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第三話 育成始めました

皆さんこんにちは、アクセル野田です。

今回は投稿が遅れてしまい大変申し訳ございません。

ブクマして待っていただいていた方にはより一層申し訳ないです。

今日、土曜日にイレギュラー投稿させていただき、明日もいつも通り最新話を投稿しようと思っていますので、待っていただいていた分、一気に二話読んじゃってください。

スピーディーに仕上げられるよう努力しますが、その分クオリティも落ちないように気を付けます!

それでは、本編お楽しみください。

 第三話「育成始めました」



 後日、学校にて


「おい夕、なんなんやあのチート級のエンブレムは。」


 いつになく訝しげな顔で歩は詰め寄る。


「俺に聞かれたって分からへんよそんなん…」


 困り果てた顔をしている夕陽に、歩は状況を整理するよう促す。


「とりあえず、そのエンブレムはかなり運が良うないと手に入れられへんもんなのは分かる。」


「おう、それは説明読む限りそうっぽいな。」


「うん、それでや、俺が教えた村で唯一のレベル上げ要素のクエストあるやん?」


「あるな。あれ大変やったわぁ、お陰でレベルはだいぶ上がったけど。」


「ただただNPCのばあちゃんの家のネズミを退治するだけのあのクエストやで??」


「せやな。一応あいつも敵扱いやしちゃんと経験値が2入るしな。」


「たったの()やで?!()!!」


 歩は呆れた顔でその場にしゃがみ込む。


「第一なんで最初の草むらに出てレベル上げせんかったん?俺が自分のメインストーリー進めとる間にマルコ君っていう人と確か最初らへんに仲良うなっとったよな。」


「うーん、なんかさ、俺は最初に自分が満足するまである程度強なってから進めたいタイプやねん。マルコ君は途中まで付き合ってくれてたけど結局村の外行かはったな。」


 真剣な眼差しで夕陽は答える。


「そうか、なるほどな。まぁなんにせよこの事は俺ら二人だけの秘密にしとくんやで。隠しエクストラ職業なんて多分まだ未出情報やろうしな。」


「それもそうやな。それに、この職業になれたんは歩のお陰でもあるし感謝してるで。職業アサシンやったし。」


 その一言に歩は少し悪い顔をして夕陽に再び詰め寄る。


「そうやんなぁ?とゆうことはや、夕、俺が何を言いたいか分るよな?」


 歩は夕陽の方に手を回してニヤニヤしている。


「なんやニヤニヤして気持ち悪いな。」


「たまにでええからさ、俺のレベル上げに付き合ってくれ!頼むわ!!」


 夕陽の目の前で両手を合わし頼み込む歩。


「はいはい、それくらいやったら別にいつでもええよ。手伝ったるがな。」


 夕陽の言葉に歩は文字通り飛び跳ねて喜んでいる。


「ありがとう!ほな早速今日もいつもの時間から一緒にやろ!約束やでぇ!」


 ~~~~~~~~~~~~~~~~


 帰宅後…


「ふぅ~疲れたぁ~、歩のやつだいぶテンション上がってたなぁ。」


 ベッドに寝ころびながら、夕陽は自分のアカウントデータをスマホで眺めていた。


「自分でもこんなチート能力手に入るとは思わへんかったなぁ。ただ初期刀使ってたら愛着沸いたから、使い続けてたなんて誰も思わへんやろうし。」


 その後、お風呂と夕飯を済ませた夕陽は、予定より少し早めにゲームを始めた。


 いつものように初期の村の自宅に降り立つ。


「この部屋もだいぶ様変わりしたなぁ、村のクエストクリアして、小っちゃい家具屋さんで色々家具揃えたしなぁ。」


 最初は見窄らしい椅子と机があっただけの夕陽の部屋は、綺麗な新木をこしらえた丈夫な椅子と机に様変わりし、簡単なキッチンのようなスペースも出来上がっていた。


「そろそろこの村から出て、広い世界を見てみよかな。マルコ君も二つくらい先の村におるみたいやし。」


 向かいの家に住んでいる案内係のNPCであるグレイスに律儀に挨拶を済ませた後、鑑定士のおじさんがいる小屋で『臆病戦士』に転職し、Uは村を後にした。


 転職時、鑑定士のおじさんが隠しエクストラ職業について注意点をいくつか教えてくれた。


「隠しエクストラ職業というものはな、世にほとんど転職できるものが存在しない稀有な職業であり、とんでもなく凄い恩恵を受けられるものなんだ。」


「なるほど、確かにこの前説明見た段階でもやばかったしな…」


「つまり何が言いたいかというとな、本当に信用できるもの以外には、そのエンブレムと職業のことは口外しちゃ駄目だということだ。肝に銘じておきなさい。」


