現実的な女と不器用な男のお話
1:アラサーデキ女
物心ついたときから「かわいくない女」だった。
二人きょうだいで下は6個下の弟、両親なりに第一子としては可愛がってくれていたのだろうが
子供の私にわかるはずもなく、「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」「弟の面倒を見てあげて」と言われ育った私は社内でも「後藤さんはしっかりしてるからな」「後藤さんはしっかりしてるし大丈夫だよね?」と顔を見れば言われるようないわゆる’デキ女’に成長していた。
仕事だけならいいものを、寄ってくる男性は相手にイニシアチブをとってほしいダメ男タイプ、口を開けば「しっかりしてていいお嫁さんになりそう」「家綺麗にしてくれそう」、うんざりである。
ちなみに私は部屋が汚い。職場とかきっちりするところは綺麗にするけれど元来めんどくさがりなので困らないところは結構適当なタイプだ。
職場で「できる人」として扱われる毎日は充実しているが、いつからだったか心のどこかで「私だってもう少し女の子扱いしてほしい」と思うことがないわけでもなかった。
「だから、お見合い!」
母の声でふと我に返った。話の途中で意識が飛んでいたようだ。たまに興味が持てない事象が起こるとやってしまう。
「お母さんの高校の頃からのお友達の景子さん、覚えてるでしょ?あの人の甥っ子さんなんだけどね~、歳も1つ違いだしうるさい子じゃないからもしかしたら気が合うんじゃないかしらと思って!」
私の男性の好みについてうるさくなければいいと思っているらしい。親は得てして自分が良しとしたものを子供に押し付ける傾向がある。愛情からなのは理解しているけどさすがに28歳にもなるのでちょっと遠慮してほしいところはある。かくいう私も28歳アラサーだ。結婚願望は人並みにある程度だけど気になってくる年齢ではあった。
母のお友達の景子さんはとてもかっこいい女性だ。小さい頃からたびたび遊びに来ていたので覚えている。モデルのようなスラッとした長身で母の世代には珍しい前髪をぱっつんにした黒髪のストレートロング、アメリカに住んでいたこともあり英語が堪能で赤のスポーツカーを乗り回していて旅行が趣味という漫画から出てきたのかな?という女の人だった。その景子さんの血縁というのは期待値が上がってもしょうがなさそうではある。でも私の人生なんだし結婚相手くらい自分で見つけたいんだけどなあと思いつつも減るものではないし、’いい子のお姉ちゃん’の私は「会うだけなら・・・」とその話を承諾したのであった。
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読む専だったのですが面白い夢を見たのでそれをもとに書いてみています。
お時間ありましたらお付き合いいただけますと幸いです。おそらく毎日か空いても1-2日間隔で投稿すると思います。よろしくおねがいします。
2021-7-21 梅子舞