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理由


「ごめん…………ごめん……」


「……はぁ」


ヴォラは苛立ちを隠そうともせず、息を吐いた。


二人の空気が最悪になる。ラピスも、その空気をどうにかしたそうだが、言葉に詰まっている。


俺は耐えきれず、口を開く


「とりあえずさ、そっちで何とかスライムの奥地まで

行ってもらえるか?

俺達はここから出る方法を模索するから、な?」


「そーだよ!ここで怒ってたってしょーがないしさ、ね?」


「………わかった」


ヴォラはまだ怒りが収まらない様子だったが、

俺達の言葉を聞いてなんとか矛を収めてくれた。


「…ノクスも、そんなに落ち込まないでね…」


ラピスの気遣うような言葉を最後に

2人はどんどん遠ざかっていった。



――ふたりと別れてから、あーし達は結構奥まで来た


「………クソっ…」


ヴォラは壁を軽く殴る。

ヴォラを落ち着かせるために、あーしは軽く声を掛ける


「まだ怒ってるの?…誰もケガしなかったんだしさ〜…」


「……悔しいんだよ」


「…ん?」


「…アイツがあんなになって、何もできなかった。…

私はノクスに誰かを傷つけて欲しくないのに…」


「!…ヴォラ…」


ヴォラなりにノクスの事を信じてくれてるみたいで良かった

これならどーにかなる…


「とりまさ?それノクスっちに言ってあげてよ〜」


「それは恥ずかしい」


「え〜?」


――――ノクスは申し訳なさそうに謝罪する。


「……ごめんなさい、ハンスさん…私…」


「俺は気にしてないよだから少し

落ち着け。ほら、深呼吸しな」


俺はそう言いながら焚き火を作る。

洞窟の中は冷える。


彼女は浅い呼吸を繰り返しながら、自分に言い聞かせるように呟く


「…こんなんじゃだめ、……リーダーなんだから…もっと頑張らないといけないのに…」 


「…」


彼女はいつものあっけらかんとした 

態度が完全に消えて、

今は、ひたすら自分を責めているように見えた。


なんだか見ていられなくて、俺は着ていた上着を彼女に被せる。


「あ、ありがとうございます…でも、私寒くないです…」


「わかってるよ。でもなんか……見てられなくてさ」


「……」


「なあ、ノクスは、なんでリーダーになったんだ?」


「…」


ノクスは深く息を吸ってから、

俺の質問に答えてくれた。


「…べつになりたくってなったわけじゃない。私は……一緒に居たいって思った人を、

パーティに誘ってたらいつの間にかリーダーになっていました」


「……」


「私……向いてないんですよ。リーダー………

私よりも人を見ていて、気遣える、ラピスの方が……

合っている」


…確かにノクスの言う事は理にかなっているのかもしれない。でも、俺は納得ができなかった。


「ラピスは確かに空気を柔らかくできる人間だ。でも…」


俺は言葉を繋げる。


「パーティの利点を一番理解しているのは、ノクスだろ」


「え」


「どんなときでも適材適所で指示ができていた。

ほら、狼山の時も、ここに来る前も」


ノクスは自覚がなかったのか、

たじろぎながら返した


「で、でも、そんなの当たり前ですよ。だって私が2人の事を誘ったんですよ。

そりゃあ優秀なところを知っていて当然です」


「それを当然と言えるのも、いいところなんじゃないのか?」


「…2人も、そう思ってくれているでしょうか…」


彼女は胸に手を当てて俺に問う。


「…ヒステリックになって、こんなことをしてしまう人間を、信頼していてくれるんでしょうか」

 

「あんなに我の強い2人だぞ?信頼してない人間に、ついていくわけないだろ。」


「!そっか…そうなんだ…」


ノクスは少し微笑んで、覚悟を決めたような顔で立ち上がった。


「よし、じゃあここから出る方法を探さなくちゃですね。2人にこれ以上迷惑を掛けたくありませんし、」


「そうだな。でもどうやって出る?」


「うーん……あっ!」


彼女は一瞬考え込むように視線を落とし、思いついたように俺が着せた上着を脱いで差し出した。


「これ、ハンスさんの強化で強くできませんか?」


「え!これを?…でも俺、物に使ったことないからな…」


「じゃあやってみる価値はありますね。お願いします」


「…わかった。やってみる」


俺はノクスに渡された上着に『強化』を使った。


「じゃあ試してみましょう。ほら」


「うわっ!」


そう言ってノクスが殴ってきた!しかも本気で!俺はとっさに上着で防御した。

すると…不思議なことに全然痛くないのだ


「!!あんま痛くない!」


「やっぱり!!じゃあちょっとやそっとじゃ傷つきませんね!上着きて、なるべく遠くに行ってください!」


「わっわかった!」


俺は言われた通りに、上着を着用し、隅っこの壁に引っ付いた。


―ノクスは一度、俺の方を振り返った。そして次の瞬間、壁を派手に爆破した。


「うわっ!…急にやるなよ!」


「ごめんなさい。でも、怪我はしていないでしょう?」


確かに、俺の身体に傷はついていなかった。…やるほどこれの為に上着を強化させたのか…


「早く行きましょう。信じてくれている人への恩を、仇で返さないように」


「あぁ。行こう」


―― 一方その頃、ラピス達は洞窟の奥地まで進んでいた。


「ここが奥だろうな。」


「うん!でもなんか湿気多いね」


「スライムの住処だからな。」


「それになんか焦げくさ〜い」


「………確かに。なんか煙の匂いがするな」


ヴォラがそう言い切った次の瞬間、

火をまとったトカゲみたいなヤツが[グワーッ]と

雄叫びをあげて襲いかかってきた!


