運転するなら、お着替えを?!
免許を取り立ての頃の、今でも思い出すと、恥ずかしいお話なのです!
( 母親 ) ほら、早く行くよ! 早く持っていってやらないと遅くなるやんか。 冷めてしまうし。今日は、2人とも家に帰ってるって言うし。
母親は、車で30分離れた所に住む、妹夫婦に、作りたてのかやくご飯を、どうしても、持っていきたいと、話を続ける。
( 私 ) えーっ、お風呂も入って、パジャマに着替えてゆっくりしてるのに。 しんどいやんか。
( 母親 ) そんなん言わんと、車で連れてって。 せっかく、あんたも、免許を取ったとこやなんやから。夜の運転の練習にもなるでしょ。
時間は遅くなったけど、久々に、かやくご飯を炊いたから、食べさせてあげようよ。
( 私 ) また、服を着替えなあかんやんか。
( 母親 ) そのままでいいやん。
あんたは、そのまま、車の中に居ればいいやん。 お母さんが、あの子らの家に持っていくから。
そこで、私が、納得してしまったから、その後、あまりに恥ずかしい体験をする事になるのだった。
家を出て、2、3分、車で走った頃に、気付いた。
( 私 ) あ、免許証を忘れた! 急がせるから。
もう。どうするんよ。
( 母親 ) 運転するのに、ちゃんと、免許証は持っとかんと。何で忘れたんよ。ほんまに。
取りに戻ろう。しょうがない。
( 私 ) よく言うわ。そんな事。だから、嫌やと言ったやんか。
家に戻る途中の道で、さっきは居なかったパトカーが止まっていた。何と、検問している。
キキーッ。キキーッ。
そう、私の車のブレーキ音だ。
思わず、体が反応し、急ブレーキを踏んでいた。
じんわりと、おまわりさん達が、こっちに近付いてきた。ゆっくりと、運転席をのぞきこんだ。
( おまわりさん2、3人 ) 何? 急ブレーキ踏んで。 何? 急に止まってるん? 免許証持ってるん? 無免許と違うん?
私は、車の中で、硬直状態。
母親は、すぐに、車の外に出た。
( 私 ) 免許は持ってます。【車の中から、うつむき加減に一言】
( 母親 ) すみません。 いつも持ってるんです。今、免許証を忘れたので、取りに帰る所なんです。【頭を下げた】
( おまわりさん2、3人 ) じゃ、免許証を見せてもらわないとな。【私と母親を見ながら一言】
( 母親 ) 父親に持って来させます。すぐに、連絡するので。ほんとすみません。【頭を下げた】
( 私 ) 沈黙 【パジャマなのにい。どうすんのよ、もう。車から出ず、態度悪い! と思われるやんか。はあ、どうしよう。 自問自答】
数分後、自転車に乗って、さっき寝ていたはずの父親が、私の免許証を持ってやって来た。
( 父親 ) 申し訳ありません。いつも持ってるんです。すみません。【頭を下げた】
( 私 ) 【あーっ、もう。あかん、と車の中で、開眼】
ゆっくりと、スローモーションのように、パジャマ姿で、車から出た。
( 私 ) すみません。 免許証です。【頭を下げた】
( おまわりさん2、3人 ) 免許証は持ってたね。 不携帯だけやね。
初心者マークは、前後に張ってるし、運転席は、フロントに近い一番前までひいて、きちんと運転してたみたいやなあ。
免許証はいつも持っとかなあかんよ。
今から、かやくご飯を持っていくんでしよ。 気を付けて運転していってね。
( 父親 母親 私 ) すみません。気を付けます。
皆さん、ちょっとそこまででも、急いでても、必ず、パジャマから着替えて、運転しましょう。