第六十五話 おもてなし大作戦
「よし、おもてなし大作戦だ!」
『おぉーー!』
「あはは、みんなノリが良くてうれしいよ。それじゃあ、ドワーフのみんな!重症なものはユリィが、それ以外は僕がみるからね。ひとまず、直ぐに死にそうな気配のある子はいないから安心したよ。では、特に恐らく戦士かな?その子たちを優先的に回復するからね、ユリィ、頼むよ」
「うん!私ご主人様の役に立って見せるよ!」
「張り切りすぎないようにね。さぁ、始めよう!ドワーフのみんなは並んでくれ」
『はい!』
そう返事をするとしっかり並んでくれる。
ただ、どうやら、子供たちを優先的に診てもらいたいらしく前の方に並ばせているようだ。
「よし、まずは君からだね。じっとしててね」
「う、うん!」
「いい子だ。【回復】」
ハクトが回復魔法を唱えると、ドワーフの子供は暖かな光に包まれ、治まったころには傷のない姿になった。
「わぁっ、ありがとう!」
「うん、治ったね。どういたしまして。それじゃあ、料理ができるまではこっちにいてね。さて、次の子は、君だね。じっとしててね――」
そういった風に回復魔法を次々にかけていく。
多くのドワーフは【回復】で済んだのだが、数人は【中位回復】を必要とするものもいたがユリィを必要とする程ではない。
ユリィのところはと言うと・・
「【聖回復】!どうかな?おじちゃん?」
「おお!全く痛みがない!ありがとうな、嬢ちゃん」
「えへへ、どういたしまして。次は・・・」
「俺に頼むぜ、嬢ちゃん。」
「うん!わかった!【聖回復】!」
どうやら順調にいっているらしい。
ドワーフは全員で204人いて、重症だったのは、戦士も含めて14人、他は全てハクトが回復をした。
実はこれは、ユリィもハクトもかなり異常といえる。それだけの回復魔法を唱える魔力のことだ。
基本的に魔法というものは上位の効果を発生させるほど必要な魔力量は増えていく。
それは、回復魔法も変わらないのだが一概に言えなくてもその必要量というものは他の攻撃魔法などよりも割高になることで知られている。
回復魔法使いを名乗るには最低でも【回復】を覚えることが条件ではあるが、そのヒールも治療という行為のためにそれにかかる魔力量は多い。
そして、190人も回復をする、ましては、上位回復魔法を14人分も唱えることは常人にはありえない。
さらに、二人とも回復魔法術師という回復魔法を専門に扱う魔法使いでないことも異常である。
ハクトの魔力量は女神謹製の体のため今更ではあるが、ユリィはただの女の子である。
だが、ここで、呪いを克服したことの影響というものが発揮された。
後からわかったことではあるのだが、呪いはそれがなんらかの形で解呪されると呪いの所有者はその効果の強弱によってスキルの取得や魔力の増加、身体能力の向上などの上昇効果というものが発揮される。
ユリィの場合は呪いが強力であったためその効果は如実に表れている。
現時点で、ユリィは魔力量だけで言えばSランクにぎりぎり届くといえばその効果の大きさはわかりやすいだろうか。
ただの村の女の子がいくら元Bランク冒険者の父の血を引いていたとしてもこんなことは普通はあり得ない。
確かにこの世界でも遺伝というものは存在し、親が多くの魔力をもっていたとしたらその子供にも受け継がれるということは特に珍しいことではない。
もちろん、親を超えるものや劣るものなどのパターンには枚挙にいとまがないが、親の能力というものは子供に少なからずは影響を与える。
そのため、ユリィは子供としては大きめの魔力量を生まれ持っていたが、それでも良くてCランク程である。とてもじゃないが成長を加味したとしても今の魔力量を信じられるものではない。
そして、同時に持っていた呪いの強力さがよくわかるだろう。
「ハクト様!料理ができました!」
「お!ちょうどみんな終わったところだよ。タイミングが良くて助かるよ。ドワーフのみんな!ちょっと全員を中へは入れられないから広場になるけどそこで食べよう!ついてきてくれ!」
みんなも待ちわびていたのか治療が終わって元気になったことも含めて足取りは軽く、数分も経たずに目的地へ着く。
そこでは、もう準備が整っており、数十人分のが入っているような鍋がいくつか並んでいて、そこからは出来立てのよいにおいが漂っている。
「みなさん!これが私とハイブラウニーが作ったシチューです!お椀などはこちらで用意したのでそれを使って受け取ってください。少し、作りすぎてしまったのでおかわりしてくださいね?」
『ワァーーー!!!』
ドワーフの全員が歓声を上げる。
「みんな、喜んでいるところ悪いけどこちらのポーションを飲んでからにしてね?僕たちで体の外の傷は治ったけど内側は本調子じゃないからね。いきなり食べ物を口にするとよくないから。」
とハクトがいうと戦士や一部の大人は苦い顔をしている。
「あはは、そんないやそうな顔しなくて大丈夫だよ?ドライアドが作ってくれたポーションは苦くないからね」
そういって、まずは試しにと渡してみ。
「ほ、ほんとうか?」
「まぁ、ポーションはまずいってよく言われてるしその顔ぶりだと実際に飲んだこともありそうだね。うちのドライアドからは味に気を付けたって聞いたから飲んでみてよ。」
「わ、わかった」
といって口をつけると、ドワーフの顔が驚きを浮かべ、一気に飲み干した。
「どうかな?おいしいだろう?」
「ああ!とてもおいしい!こんなポーション初めてだ!お前らも飲んでみろ!」
そんなドワーフの表情をみて嘘をついているようには見えなかったのだろう、一人二人と飲み干していく。
口々においしいといいながら子供も含めて飲んでいく。
「よし、みんな飲み終えたね?お待ちかねのお食事タイムだよ!席は好きにしていいから受け取るときはしっかり並んでね」
『はーい!』
「よろしい!みんなおなか一杯になるまで食べよう!」
『おぉー!』
ちょっと前までの傷だらけの姿で元気のなかった彼らが見違えるような明るさを見せてくれている。
それを見て彼らを助けてよかったと心の底から思ったのだった。
すみません、明日は投稿をお休みして、明後日からまた投稿したいと思います。
これからもこの作品をよろしくお願いします!




