リレー小説企画9
リレー小説企画第9話です!
かなり文がおかしくなってしまい読みにくいかも知れません、暖かい目で読んで頂けると嬉しいです!
また勝手ながらかなり物語を進めさせていただきました!
よろしくお願いします!
桜舞い散る花びらの向こう側、その瞳に見えたのは一人の少年。右手を振りこちらに向かって来ている。二人で横に並び、桜を見る幸せの一時。花びらが一枚、目に飛んできて目を閉じまぶたに付いたのを取る。目を開けるとそこは飛行機の中。
揺れ動く機内に、周りの大人達の混乱している様子。そんな中で隣の席に座る少年が、険しい顔でこちらを見ている。
さらに瞬きをすると、雨が降りドロドロの地面に倒れ込む自分。手には大量の血、出血元を手探りで探すと脇腹から激痛を感じる。そして脇腹を触りながら視線を奥へとやると、頭から血を流した少年が倒れ込んでいる。
『き、きよ、清春••••••』
必死に真っ赤に染まった手を伸ばすも、届かない。
『き、きよ、はる••••••』
意識が遠のく中、最後見えたのは誰かの足。
そして意識が完全に無くなる直前、頭上から声が聞こえてくる。
『君はこの《秘密》を守れるかな?』
「••••••っ!」
大量の汗を掻き、呼吸を荒くして優美は目覚めた。
「はぁはぁ、良かったまだ大丈夫」
おもむろにベットから立ち上がり、水分を取るために台所へと向かう。
透明のコップに水道水の水をいっぱいに入れ、一気に飲み干す。
顔を洗い、朝食、その他諸々を済ませ、鏡の前で制服に着替える。
「あと少し、大丈夫。清春なら思い出してくれる。だから絶対、大丈夫」
バックを取り誰もいない部屋に向かって「行ってきます」と呟いた後に、優美は家を出た。
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
『私たちはね、小さい頃からの知り合いなの』
優美のこの言葉、そして昨日の頭痛。最初よりはいくつかマシにはなったけど、未だに思い出す事が出来ない。
ただ一つ引っかかる事がある。
それは彼女の事を思い出す度に、あの事故の事も思い出す事だ。何か関連性でもあるのか、それとも無いのか。もし仮にあったとしたら、僕一人だけが生き残ったのは何か意味があるのだろうか、意味が有るならばもしかしたらそれが『秘密』の正体なのだろうか。
昨日の出来事以降、僕の頭はフル稼働している。テスト勉強でさえここまで本気で考え込んだことは恐らく無い位に。
だが、毎度馴染みの奴により思考を遮られた。
「きーよーはーるぅー!」
遠くから聞こえる聴き慣れた声、そう柊翔だ。
「清春昨日は大丈夫だったかー?あの後からずっと顔色悪かったけど」
「あぁ、大丈夫大丈夫」
「あんま無理すんなよー、昨日も言ったけど俺の事を頼ってくれよ」
昨日柊翔に言われたこの言葉、やはり一人で考えるよりも誰かに頼ってみるべきなのかずっと考えできた。
だが話してしまえば『秘密』では無くなってしまう、だからといってこのまま一人で考えていても埒が明かない。
「じゃあ一つ聞きたいことが有るんだけど」
「お!何だ何だ?」
「柊翔は何かを思い出したい時、どうやって思い出そうとする?」
「どうやって?」
「うん、絶対に思い出したい思い出さなきゃいけない記憶があった時、どうやって思い出す?」
そのまま『秘密』を思い出す為の相談をすると柊翔にバレかねない、だが思い出す事の相談ならばそこに関しては触れられないだろう。
暫く柊翔は考えた後、何かが閃いた様に口を開いた。
「そうだ、俺はどうしても思い出したい記憶があったら分かる範囲でその記憶に関連した場所に行くかな」
「関連した場所••••••」
確かにこの前のお花見、桜を見た時頭の中で昔の記憶が回想で出てきた。
だとすると思い出す為の最後の鍵となるのは、考える限り一つしかない。
あの場所に行くことだ。
「ありがとう柊翔、なんかすっきりした気がする」
「そうか、それなら良かった。それとよ、俺からもう一つアドバイス。彼女との喧嘩は、早めに解決させるのが吉だぞ」
元気づけようしてくれているのか、笑顔でこちらを見つめてくる柊翔。僕も少し気分が晴れた気がした。
だが柊翔が言っている通り、優美との気まずい雰囲気も早く払拭させなければいけない。あれから朝の挨拶もまともに出来ず、気づけばもう昼だ。せめて昼ごはんにでも誘って、話さなければ。
「あ、あの」
「ん?あっ、清春」
「昼飯一緒に食べない?」
「う、うん」
お互い弁当を出し、食べ始める。
「清春から誘ってくれるなんて、嬉しい!」
確かにこの前のお花見も柊翔に言われて誘った、自分の意思で優美を誘ったのは初めてだという事を今更ながら気づいた。
「た、たまたまだよ」
きっと、いや絶対僕の頬は赤くなってるだろう。顔が全体的に熱い、僕はそれを隠す様にご飯を頬張った。
「あっ、清春ご飯粒付いてるよ」
「えっ、どこ?」
優美に笑われ更に顔が熱くなる、手で必死探すもなかなか見つからない。
「ちょっと待って、今取ってあげるから」
優美がご飯粒を取るために僕の頬に手を伸ばす、どこかで見たことのある光景。
「うぅっ!」
急激に襲いかかる頭痛、必死に頭を抑えて痛みに耐える。
『清春!』
これは記憶⁈初めて見る記憶だ、場所は飛行機の中か?険しい顔をして僕の方を見ている。
また更に激しい頭痛とともに場面は移り変わる。
周りには冷たくなって動かない人。人。人。
そんな中で、微かに動いている人がいる。
『き、きよ、清春』
真っ赤に染まった手を伸ばす、少女。優美だ。そうだ、あの事故の日優美の家族と旅行に行ったんだ。そしてあの時優美は••••••。
必死に手を伸ばそうとするも、身体が動かない。
(ゆ、優美)
頭痛が徐々に治る、それと同時に記憶が薄れていく。
(優美!)
