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向き合う

――――俺達が家に戻ると、ノクスが出迎えてくれた。


「おかえりなさい。

ヴォラが話があるらしいですよ」


「はなし〜?」


俺達はノクスに案内されるまま、

目的地へ向かう。

そうして歩いていると…


――ヴォラが飛び出してきた!


彼女は出会った瞬間、ラピス掴みかかり、興奮した様子で話す


「グェッ」


「おい、お前ら!凄いニュースがあるぞ!」


「ど、どうしたんだ一体!」


俺は取り乱すヴォラを引き剥がしながら事情を聞く。


「調べてみたら、トカゲ尻尾熊も、サラマンダーも通常の個体とは細胞が違うんだ!」


「うう…それがなに?…」


ヴォラはラピスから離れ、息を整えてから俺の質問に答える。


「つまり、今まであった魔物は

誰かが作ったクローンの可能性があるわけだ。」


「?なんで」


「アレじゃないか?偽金貨が本物の

金貨とは細部が違うとかじゃないか」


「んーなるほど?」


ラピスはあまり理解できてないようだったが、

多分しっかり説明されればされるほど

分からなくなる気がする…


「ねぇ…」


「?どうしたノクス。」


ノクスはゆっくりと続ける。


「私、その誰かに心当たりがある」


「え!?マジ?!」


「その人はマグニフィクスのメンバーの1人で、」


「…つまり、マグニフィクスと関わりを持つ機会が欲しいってわけか」


「はい。」


ノクスは頷いてから続ける。


「ハンスさんは確かSランクですし、

私はリーダーさんと交流があるので、すぐに組ませてくれると思う」


「なるほど…」


ほかパーティと合同依頼をしようと思ったら、パーティ同士の了承と同じランクの人が居ること。

つまり今ならちょうど条件に合うということだ。


それはいいが、俺の元仲間がマグニフィクスであることは教えておいたほうがいい。


俺は元仲間のこと、

ヴォラの想い人もそのパーティにいること。

そして、町での出来事を説明する


「…じゃあ、私も覚悟を決めるしかないな」


俺の説明を聞いたヴォラは手を握りしめて、力強くそう言った。


――ノクスの言う通り、ギルドにお願いしたらすぐに合同パーティを受理してくれた。


古びた廃教会で、俺達とそのパーティは歩く。


マグニフィクスのリーダーが俺達に

話しかけてくる。


「君たちに、この依頼について再度

説明してあげるね。」


言葉の節々で見下しながら、コイツは話を続ける


「ここは、大型の狼の魔物が住み着いている。しかも二匹。で、その片方を君たちに任せるために合同パーティを組んだ…勝てるよね?」


リーダーの見下した目にノクスは真っ直ぐ答える。


「もちろんです。私達なら勝てます」


「ふーん、そう。お荷物さん達に

足引っ張られないといいね」


「……」


ノクスは反応も示さず、ラピスの隣を歩く。


「ねーねーノクスっち!

