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第2話 身勝手な姫監督とやる気のない男達

「起きろ!朝飯だ!ごたごた抜かすと射殺するからな!」


 まだ夜明け前だというのに聞きなれた女性のハスキーな叫び声でまどろんでいた誠は目を覚ました。


 朝一で男子隊員に向けて『射殺する!』などと言って起こしにかかる女性は誠には一人しか覚えは無かった。


 彼女は『特殊な部隊』の野球部監督西園寺かなめ大尉。


 サイボーグであり、遼州系第二惑星の貴族制国家甲武国一の貴族の地位『関白太政大臣』の官位を持つ彼女は『自分を狙う不届き者を射殺するため』と称して大概の時はどこにでも銃を持ち歩く危険な女だった。


 ただし、彼女は野球に関してはそれをあまりに神聖なものと考えているので、野球の練習や試合の際には銃は持ち歩かない。その時だけが彼女の同僚たちが射殺の危機を逃れることが出来る時間だった。


 ただし、サイボーグの腕力に物を言わせてどんなことを去れるか分からないのは男子部員達の共通認識なので、誠も隣で眠っていた島田もかなめの声を聴いた途端寝袋から飛び出して立ち上がり始めた。


「寝袋は各自所定の位置に持って行けよ!朝飯は第一会議室で菰田の野郎が買って来た弁当がある。さっさと用意を済ませて第一会議室に集合!」


 かなめはそれだけ言うと気が済んだとでもいうようにハンガーを後にした。


「全く西園寺さんのわがままに付き合わされるのも大概にしてほしいよな。今回は神前達が千要県警に出向していつ帰ってくるか分からないからってことで西園寺さんの顔の効くホテルが取れなかったから合宿は無しだって話だったのに初戦があの千要草野球リーグの万年王者の『菱川重工豊川』に決まったとなるといきなりやっぱり合宿をやると言い出してこの様だ。こんなコンクリの上に寝袋で寝て筋肉痛めたら来週の試合はどうなるんだ?神前、左肩は大丈夫か?『菱川重工豊川』の強力打線に対抗できるのはオメエしか居ねえんだ。こんなところで肩を冷やして投げられなくなったら洒落にならねえぞ」


 立ち上がり寝袋を畳みながら島田は誠にそう言った。


「たぶん大丈夫ですよ。それにしても菰田先輩も大変ですね。昨日は夕方に出かけて行って東都のピッチングマシンを貸し出してくれる店まで取りに行かされたと思ったら僕達より早く起こされて弁当の買い出しでしょ?いくらマネージャーだってそんな扱いはひどすぎますよ」


 誠は寝袋をハンガーの隅の荷物置き場に運びながら島田に向けてそう言った。


「なあに、菰田はカウラさんの為ならたとえ火の中水の中……いくらだってなんだってするんだ。どうせ『野球をしないために産まれたような男』なんだからそれぐらいの事はして当たり前だ。あんな嫌な奴徹底的にこき使って過労死させてやればいいんだ」


 島田はいかにも元ヤンキーのワルらしい笑顔を誠に向けてそう言った。


 管理部の経理課長代理の主計曹長の菰田邦弘と義呪物長代理兼整備班長の島田正人。二人は絶対に相いれない犬猿の仲だった。


 そのことを知っている誠だが、ひたすら隊員達に嫌われて、かなめや愛するカウラにまで良いように使われるだけの存在である菰田には同情することしかできなかった。

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