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初仕事


俺達パーティは今、狼の魔物が出ると噂の《狼山》を登っている。


「なぁ、ノクス。もう数時間は歩いてるぞ…狼も出て来ないしちょっとは休まないと…」


「そーだよ!ヴォラちんがもう酸欠で死にそうなんだよ!」


「………………」


ラピスの言う通り、ヴォラはいつもの暴言や皮肉すら喋れなくなっている。


「うわっ、ホントだ。さすがに休憩しよっか」


ちょっと開けた場所に立ち寄り、焚き火を囲んで休息を取る。


「ほら水飲んでヴォラ。大丈夫?」


「…うぅ…ぐ……あぁ……」


俺は死にかけのヴォラの口にゆっくり水をいれる。

苦しみながらだけど飲めているようだ


「うーん、にしても全然狼の魔物見つかんないね〜」


「そうだね…それどころか魔物すら見てないし…」 


確かに、ここまで見ないのは異常だ。

山や森は魔物の住処なのに…


「もしかしてさー、なんかの理由で強力な魔物が現れて、それでみんな隠れちゃってんじゃない?」


「はぁ…あぁ…あるかもな……異常に……少な…すぎる……」


ラピスの意見に死にかけのヴォラが口を挟む。

無理するなよ…


「それならそれで、その強力な魔物をぶち殺せばいいだけだよ。」


「覚悟がすごいなぁ…」


「それがノクスっちのいいところだかんね〜」


俺達が感心していると、ヴォラの引きずられたような声が聞こえてきた。


「なぁ……お前ら………」


「お、どうした?生きてるか?」


「なんか……音が聴こえないか?」


「え?」


そう言われて耳を澄ましてみると、

微かにではあるが、大きな足音のようなものが聞こえてくる。しかも…


「これ…近づいて来てないか!?」


「あぁ……ヤバい…」


「ヤバ〜!どうするの!?ノクスっち?…ノクスっち?」


「……フフ……」


ノクスはラピスの声など耳に入っていないようで、期待に胸を弾ませるような笑みを浮かべた。

次の瞬間、彼女は空に向かって爆破を放ち始めた。


――それには合図も、警戒も、作戦もなかった!


「うわー!ノクスっちがいつもよりおかしくなっちゃったよ!」


「おい……そんなことをしたら…魔物が寄ってくる……!!!」


「何言ってるの?寄ってこないと意味がないでしょ?」

  

ヴォラの絞った雑巾みたいな声を聞いても彼女には響かないみたいだ。

その状態のパーティメンバーがいる時点で思い留まってほしい……


「1人負傷してる状態で、戦おうとするな!」


「大丈夫です。私なら勝てます。」


「どこから来るんだその自信!!」


俺は彼女を止めに入る。しかし彼女は止まらない…

前から思っていたが彼女は一度アクセルを踏んだら止まらない…いや止まれない性格のようだ。


「あっ…!」


「おっ、ほら来たみたい」


上を見上げると、5メートルほどのデッカい熊の魔物がそこに立っていた。

俺達3人は青い顔をしていた。


そんなことは知らぬとノクスは

デッカい熊に爆破を仕掛ける。


「うわっ……」


…その攻撃の仕方は酷いもので、目や腹など急所になり得そうなところを局所撃ち。そのせいで熊の目元や腹が火傷で爛れ始めている……


「……前はあんな酷い攻撃してなかったよね…?いつもああなの…?」


俺は恐ろしくなって2人に尋ねる。


「う〜ん…アクセル全開なんだろうね。(笑)テンション高いとああなるよ」


「…気持ちが悪いよな………あいつ………」


「もうヴォラちんは喋るのやめときな?悪化するよ?」


「なるほど…」


戦況を見てみると、熊もやられっぱなしではなく、ノクスの身体には確かに傷が増えていく……

……が彼女は痛がる様子もなく、ただニコニコで熊の目を狙い撃ちしている。

…熊の方がまだ慈悲があるな……


「…なぁラピス…殺してやってくれないか?あれじゃあまりにも……」


「えぇ〜しょーがないなあ〜

じゃあ、強化して?」


「わかった。頑張ってくれよ」


俺はラピスを強化した。

彼女は持ち前の斧を掲げながら髪のヘビたちに話しかける。


「よーし!やるよ!池田、山田、川田、太田!」


「そんな名前だったのか…」


ラピスは頭のヘビを器用に伸ばして

熊の首を狙う。


「はぁ!」


熊の首が綺麗に切り落とされた。


「やったぁ!…あれ」


切り落とされたはずの首の断面からニョキニョキと新しい熊が生えてきている。

なんて気持ちが悪いんだ…


「うわぁ!キモ!なに?!熊ってこんな復活するの!?」


「いや、普通はしないはず…」


「ぐぐぐ……あれは……トカゲ尻尾熊だ…どこを切っても、切った断面からトカゲの尻尾みたいに復活するんだ……!」


そんな種族がいたのか……弱ってるくせに、無駄に詳しいな……


ノクスはその情報を聞いて、爆破をやめ、ヴォラの方を見た。


「……断面がなければいいってことだよね?」


そう言ったと思ったら、今度はラピスに向かって命令を始めた。


「ラピス。貴方の岩魔法でペチャンコにして」


「わっ!わかった!『アレキサンドライト』!」

 

ラピスがそう言うと、熊の頭よりちょっと大きめの岩が、上空から熊めがけて叩き落とされた。


「うわぁ…こりゃひどい…」


熊はペチャンコになっていた。

いや確かにそれを狙ってたんだろうが…


「良かった、ありがとうラピス」


「ううん!ノクスっちに言われなかったら焦って何もできなかったよ、ありがとう!

…あとヴォラちんも教えてくれてありがとう!ハッチーも強化してくれてありがとう!」


1人の感謝から全員に返したな……できた子だ…


「でも、ハッチーのスキル、地味すぎて、使ってんのか分かんなくなるんだよね〜」


「…俺の『強化』は、元の強さに応じてだいたい四倍くらいになるんだ。

でも感覚じゃ分からないし、もともと強い人なら、そこまで必要にも感じないだろ?」


「あら、そんな感じだったんですね。最初にもっと聞いとけばよかったなぁ」


「まぁ強化されることが重要だからそこは別にね。」


……しかし熊の魔物が現れるなんて、一体どうなっているんだ?


そもそもこの地域で、熊型の魔物が確認された記録はない。狼が出る、という話だったはずなのに……。


「……あのトカゲ尻尾熊……本当はこんな山じゃなくて、森に居るはずなんだが…」


「えっそうなの!じゃあここにいるの生態系的にヤバくね?」


「……とりあえず、魔物の件はギルドに報告しよう。」


「そうだね。それがいい。素材回収してくるよ。」


こうして俺達はギルドに報告しに戻った。


…しかし、居るはずのない魔物が居るなんて…なんだか嫌な予感がする。


……まぁ、俺にはどうでもいいか



改行を少し増やしました。前の方が見やすかったら教えてください。

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