記憶をら見ている為、声が出ない。
最後に記憶が途切れる間際、彼女の姿を隠すかの様に誰かが立ち塞がった。
(誰だあいつは)
「•••る、•••はる、清春!」
「っは!」
頭痛が治り、ハッと目が覚める。
「大丈夫清春?凄い苦しそうにしてたけど、ご飯が喉にでも詰まった?」
心配そうに見つめて来る優美、目の前にいるのが本物か確かめる様に僕は優美の肩を掴んだ。
「えっ、ど、どうしたの清春?」
「やっぱり、いる。生きてる」
「えっ?」
「あ、あぁごめんごめん」
「大丈夫だけど、一体どうしたの?」
「いや何でもないよ何でも、ちょっと具合が悪いからトイレに行ってくる」
「なら俺が連れて行ってやるよ」
柊翔がどこからか立ち上がり、僕達の元へ来た。
「またどっかで倒れるかも心配だしな、後は任せてな」
「う、うんそれじゃよろしくね」
「おうよ!」
柊翔に肩を掴まれ、教室を後にした。
「思い出したのか」
「あぁ、色々思い出した。だけど引っかかる事がいくつか有る、それを確かめたい」
「そうか、それじゃ体調不良で早退した事にしてやるから行ってこいよ」
柊翔に背中を押された。振り返ると笑顔で、グッドサインを出していた。
「ありがとう!行ってくる!」
僕はそのままある事を確かめに家へと戻った。柊翔が僕の記憶が戻った事を何故知っていたのかを、気にしないまま。
電車に乗り、辿り着いたのは僕の家。家の中に入り、戸棚から一つの箱を取り出した。
中に入っているものは、新聞や多くの書類。そこに書いてあるのは、あの時の飛行機事故の事。
「えっと••••••、あった!これだ!」
取り出したのは、あの飛行機事故による死亡者名が書かれた新聞。
あいうえお順に載っている名前を上から順に指でなぞっていく、その指はサ行で止まった。
「さ、櫻井優美」
櫻井優美は死んでいる。もうこの世には居ない。
またここで、激しい頭痛に襲われる。
あの飛行機事故の日、揺れ動く機内混乱する乗客、次の瞬間前方から聞こえる衝撃音、そして優美に押され、割れた窓から放り出される。
「っは!」
思い出した。あの事故の日、僕を庇って優美は死んだ。そして僕だけ生き残った。
その事実を知り、流れる大量の汗、恐怖心、そして罪悪感。
彼女との『秘密』は彼女の『死』の事。
だが府に落ちない点が一つ有る、今学校にいる優美は一体誰なのか。
本当に、彼女との『秘密』は『死』なのか。まだ完全に記憶を取り戻してい無いのかも知れない。あと一つ何か手がかりが有れば、完全に思い出すかも知れない。
「行くしかないな」
リュックに事故の記事、財布を入れ再び家を出る。
記憶の最後のピースを探しに、僕は向かった。
あの事故現場に。
☆☆☆ ☆☆☆ ☆☆☆
新幹線に揺られる事1時間半、バスに乗り換え十五分、そして徒歩十分、とある山の麓に着いた。
沢山の花が添えられている。
上を見上げると、一部黒い地面がえぐり出ている所があった。
《立ち入り禁止》のテープが貼られ、本来ならばそこへは行く事が出来ない。
僕は周りに誰もいない事を確認し、テープを跨ぎ目的地まで歩き始めた。
急な山を登り続けて三十分、息を切らしながら辿り着いた。
草木が一つも生えていない真っ黒な地面、残骸は撤去され、何も残っては居なかった。
どこら辺で僕と優美は倒れてもいたのだろうか、見つかる筈も無いのに徐に探し始める。
すると、太陽に反射して一瞬何かが光った様に感じた。光の正体を確かめに向かうと、何かが地面に埋れていた。素手で掘り起こしてみると、出てきたのは一つのネックレス。しかも見覚えのあるネックレスだった。
「これは、優美にあげた••••••」
「ようやくここに来てくれたね」
声のする方に視線を向けると、そこに居たのは優美だった。
「優美」
「思い出したんだね、あの日の事」
そう言っている優美の目からは涙が流れていた。
嬉しそうに、少し微笑みながら泣いていた。
今度こそ自信を持って、僕は優美に言った。
「思い出したよ、あの日の事。だけど僕の考えている『秘密』とは違うと思う。だから教えてくれないか、君は何者なのか、一体何が有ったのか」
優美は目を閉じて頷き、涙を拭った。
「分かった、じゃあ答え合わせだね。当たってると良いね!」
そう言って優美はあの日の事、『秘密』の事を語り始めた。