追放
不定期ペースで連載していきます。
見てもらえると嬉しいです。
この世界では、魔物に対抗するためにスキルと呼ばれる力を使う。
だから冒険者は一人じゃなく、パーティを組むのが普通だ。
そして今、俺たちは――
デッカいカエルの魔物と戦っていた。
「行くぞお前ら!」
パーティリーダーのムニスは、剣を掲げ宣言する。
「うん!」
「アタシに任せなさい!」
「みんな、頑張ってくれ〜」
皆が士気を高めている中、俺は荷物持ち兼応援係だ。俺のスキルでは、俺自身は戦えないので、これはしょうがない。
「おい…ハンス…」
「…わかったよムニス。」
コソコソと剣士のムニスは俺に合図を送る。俺はスキル『強化』を使った。
「燃やし尽くせ!『ファイア』!」
彼女の杖から怒涛の勢いで炎が噴射されていく。
「うわぁ…すごい……
あっ!マギカちゃん!足ケガしてるよ」
確かに彼女の言った通り、マギカの足に火傷があった
「は?!うそ、治してよサナレ!」
「もちろん『ヒール』!」
「よ〜し!この間に俺が…!」
ムニスの剣が、普段なら弾かれるはずの硬い皮膚を、あっさりと切り裂いた。
「やっぱりお前のスキルは優秀だな〜」
「そう思ってるなら、2人にも俺のスキルのこと教えてくれよ」
昔から変わらない褒め言葉に懐かしさを覚えつつも、俺はカエルの素材を集めながら反論した。
「いや、オレは威厳を保たなくちゃいけないんだ。お前のスキルで強くなってるなんて知られちゃ困るんだよ!」
「わけわかんねぇ…」
そう。こいつの謎のプライドのせいで、俺の強化スキルは存在すらほかのパーティーメンバーに教えられていない。
ムニスは幼馴染だし、俺のスキルを一番理解してくれてる奴だとは思ってるんだが…変にプライドが高いのがこいつの駄目なとこだ。
「ねぇちょっと!男2人でコソコソやってんじゃないわよ気持ち悪い。早く帰りましょう」
マギカは気が強く口も悪いが悪いやつではない。
「気持ち悪いは言い過ぎだよ……ハンスくんアイテム回収はバッチリ?」
「うん。バッチリ拾ったよ」
サナレは気が弱く打たれ弱いが優しいやつだ。
「よし!じゃあ帰るぞお前ら!」
俺達は戦利品を持ってギルドへ向かった。
「お〜! かなりの大仕事をこなしましたね〜。これはSランク、いっちゃうんじゃないですか?」
ギルドの受付嬢の一言で、俺達は酒場みたいにうるさくなった。
「やった!!」
「マジか!?!?」
俺とムニスが同時に声を上げる。
「うるさいわよ男ども」
そう言いながらも、マギカも満更ではなさそうだった。
この国の冒険者は、魔物討伐の実績でランクが上がる。
Sランクになれば、王宮絡みの高額依頼だって受けられる。
「…よし!ギルドマスターに昇格してもらってくるので、名刺を貸してくださいな!」
「なんか…夢みたいだね…Sランクだなんて…」
彼女はSランク表記になった名刺を眺めている
「アタシもそうよ。サナレ…だって実感わかないもん」
「マ、マっマギカ、おおおお落ち着けよ」
「震えながら言ってんじゃないわよ」
動揺している俺たちの中で、ムニスだけは自信満々に
「オレはわかってたぜ?なんせオレがいるからな」
「ハハ、ムニスらしいな。」
「まったくね」
「アハハ…」
俺達は実感のわかないまま、宿で眠りについた。
うぅ…もう食べられない…
「おい。起きろハンス。」
「うぅ…なんだよムニス…今日は別に仕事もないだろ…」
「とにかく起きろ!俺達から話があるんだ。」
「も〜なんだよ…」
「ついてこい」
重い腰を上げ、目をこすりながら彼についていく。
一体朝からなんだって言うんだ…
ついて行った先はパーティでよく行っている居酒屋だった。女子2人はすでに来ていたようだ。
「で、話って何だよ?」
「実はな?お前には…パーティを抜けてほしいんだよ」
「………はぁ?!」
理解ができない…ムニスは俺のスキルの力を一番理解しているはずだ。
なのになんで…
「ごめん。でもアンタは戦闘も補助もできないし、Sランクの依頼を受けるにはあまりも危険だって話にもなったのよ」
「うん…あとね、ほかのSランクパーティに合併の誘いをうけたの。それで…」
「お前みたいな弱いやつがいるとパーティの質がさがるから抜けさせろって言われたんだよ」
マギカとサナレまで…でも、
正直いつか2人にはこんな風に言われると思っていた。一番の問題はコイツ…
「お前…!ムニスは俺のスキルの強さを
一番知ってるはずだろ!?」
「そうだな。お前の力はよく知ってるよ。なんせ5歳のときから一緒にいたんだから」
「じゃあちょっとは擁護しろよ!!!!」
「うるさい!!!とにかく抜けてくれ!」
「お前…ほんっとに…!!!」
「2人とも、落ち着いてよ…」
「そうよ。それに元はといえば、アンタたち2人で始めたパーティなんでしょ?ちゃんと話し合って決めなさいよ。」
言い争いを始めた俺達を、2人は冷静な言葉で止めた。
「…わかった。ハンス行こうぜ」
「……」
俺達は人通りの少ない道に向かった。
「で、お前。どういうつもりだ?俺がパーティの能力強化してるの知ってるだろ?」
「…」
「おいっ、何とか言え…」
「ごめん!!!!!!」
「うわうるさ」
「違うんだよ〜!!だってさ?格上パーティのバカ強そうな人にさ?"あんな雑魚は切り捨てろ"
って言われたら断れるわけないだろ!!!!」
「お前さぁ……」
……ああ、そうか。
こいつは昔から、こういう男だった。
変なプライドに負けて断れなかったんだろう。
なんてこいつらしいんだ…
「本当はそんなパーティなんか入りたくない!!!!ぶっちゃけ断りたい!」
「じゃあ断れよバカが」
「断れるわけないだろ!!!!このオレが!!!!!」
「……元はといえば、普通に俺が強化スキルでみんなをサポートしてるって話すればこんなことにはなんなかったんだぞ…」
「うるせー!!頼むよ…ちょっといないでいてくれたらそれでいいんだ。そしたらオレたちの弱さに呆れてクビになる。その時に戻ってきてくれたらいい」
「……わかったよ…お望みどおりやめるよ。」
「え!!マジ!!!」
「そのかわり……もう二度とお前の力にはならないからな。」
そうして俺は、15年間いたパーティを追放された。




