをしてから本格的な練習をする!菰田!もし弁当が不味かったら射殺するからな!」


 朝からハイテンション。かなめは何時にもまして上機嫌でそう言った。


 隊舎で一番広い会議室にはテーブルが並びそこには弁当が一つ一つ置かれていた。かなめの他には弁当を買って来た菰田、そしてこういう時は気が利く整備班員でチームではスコアラー兼外野の控えの西高志兵長と正確には部員とは呼べないのだが、万が一の為に医療班として参加している隊付きの看護師の神前ひよこ軍曹が待ち構えていた。


「あれ?他の女子はまだですか?パーラさんとかは気が利くからこういう時には一番に来るものだと思ってたんですけど……」


 会議室に入るなりすでに弁当を食べ始めているかなめの向かいに座った島田が弁当の蓋を開けながらそう言った。


「他の女子は今、シャワーを浴びています。私は菰田さん一人じゃこの部屋の折り畳み机を出したりするのが大変だと思って高志君と一緒に先に来たんです」


 西と隣り合って座り食い意地の張った島田とは違って他の隊員が揃うのを待っていたひよこがそう答えた。


「おい、菰田!良い機会だぞ!オメエの崇拝するベルガー大尉の裸を拝めるなんて機会はそうそうねえ!覗きに行け!」


 島田はコロッケを口に入れると冷やかすようにひよこたちと同じように弁当を前にそれに手を付けずにいる菰田に向けてそう言った。


「覗きだ?俺がそんな不謹慎なことをする男だとお前は思ってるのか!俺はあくまで純粋にベルガー大尉の事をだな……」


「好きなんでしょ?」


 言い訳をする菰田に向けてあまりこういう時には先輩いじりをしない西がそう言った。菰田はカウラの平らな胸に執着する変態集団『ヒンヌー教団』のリーダーとして認識されていた。そのカウラに対する犯罪すれすれのストーキング行為は全隊員の知るところであり、西もまたそう言った目で菰田を見ている一人だった。


「西よ……いつからそんなデカい口が叩けるようになったんだ?確かにクバルカ中佐の年度末査定は隊で一番お前が良かった。しかし、それとこれとは話は別だ!貴様はまだ10代だろ?それなのに頻繁にひよこさんを連れて月島屋に出入りしているのは俺でも知ってるんだ!あそこは酒を出す店だ!餓鬼が出入りして良い店じゃないんだ!」


 腕組みをしながら菰田は西を怒鳴りつけた。隊の男性隊員のあこがれの的だった新人ナースのひよこと付き合っていることが彼女いない歴=年齢どころか隊の女子隊員から嫌いな男性隊員№1と認定されている自覚の有る菰田の怒りに火をつけた。


「あの店はクバルカ中佐が代金を出してくれるんでそのために通ってるんです。それに僕はあそこでは酒は飲んでいません!ひよこさんも酒は飲まないんで二人ともあそこでは素面です!ただ、あそこの焼鳥の味が忘れられなくて通っているだけなんですから!それより菰田先輩もちゃんと身ぎれいにして、カップ麺以外の昼飯を食べて、多少は運動してその出っ張ったお腹をどうにかしないといつまでたってもカウラさんに振り向いてもらうどころか女性が近づいてくることさえありませんよ!」


 彼女持ちの余裕で嫌味を言う西に彼女がいない島田以外の入って来た野球部員達も同意するようにうなずいた。その全員の菰田を責めるような視線を浴びて菰田はただ黙り込んで俯くことしかできなかった。

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