「アイツがサラマンダーだ!」


「あんとき鳴いてたやつだね?よーしじゃあ倒しちゃお!」


――――その頃、ハンスとノクスは。


「ねぇ、ハンスさん」


「ん?どうした?」


ノクスの問いかけに答える。

彼女はゆっくり歩きながら、俺に言った


「ハンスさんってなんでパーティに入ったんですか?」


「なんでって…入るときにも言ったけど、俺のスキルじゃ、一人で魔物を倒せないからだよ」


「なら、魔物退治に関係ない仕事をすればよかったのに、どうしてわざわざ戦うことを選ぶんです?」


彼女は含みたっぷりで俺に問いかけた


「なにか…理由があるんじゃないですか?」


「……」


図星だ。

そう、俺には――"目的"がある。

それがパーティに入った第一の要因と言えるだろう。

その"目的"には、俺の『強化スキル』を

利用することが必須なのだ。


「…理由があっても、ノクスに教える必要はないよな?べつに世界征服とかそんな大きな"目的"じゃないからさ」


「……いやですね?私にも"目的"があるんです。それはもう大切な」


ノクスは歩みを止めて俺に振り替える


「きっと、私たちの"目的"は似ていると思うんです」


ノクスは、そう言って微かに笑った。


「…なら、お互い干渉しすぎなくていいじゃないか。君の目的は知らないが、似たようなものなら、きっと応援できるよ」


「…私もですよ」


ノクスはそう言って、少し間を空けてから続けた。


「あと、提案なんですけど…早く洞窟の奥地まで辿り着く方法があるんですけど、やりますか?」


「え、なんだそれ」


「とりあえず、また上着、着てください。」


「わっわかった」


俺は言われるがままに上着を着ると、ノクスは俺の腕を引き寄せて、自分に抱きつかせるような形にした。


「あの…もしかして…また爆破でなんとかしようとしてます…?」


「もちろん。だってその方が速いですから」


「いやいや速さよりもっと大切なものがあるだろ!ってうわーーー」


俺が言うのが早いか、彼女は俺の後ろ側を爆破させ、その勢いで俺達は進んでいく。


俺はただ叫びながら、ノクスに縋り付くことしかできなかった



―― サラマンダーとの戦いは長期戦になっていた


特に魔力が少ないせいで、

岩魔法も使えないし…


「おい!ぼーっとすんな!ラピス!」


「えっ?うわっ!」


ヴォラに言われ、我に返る。

サラマ(サラマンダー)ちゃんがあーしの服に火をつけたせいで、焦げちゃった…


「ハッ!『ウィンドブレーカー』!」


ヴォラはサラマちゃんを鎌で斬りつける!…効いてるっぽいけど、そこまでダメージはなさげ…あーしも負けじと攻撃する


「おやー!ほらみんなも、やっちゃいな!」


あーしは斧でサラマちゃんを固定して、

池田、太田に噛み付いてもらう。

あーしの太田は毒蛇だから、噛まれたらヤバいはず…


『グワーッ』


「わっ、痛そ~ごめんね、早く倒したげるから」


「っ!危ないぞ!ラピス!」


「えっ」


あーしが気づいた時には、サラマに池田を噛まれていた。


「うわー!池田!撤退!撤退だよ!」


残りのヘビを使ってサラマちゃんから離れる。でもかなりヤバい感じ…


「大丈夫か?!ラピス!ヘビは…?」


「う〜わ…酷いや、大火傷だよ〜」


池田の顔は見るに堪えないほど酷く焼け爛れている。


「なぁ…どうする?かなり劣勢だ。

私たちで倒せるかどうか…」


「だいじょーぶ!ノクスっちとハッチーが来るまでの間、時間稼げればいーんだよ!」


「…あの状況で来れるのか?」


「あーし、2人のこと信じてっから!」


「…わかった行くぞ」


その瞬間、ドカーンっと音を立てて、何かがサラマンダーに突撃してきた!


「ぎゃー!!なに!?」 


「…ノクスとハンス?」


ヴォラの予想は大当たりで、2人は爆破と一緒に派手に吹っ飛んでた


「痛ったぁ…」


「すいません、急いでたので…」

 

「おいっお前ら…どうすんだこれ…」


「「え?」」


2人の吹っ飛びと重さで、サラマンダーはもう完全に動かなくなってた

 

「うわー…やっちゃったなぁ」


「……」


ハッチーはヤベって顔をしてたけど、それでもノクスの表情は何も変わらない


ノクスはあーし達に向き直って、

真面目な声で話しかける


「ヴォラ、ラピス。ごめんなさい。 私、信じてくれる2人のためにも、もっと自制を効かせられるようにします」


ノクスは深く頭を下げる。

その対応に、ヴォラは寝違えたのかってぐらい首を触りながら


「…私も、またああいう状況になったら支える。だから……気にするな」


「!ヴォラ…」


「あーしも!!もうこんな喧嘩しないぐらい支えたげる!ノクスっちがあーしたちにしてくれるみたいに!」


「ラピス…」


あーしは二人に抱きついた!

ふたりとも、なんだかいつもより表情が柔らかかった。


ヴォラはいつも嫌そうなのに、今日は笑ってたし…!

ノクスはあーしも初めて見る笑顔で受け入れてくれた。


そうしてると、ハッチーが口を挟む


「…とりあえずさ、池田治しに帰ろうよ」


「…あ!ごめん!早く帰ろ!」


あーし達は急いで街まで戻った


めちゃくちゃ遅くなって申し訳ないです…

次回結構遅くなるかも

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