迷惑メール
毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。
Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)
出会い系の迷惑メールが来る。迷惑メールと分かるのは迷惑メールボックスに最初っから入っており、初回からLINEのIDを書いてくるからだ。どこからメールアドレスが漏れたのか知らないが、まあ来るようになった。
最初は興味本位で登録してみた。向こうから「どこに住んでるの?」と聞いてきて、○○に住んでいると答えると、「近所だね! 会おうよ」と言ってくる。そして、スマホが壊れたので交換するからこのLINEは使えない。代わりに出会い系サイトを紹介してそこで連絡取り合おうよと言ってくる。
まあ、みんながみんな同じように出会い系サイトに誘導してくるのでバカバカしくなった。大体、初回のLINEのIDが先頭に@が付くのですぐこれ系統のサクラだなとわかる。QRコード送ってくる奴も居たが同じだった。
ある日、受信メールの方に女の子から@なしのLINEのIDがついたメールが届いた。興味を持った僕は連絡取ってみることにした。
――どこに住んでいるんですか?
先手を取って聞いてみた。
――東京です
あれ? 近くじゃないけど正直だな。
――今度、そちらへ行くので案内して貰えませんか?
こちらの所在を教えるとそういうメッセージが来た。
――いいですよ。あなたのことを教えてください。
そして、やりとりが始まった。僕はこれは本物かも知れないと思い始めた。プロフィールがしっかりしていた。
――通話して良い?
――ちょっとなら。
若い女性の声が通話に出た。ちょっと話して満足する。マジっぽい。
僕は彼女が来るのを期待するようになった。
待ち合わせの当日、僕は精一杯のオシャレをして待っていた。
すると、ハイエースがやってきて、運転手の女性から「乗って」と言われ乗ったら、見えなかった後ろからスタンガンで麻痺させられて男達から拘束された。
なんでこんなことするんだと聞くと内臓抜いて売り飛ばすという話だった。
通りで、持病について聞いてきたりしたわけだ。適格者を探していた様だ。
いや、適合者が居れば売り、不適合だと処分するとのこと。
僕は甘かったよ……
Kindle Unlimitedの「気軽に読めるショートショート集第4号」に収録