ヘビの血液型がAかBしかないって

知ってた?」


「へー知らなかった」


ラピスは見下されても気にせず、

ノクスにくだらない話をし続けている


「……」


サナレはヴォラに気づいている様だったが、関わろうとしない。

今はあっちのパーティのチャラそうな男と

なにか話しているみたいだった


「…おいお〜い、誰かと思ったら俺専用の荷物持ちのハンスじゃ〜ん?」


「うわっ!……ムニス」


俺がサナレ達の会話を聞いているのを邪魔する

ように、ムニスは俺に肩を組んで話しかけてきた


「なぁ〜?こっち見ろよ」


「…うるさいぞ」


俺は手でムニスの口を塞ぐ。

不満げにモゴモゴ言う彼は無視して

俺はノクスに声を抑えて話しかけた


「ノクス、ヴォラとサナレのこと、何かしたほうがいいと思うか?」


「いえ、今のところサナレさんの事情も分かりませんし、ひとまずは様子見ですかね」


「そうだな…」


ノクスの言う通り、とりあえずは

2人の行方を見守ることにした。


そう思っていると、ラピスがちょんちょんと

俺の肩をつつく


「…ねぇねぇハッチー?その人とは

どーゆ関係なん?」


「ん?あぁ…ムニスのことか」


俺は口に置いていた手を離してムニスの名前と

元パーティの幼馴染だということを説明した。


「へー、あーしはラピス。

よろしくね〜ムニムニ」


「変な呼び方すんな!」


「い〜じゃん。かわいいし〜(笑)」


…少し相性が良さそうなのが複雑だったが、俺はこの隙にムニスから離れて歩く。


この廃墟は、狼の魔物に怯えてか

弱い魔物はほとんどいない。

…仮にいてもマグニフィクスの人が

倒してくれる。


見ている限りリーダーも、

『聖剣』のスキルだけあって

剣の腕は一流だ

俺達はほとんど仕事せずに、教会を

進んでいくことができた。


歩いていると、2つに別れた道に

ぶつかった


「二手に別れて行こうか」


とリーダーの意見で、

俺、ムニス、サナレ、ヴォラ、チャラそうな男の5人と

マギカ、ノクス、ラピス、リーダー、気弱そうな男の

5人で別れて進んでいくことになった。


――俺たち5人は黙って歩いていく。

サナレとヴォラはとても気まずそうだったし、ムニスもチャラ男の手前、俺に話しかけにくいようだった。


そんな気まずい空気を壊すように、

チャラそうな男が声をあげた。


「サナレちゃん達もですけど〜

ムニスくんたちも、お揃いのものを身に付けてるんすね」


「え?」


チャラ男は、俺とムニスが付けている腕輪を指差した。


この腕輪は幼い頃、魔物退治の決心をしたときにムニスと2人で買ったものだ。


「おかしくはないっすか?なんで追放してきた人とお揃いなんすか?」


チャラ男はニヤニヤしながらそう言った。


そして、俺に近づいて囁くように


「やっぱ、未練がましいんすか?」


「……」


…なんて言えばいいのかわからない。

だってずっと付けていたから、

付けていたことさえ忘れていた。


…でも未練といえば確かにそれはあるだろうな。

だってこの腕輪は俺とムニスの絆の

ようなものだったから


「…」


「なんとか言ったらどうなんすか?」


…面倒くさい絡み方をされたな…


「…おいっ、2人で話してんじゃねーよ!」


そうしていると、ムニスは俺とチャラ男の会話に割り込んで来た。


「こんな奴に構うなよフールトゥム!こいつと話したところでなにも得られないぞ。それにこいつは〜」


そのまま俺の悪いところをどんどん言ってチャラ男をまくし立てる


「ちょっ、落ち着いてっすよ〜」


チャラ男は困った顔でムニスをなだめようとしていた


…ムニスは相変わらずだな…


「…おい!お前ッ!後ろ!」


「え?」


ヴォラがムニスに向かって

声を張り上げる


「な…狼の魔物!」


そう。ムニスの後ろに立っていたのは俺達の目的、狼の魔物だった


5mほどの狼の魔物は、

その大きな腕でムニスを壁まで

勢いよく投げ飛ばす。


「ぐわぁ゙!」


「ムニス!」


ムニスは悲鳴をあげてそのまま気絶してしまった。


サナレがいるから治せるはず…

頭で分かってはいるのに、俺はあまり

冷静になれない


とにかく、俺はサナレに向かって


「サナレ!ムニスを治してやってくれ!」


「あっ…!うん!」


サナレは焦りながらもムニスに駆け寄って、スキル『治癒』を使う


ヴォラもスキルを使うサナレを

守るように『飛行』を使って飛び上がり、狼を鎌で斬りつける。


攻撃自体は効いた。が、狼の爪で

彼女も斬り返されてしまった


「ッ!…舐めるな、犬ころが!」


ズシッと狼の首にヴォラはしっかり

傷をつける。


流石ヴォラと言うか、全然彼女は怯まない。本当に強いな…


いやっ、それでもこのままだと彼女は

狼の攻撃に押されてしまう…


「ヴォラ!俺がスキルを使う!だから頑張ってくれ!」


「っ!分かった!早くしろ」


言うが早いか、俺は彼女に『強化』を

使う。


強化されたヴォラは、さっきよりも

力強く狼に斬りつける


サナレの方も見てみると、

ムニスの傷も治し終わったようだった


…が、サナレは俺とさっきとはなにも

変わらないのに強くなったヴォラに、

その細い目を見開いていた


「えっ?ハンスくん…スキルがあったの…?」


「……そう…だったな…知らなかったな」


「…なんで…教えてくれなかったの?

一緒に戦う仲間だったのに…なんで…」


「……」


サナレの痛々しい声に

心がズキズキ痛む…


「ごめん…サナレ。俺にも、事情があったんだ。言えない事情が…」


「……ハンスくんのことだもん。

なにか考えがあっての上だったんだよね?」


彼女は、優しい声で語りかける


「…大丈夫だよ。私は、ハンスくんの

友達だもん。隠し事一つぐらいで怒ったりしないよ」


「サナレ…」


「まぁ、教えては欲しかったけどね…」


…そうだな。サナレは…とても優しい人

だった。気弱で流されやすいところもあるけど、俺の大切な友人…


だから俺は、踏み込まなくちゃいけない。


2人が向き合える、最初で最後の

機会かもしれないから


…絶対に2人が隣に立てるようにする…!


「…サナレ、お願いがあるんだ。

友人として」


「え?どうしたの…?」


俺はサナレに向き合って、

覚悟を決めて腹から声を出す


「頼む。ヴォラと向き合って話してくれないか?」


「っ!…それは……」


俺はサナレの言葉を半ば遮るように

続ける。


「なんでヴォラをそんなに避けるのかは俺には分からない…でも、

彼女はずっと、お前のことを…!」


「…!」


「一度だけ…一度だけでいいんだ…!

話をして、サナレがどうするかは

サナレ自身次第だ。でも…」


俺はサナレと真っ直ぐ目を合わせる。


「ヴォラの話を一度も聞かずに、

逃げるのはやめてやってくれ。

お願いだ…」


「……ハンスくん……」


サナレは俺の目を見つめて黙り込む。


でも、確実に心は揺らいでいるよう

だった。


――バーーーン


大きな音とともに、ヴォラが床に叩きつけられる。


「!!ヴォラちゃん…」


「ッ!…魔物はムニスになんとかさせる!だからサナレはヴォラと話し合ってくれ!」


「わっ…分かった…ありがとう」


サナレはヴォラを抱えて割れた窓から

外に出ていく。


…二人なら大丈夫だ。

きっと、向き合える


書くのにかなり時間が掛かってしまい申し訳ないです。次も書いている最中ですが、恐らく遅くなると思います。


良ければ気軽に待ってくださると嬉しいです

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