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第49話 うわさ

「……ねぇ、ミッケ。何か今日、おかしくない?」


 一夜明けて、買い忘れたマナポーションを今日こそは買ってくると言ったティルミオを冒険者ギルドに送り出し、いつものようにティティルナはミッケと店番をして居たのだが、今日のカーステン商店への客の入りはいつもより明らかに悪かった。


 いつもなら大体のパンが売り切れている昼過ぎだというのに、まだ半分以上もパンが売れ残っているのだ。


「確かに暇だにゃあ。皆、お腹一杯にゃのかにゃ?」

「うーん、そうなのか……なぁ?」


 そんな風にティティルナとミッケは呑気に構えていたのだが、しかし事態は思ったより深刻だった。

 バンっと勢いよくドアが開いて、血相を変えたフィオネが、店に飛び込んできたのだ。


「ティナっ!!」

「えっ、フィオネ?!こんな時間に一体どうしたの??まだアカデミーの時間じゃないの??」


 大きな音にビックリして、ミッケは一目散に物陰に隠れた。

 そしてティティルナも、まだアカデミーの午後の授業時間だというのに店に現れたフィオネに大変驚いて居たが、そんな彼女たちの戸惑う様子など構わずに、フィオネは鬼気迫る様子でティティルナの両肩をガシッと掴んで詰め寄ったのだった。


「どうしたも、こうしたも有りませんわ!!今日、アカデミーで酷い事を言われましたの!貴女がアカデミーに来れないのは、家のパン屋で違法な物を売って役人に捕まったからだなんて言うんですのよ?!ありえませんわ!!」

「どうしてそんな事になってるのよ!!」


 余りのことに、フィオネに釣られてティティルナも大きな声を上げてしまった。


 違法なことは何もやって居ないし、ましてや捕まっても居ないのに、何故その様な事を言われなければならないのか全く持って意味が分からないのだ。


 するとフィオネは、一つ息を吐いて呼吸を整えると、ティティルナその疑問に酷く悔しそうな顔で答えたのだった。


「それが、どうも街で変な噂が流れてるみたいなの。」

「噂……?」

「えぇ。ここの店の商品は、違法な物を扱ってるから危険だって……」

「何で?!!」


 ティティルナは、あり得ない噂の内容に驚いて再び大きな声を上げてしまったが、構わずにフィオネは話を続けた。


「この間、お兄様や役人さんが立て続けにここのお店に来たでしょう?それを見たって人が、尾鰭をつけて触れ回ってるみたいなのよね。」

「あーっ……その件はともかくとして、でもパンが違法な物ってのは有り得なくない?!違法も合法も無くない?!」

「粗悪な小麦を使って、それを誤魔化す為に、中毒性のある違法な材料を混ぜ込んでるだとか……」

「そんなことしてないわ!!」


 ティティルナは、何を馬鹿な事を言ってるんだと憤慨してまた大きな声を出してしまった。


 すると、そんなに何度も大きな声を出しているティティルナを心配して、物陰に隠れたミッケがビクビクしながら再び姿を現すと、心配そうに擦り寄って彼女を見上げた。


 そしてフィオネも、ティティルナの怒りに同調しつつも彼女を心配し、余り刺激しない様に出来るだけ冷静に、この理不尽な状況の詳細を伝えたのだった。


「勿論ティナがそんな事していないのは分かっていますわ!でもね、皮肉なことにここのパンが美味しいことが、その噂の真実味を後押ししてるのよ。何度も食べたくなるのは、怪しい薬が混ざってるからだって。馬鹿げてますわ!!」

「どうしてそんな……」


 余りにも酷い言い掛かりに、ティティルナはもはや言葉を失ってしまった。


 なんで自分たちがこんな悪い噂を立てられるのかも分からないし、そして何より、その噂をお客さんが信じてしまった事がショックで、ティティルナは今にも泣きそうだった。

 

 すると、その時だった。


「どうやら、ティナ達は、厄介なのに目を付けられたみたいだね。」

「フィオンさん!」「お兄様!」


 店の様子を見に、フィオネの兄フィオンが新たな情報を持ってやって来たのだった。

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