異世界生活・1日目 俺、堂々の登場!
異世界転生って、ちょっとくらいは憧れますよね〜。
「神」とやらに、半ば強制的に「異世界転生」をさせられた俺は、どこか田舎の道の端で意識を取り戻した。
起き上がって周りを確認しても、あるのは、畑、畑、畑。
「いったい、どこまで田舎に飛ばしてきたんだ。あの爺は。」
おっと、危ない危ない。あの「神」が天界から見てるかもしれない。もしそうなら、またいつ、あの稲妻みたいなもんが落ちてくるかもしれない。気をつけないと。
…ってか、見てるなら、助けて欲しいんだが?
こんな所じゃ、すぐに死んじまうよ。何とかクラフトじゃあ、初心者がやり方分からずに、すぐに夜になって殺されちゃうやつだよ、これ。
ん? 待てよ。なんか向こうにデカい壁みたいなもんが…。
あれは、城壁か? まあ、取り敢えずあそこに向かうしかないだろ。にしても、めっちゃ遠いんですけど!
「はぁ〜、ようやく着いた〜。」
もう疲労で足がくずおれるんじゃないかと思った頃、俺はようやく、城門らしき所に辿り着いた。
すぐにでも入って身体を休めたい所だが、俺よりも先にここに着いた者達が並んでいる。
「…横入りとか、そんなゴリ押しができるような感じじゃ、ないな。」
列の先頭には、屈強な門番が 5人以上立っていて、下手な動きをすれば殺されるんじゃないか、と思わされる。
俺は、大人しく列の最後尾に並んだ。
列に並びながら、前に並んでいる人達を観察すると、皆、種族がバラバラで、いかにも「人間」みたいなやつは数える程しかいない。
「ああ、やっぱりここは異世界なんだなあ。」
そんなことを独りごちたら、俺の前に並んでいた奴が振り返ってきた。なんか顔が熊みたいで怖い。やめろよ、こっち見んなよ。
そいつはそれでも、気にもとめずにすぐにまた、前を向いてしまった。はぁ〜、良かった。
にしても、この世界の言語ってどうなってんだ?
今、俺が喋った言葉も、この前にいた奴に理解されていたのか? この中に入ったら、まずそれを確認しよう。
「おい、次!」
なんか呼ばれた気がして、前を向くと、屈強な門番5人がこっちを見ていた。
「は、はい〜。なんでしょうか?」
「なんでしょうか、ではない。通行許可証は? 持ってるなら早く見せろ。」
あ、意思の疎通は出来るのか、
って、えぇぇっ!? 「通行許可証」? んなもん、持ってるわけねえだろ!
「あ、いや、その〜、なんて言うんですか、どっかで落としちまったみたいで。」
「あぁ? 持ってないだぁ? おい、こいつを連れて行け!」
「あ、ちょっと! ま、待って。俺は怪しいもんじゃないんです〜!」
俺は屈強な男 2人に担がれて、どっかへと連行されてしまった。
「よし、次!」
あのクソじじい、「通行許可証」ぐらい寄越せっての。覚えとけよ。
「ふむ。それで何も、持ってはいないんだな?」
「はっ! 身ぐるみ全て剥がしましたが、この男は何も持っておりませんでした!」
俺は、服を剥ぎ取られ、全裸のまま、床に座らせていた。やだもう、お嫁に行けない。
あ、俺は男だったわ。って、そんなことはどうでもいい!
「あ、あの〜。疑いが晴れたのなら、この建物の中に入れてくれませんかね?」
「ならん。この街では乞食なんかを入れる余裕はない。さっさと出ていけ。」
ええ〜、嘘だろ〜、おい。もう俺の冒険ここまでじゃん。終わりじゃん。
ええい、こうなりゃ、俺の「とっておき」をやるしかないか!
「そこをなんとか! もうここしか、俺が生きていける場所は無いんです! どうかお願いします! お情けを!」
必殺! 「D・O・G・E・Z・A☆」! これでどうだ!