 その時のおじさんの眼はかなりマジだったので、Uはその言葉をしっかりと肝に銘じておいた。


 村から出て5分ほどすると、大人一人サイズ程の高さの柵が、横方向に遥か彼方まで続いている場所にたどり着いた。


 柵から先の方には、鬱蒼と生い茂った草むらがあり、いかにもモンスターが襲い掛かってきそうな雰囲気がプンプンとしている。


「まだワンタンと合流するのには時間があるし、ここで軽くレベル上げでもしてみよかな。」


 レベルを上げる前に、Uは自身のステータスを確認してみることにした。


「多分まだレベルも低いし大したステータスではないやろうけど、一応…な?」


 -------------------------------

 プレイヤー名 U


 職業 臆病戦士 Ex.JOB Lv.1


 HP 15 MP 5 攻撃力1003 防御力 22

 素早さ 12 器用さ 40 命中率 26 ★隠密度 63


 NEXT Lv 15Exp


 ※★はその職業固有のステータス

 -------------------------------


「いや、やっぱり攻撃力えげつない、エンブレムの恩恵受けてても半端ないわこれ。」


 改めて自身のステータスを見て、Uは目ん玉を引ん剝く。


「とりあえずや、ここら一帯のモンスター狩りまくるぞおおお!!」


 草むらに入って早々、RPGの代表雑魚モンスターであるスライムが現れた。


「とりあえず、一回切ってみるか。」


 右手に装備している木刀を握りしめ、スライムに切りかかる。


(どちゅっ)という鈍い音とともに、スライムがはじけ飛んだ。


 それとともにスライムを討伐したウィンドウが映し出される。


 獲得経験値は15、レベルアップの軽快な音も流れる。


<おめでとうございます!レベルが2にアップしました!>


 該当するステータスが上昇し、Uの体が淡く光る。


「おぉ、なんか分からへんけど凄いぞこれ。レベル一瞬で上がったやん!」


 その後も一心不乱にモンスターを狩り続け、1時間後…


<おめでとうございます!レベルが20に上がりました!>


「え、もう20??転職前の戦士にもうレベル追いついてもうた。」


 改めて自身のステータスを確認すると、新たなスキルが加わっていた。


「んん?隠密状態と隠密攻撃以外に、隠密移動が増えてるぞ、なんやこれ。」


<『隠密移動』常時発動。移動時に、敵に気づかれずに移動しやすくなる。>


「これはだいぶ便利やなぁ、そういえば隠密攻撃ってやったことないな。」


 適当な敵に試すべく、草むらの中でも特に強い、蛇型モンスターのイーターパイソンを探すU。


「あいつはこのレベルでもいまだにワンパンで倒せへんからな。」


 身を潜めながら草むらを移動し、発見したイーターパイソンの背後につける。


「隠密攻撃どうやるんか分からへんけど、恐らく今は気づかれてへんからできそうやな。」


 イーターパイソンの頭頂部が白く光り、隠密攻撃が行えることを示す。


 それを確認したUは、静かにイーターパイソンの頭頂部を木刀で突く。


 すると、<Assassin Attack>の文字が現れ、イーターパイソンが一撃で倒れた。


「すげええええええええ、めっちゃかっこいいやんこれ!!」


 意外とすんなりできたことに驚きながらも、初めてのことに興奮が隠しきれないUであった。


 ソロ行動もそこそこに、その後ワンタンと無事合流し、二人でレベル上げを永遠と行った。


 数時間後…


 Uは臆病戦士Lv,10→Lv,48、ワンタンはアサシンLv,55→Lv,78になっていた。


「おいおい、たった数時間やっただけでこんなにレベル上がるもんなん??恩恵エグ過ぎやん。」


 ワンタンの言葉に応じるようにUは頷く。


「なんかよう分からへんけど、凄いな…俺めっちゃ強なったもん。」


 顔を見合わせながら、自身のステータスの成長度に驚きを隠せない二人であった。


 その後二人は解散し、Uは自身の成長を確かめるために少しレベルの高いダンジョンに訪れていた。




「ここが業火龍の洞窟かぁ、ちょっと湿っぽくて不気味な所やな…」


 初期村からかなり離れた場所なだけあり、他の冒険者は見当たらない。


 辺りは昼間にも関わらず薄暗く、洞窟の入り口から先には松明の灯りが弱々しく揺れているだけである。


「最深部の広間に業火龍ブオウがおるってマルコ君が言うてたよな、確か。」


 道途の雑魚敵はものともせず、隠密攻撃を繰り返しながら進んでいくU。


「なんかこのダンジョンやけに雑魚多ないか…?」


 目の前で油断している洞穴コウモリを倒すと、Uのレベルが50に到達した。


<おめでとうございます!レベルが50に到達しました。レベル50到達時の、職業専用固有スキルを習得しました。>


 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 臆病物の回復術

 ・隠密攻撃成功時、自身の最大HPの20%を回復する。(レベル上昇に合わせて回復量増加)


 ステルス・極

 ・HP満タン時、隠密度が倍になる。(レベル上昇に合わせて必要HP減少)


 千里眼

 ・他プレイヤーや敵キャラの簡単なステータスを見ることができる(レベル上昇に合わせて開示ステータス増加)


 初期刀強化

 ・隠密攻撃成功時に、稀に敵キャラがドロップするアイテムで初期刀の強化が可能になる。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「こりゃまたえげつないのが増えたなぁ。」


 自身のステータスウィンドウを確認しながら、Uは驚嘆の声を上げていた。


 そして一時間後、やっとUはダンジョン最深部の広間前に到着した。


「さてと、んなお手並み拝見と行きますか!」


 頑丈な鉄の扉を両手で開け、広間に入っていく。


 広間のど真ん中に、巨大な紅色の龍が居を据えている。


<業火龍ブオウが現れました。この戦闘からは逃げることができません。>


 ブオウはこちらに気づいていないのか、腰を下ろした態勢のままピクリとも動かない。


 ブオウのステータスを確認すると、体力と状態のみが現れ、他のステータスは『?』マークがついていた。


 業火龍ブオウ HP100000 状態 正常


 攻撃力 ??? 防御力 ??? 素早さ ??? 耐性???


「まぁ今の段階やとそうなるわな。」


 Uは物音を立てないよう足早にブオウの背後に回った。


 すると、ブオウの後頭部部分に白いポインターが現れ、隠密攻撃が可能であることを示す。


「おいおい、案外楽勝なんちゃうんこの勝負。」


 意気揚々とブオウの背中を駆け上り、後頭部に勢いよく初期刀を突き立てる。


 しかし、いつもの<Assassin Attack>の文章は現れず、攻撃によってUの存在に気付いたブオウは、勢いよく尻尾を振り回した。


 ブオウの尻尾をぶつけられ、Uは激しく壁に叩きつけられる。


 UのHPは3/2以上削られ、危うく即死するところであった。


(くそっ、まだこのレベルの敵には隠密攻撃が上手く発動せんのか。)


 Uは急いで体勢を整え、間合いを取る。


(とりあえずスピードでは負けてへんやろうし、動きを攪乱して間合いを詰めるのが良さそうやな。)


 回復薬を手早く摂取し、ブオウの攻撃を避けながら間合いを詰めていく。


 それに気付いたブオウが大きく体をよじり、尻尾を振り回してくる。


 それを華麗に躱し、ブオウの腹部、腕、そして顔面に連続攻撃を浴びせる。


 ブオウの体力を一気に半分以上削り、攻撃のモーションが変化する。


 ブオウの体から炎が上がり、近くにいたUは火傷の状態異常になってしまった。


(なんやこの状態は、近づけへんやんけ。このままやとダメージも与えられへんし困ったなぁ。)


 頭を抱え悩んでいると、尻尾の先端一か所だけ、炎が定期的に消える部分を見つけた。


(あそこや、あそこを狙ったら倒せる!)


 再びUは間合いを詰め、激しくなった炎の猛攻を躱していく。


 タイミングを合わせ、炎が消えた一瞬の隙にありったけの攻撃を与える。


 ブオウが激しい雄たけびを上げ、体中の炎を噴射しながらその場に倒れこんだ。


<おめでとうございます!業火龍ブオウのソロ討伐に成功しました。>


 獲得経験値 300000(×15) 獲得ゴールド15000

 レベルが58に上がりました。


<"業火を鎮火するもの"のエンブレムを獲得しました。>


 ブオウに向けて巨大なバケツで水をかけるUが描かれたエンブレムが映っている。


「一時はどうなるかと思ったけど、なんとか倒せて良かったぁ。」


 安堵のため息をつき、Uはブオウのダンジョンを後にした。



 続く

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