俺はこの技で幾度となく、試練(「提出期限遅れのごまかし」、「大学の授業の単位」 etc…)を越えてきた。これに勝てるものなんて、どこにも存ざ、
「ダメなものはダメだ! いいからさっさと出ていけ!」
うそーん。冗談キツイって〜。俺史上、最強の技がこんな所で潰えるとか信じられないんですけど。うわぁ〜、お家帰りたい。
あ、帰れねえわ。
そんなことを考えてたら、俺はいつの間にか、外に放り出されてしまっていた。
「って、ホントに追い出されてる〜!?」
終わった。完全に終わった。どうすんだよこっからまじで。
大体、街に入るのに「通行許可証」とか要るの? 聞いてないんだけど。
まあでも、よくよく考えたら、得体の知れない者を簡単に入れるわけないもんな。それで治安が悪くなったらどうすんだよって話だし。
そういう証明する物を用意させるあたり、ここの街はしっかりしているらしい。
「と、なると、問題はどうやってこの街に入れるようにするか、か。う〜ん…。」
「通行許可証」とやらって言うのは、きっと、ああいう街の中で作られるものだろうし、外で手に入れるとなると、どっか適当な村にでも行って、そこの村長辺りにでも頼むしかないか。
でも、そこに行っても、どうせ厄介者扱いされるし。
もう完全に八方塞がりじゃん。
「あ〜、もういいや。とにかく生き残ればいいんだろ? なら、盗賊にでもなって生計を立てれば、」
「ちょっと、そこの貴方。今しがた、聞き捨てならぬ言葉が聞こえてきたのは、気のせいかしら?」
誰だ? そう思って辺りを見回すと、俺の後ろに、どっかの貴族の娘っぽい格好の女性が、俺に話しかけていた。
うわ、っていうかこの娘、むっちゃ可愛いんですけど。リアルの芸能人でこんな人いたなあ。
「ちょっと、聞いていらしてるの?」
「あ、いや、ちょっと、その、えーと、何かご用でしょうか?」
一瞬だけ慌てたけど、すぐにいつもの営業スマイルを作って見せた。慣れたものだ。
「その顔、やはり何か隠していらしているわね。この私に隠し立てをするなど、いい度胸ですわ。」
俺の営業スマイルは無視かい。って、そんなことはどうでもいい。これはチャンスかもしれない。
そう思った俺は、すぐに思い詰めた顔を作り、弁明を開始した。
「その、申し訳ございませんでした。
実は今、とても困っておりまして、ここに来る途中、『通行許可証』なるものを落としてしまったようで。
あの街にどうしても入りたいのですが、それが叶わず…。」
「はいはい、要するに、食うに困った人なのですわよね、貴方。」
「えっ? いや、そんなことは、」
「見れば分かりますわよ、そのくらい。あまり私を馬鹿にしないで下さる?」
ダメだったか〜。
「お願いします! 俺、まだ死にたくないんです! なんでもしますから! だから助けて下さい!」
「いいですわ。そのくらい。」
「えっ?」
こんなにあっさり?
「何を呆けていらしているの? ほら、早くこの馬車に乗りなさい?」
「い、いいんですか?」
「当たり前ですわ。『富ある者は、貧しき者を助けること』鉄則ですわ。それとも、この私の施しを受けぬとでも言うおつもりですか?」
「い、いえ! その、ぜひとも! ありがたき幸せにございます!」
やったー! 勝ち確〜!
「分かったなら、ほら、さっさと乗りなさいな。あ、服や靴の泥はきちんと落としてから、お乗りなって下さいまし。」
「あ、はい。」
形はどうであれ、何とか街の中に入れそうだ。良かった良かった。
そうして俺は、どこぞのご令嬢の馬車に乗って、街へと向かうのだった。
どうもこんばんは。流れゆくモノです。
「更新が遅い」?、「何をやっているんだお前は」ですか?
すみません。今ちょっとだけ忙しくしておりまして、
えっ? 〇イクラ? いやいや、そんなお城とか作ったりして遊んでる訳なんて、ないじゃないですか〜。
はい、すみません。遊んでました。ごめんなさい。
まあ、そんなことはさておき、「転生貴族」第2話です。まだ主人公は異世界ライフを始められていないようですね。きっと彼がいい方向に行けるように祈っておきましょう。
取り敢えず、投稿ペースは割とこんな感じになってしまいます。申し訳ございません。
決して、ただ遊んでいるだけではないので、どうかご理解いただけるとありがたいです。「それでもいいよ。気長に待ってやる。だから、次話はよ。」そういった方々は、どうぞ、首を長くしてお待ち下さいませ。(ハードルは上げていませんよ?)