第五七話色彩属性3
「それじゃあ、この【並列思考】と【群衆思考】をとろうかな。それぞれのDPはいくらかな?」
「【並列思考】は10万DP、【群衆思考】は100万DPとなります。」
「DPは今いくらくらい残ってるのかな?」
「今現在【DP:4232426】ポイントとなっています。」
「うん、それなら問題ないね。では、両方とろうかな」
《ハクトはスキル【並列思考レベル1】を獲得しました》
《ハクトはスキル【群衆思考レベル1】を獲得しました》
「よし、よし。さて、【白銀色】を試してみようか。これは僕が前世からもってたスキルらしいけど…」
《【白銀色】発動!》
ハクトがスキルを発動すると…
「これは!」
まるで初めからわかっていたかのようにスキルの使い方がハクトの脳内に情報として入ってくる
「なるほど…こうするんだね?」
そうハクトが呟くと、ハクトの体が白銀に輝きながら包まれる
数秒で終わったが、それは、幻想的な光景であった
輝きが収まると現れたその姿は…
「うん、やっぱりこれが僕には似合ってるね」
【一心同体】で現れる装備を纏ったハクトそのものだった
「ハクト様はこの装備をイメージして具現化したのですね」
「その通りだよ。やっぱりこれが一番かなと思ってね。違いとしては色と強さくらいかな」
そう、ハクトが【一心同体】を使うと現れる装備は白を基調とした青みがかった色をしているが、【白銀色】で現れる装備はその名前の通りに白色と銀色が混ざりあった色をしている
「強化具合はそうだね…【一心同体】を1としたら【白銀色】は0.7くらいかな。ランクでいえば【一心同体】がSSランクの上位、【白銀色】はSSランク下位ってところかな。ただその分手数を増やせるから使い勝手はいいかな。それと、武器はやっぱり剣が僕には似合ってるみたいでね。こんな感じにすると…」
ハクトの両手に剣が握られる。それもやはり白色と銀色が混ざった色をしていて、白夜と形が良く似ていた。
「流石です、ハクト様。もう、具現化を使いこなしているのですね」
「ふふふ、驚くのはまだ早いよ…」
「え?」
ハクトが意識を【白銀色】に集中する、そして、まるでスキルが応えてくれたかのようにハクトの【具現化】がより進化をする!
すると、ハクトの頭上を覆うかのようにハクトの両手にもっている剣と同じ剣がいくつも現れ、まるで天から後光がさすかのように白銀に光輝いた剣がハクトを守護するために顕現する
「名付けて【剣の聖域】っていったところかな。」
「凄い!凄い!格好いいよ!パパ!」
「本当にご主人様格好いい!神様みたい!」
ケイルとユリィが興奮したようにハクトを誉める
「素晴らしいです!ハクト様!早速新たに習得したスキルをこんなにも使いこなしているなんて!」
「いや、僕も驚いているくらいだよ。この【白銀色】は初めてとったスキルとは思えないほど使い方がわかるんだよね。うーん、これは神様が言っていたように前世が影響してるのかな?」
『前世?』
ハクトとシルフィア、白夜以外の面々が疑問符を浮かべている
「前世ってなに?」
「あれ?前世っていう概念はこの世界にはないのかな?」
「お兄ちゃん、この世界では輪廻転生って概念を知ってる人は少ないんだよ。それに、前世のことなんて覚えてる人なんていないからあまりそういう概念が認識されていないんだ」
「白夜の言うことに付け加えると、この世界の神様という存在は信仰という面ではかなり身近なものです。もちろん、全ての人が信仰をしているわけではありませんが、種族ごと、土地ごとの神様へと祈りを捧げています。エーテ神聖国のように信仰を捧げる信徒が集まり、国家となった例もあるほどです。また、伝説の勇者を召還したのもこの国家となるため、影響力は大きく、国の規模も大きいです。このように神様という存在は信仰や知識として身近な存在といえますが、実際に見た者や教えを受けた者は既に亡くなっているかその教えを秘匿しているため、一般人はあくまで伝え聞いた者を広めているというあやふやな状態になっているのです。そして、それに対して疑問をもつ者があまりいないことも拍車を掛けています。」
「そうだったんだね。つまり、神様から教えを受けた人達はもういないか、秘密にしていることで代を重ねる内に消えていった教えやあやふやになってしまった知識が広まっていて、だんだんそういった概念が廃れてきたってことかぁ。理解したよ。ああ、前世っていうのは僕たちが今産まれたときの前に生きていた時、つまり、今よりも前の人生のことだね。どうやら僕はその前世があって、それが異世界に生きていたものだったらしいんだよね。まぁ僕はその記憶がないから詳しいことはわからないけど」
「へぇー、異世界ってパパは勇者みたいだね」
「僕は勇者として呼ばれてないけどね。僕は英雄になるために呼ばれたらしいから。ちなみにだけど英雄というのはどんな人がいたのかな?神様から少ないけどいたって話を聞いたからね、その人たちを参考に僕がどんな英雄になるのかを決めようかな」
「確かに、今までに英雄と呼ばれた者は少ないですがいます。ですが、真の英雄に至った者はいません」
「真の英雄?」
「まず、英雄という存在について説明します。英雄という存在はこの世界ではかなり特別な存在です。勇者はなんらかの形で異世界から召還された者のことを指しますがこれに対し英雄はこの世界で産まれた者のなかで英雄と認められた者を指します。これまでに英雄と呼ばれた者は伝説やおとぎ話として広まっている程認知度は高いものとなっています。なので、この世界産の勇者のような立ち位置となります。そして、英雄と呼ばれた者は今は全員亡くなっていて、今世には誰もいません。」
「なるほど、偉大な先人がいたんだね。」
「はい、その通りです。今までに英雄と呼ばれた者は人間種、これは、亜人種を含めて6人います。ヒト族に4人、獣人族に2人です。これは、この種族が特別というわけではなく、エルフ族にはハイエルフという者がヒト族や獣人族のいう英雄に等しい存在といえます。なので、英雄と呼ばれていないだけでそれぞれの種族特有の呼び方や名前があります。」
「魔族とかにはいないのかな?」
「魔族の場合は魔王がそれに当たると考えられていますが一概には言えません。言ってしまえば上位種となった者が英雄に至るということになります。」
「上位種?」
「簡単に言うと進化種と言えば分かりやすいでしょうか?この進化は魔物によく起こる現象なのですが人間種や魔族にもあります。ですが、ほとんど起こることはありません。そのため、その種族のなかでも天才を越えた天才というまさに選ばれた存在が上位種となります。」
「なるほどね、誰でもなれる訳ではない特別な存在ってことか。それじゃあその以前いた英雄は進化した上位種ってことでしょ?なぜ、真の英雄って呼べないのかな?」
「それは、ただ、一言で表すことができます。『実力が足りていなかった』それだけです」
「つまり、英雄に足る実力がなかったっていうことかい?」
「その通りです。まず、英雄がどれだけの強さをもっていたかになりますが英雄のなかでも歴代最強と呼ばれた『白王』がSSランク下位となります。そして、真の英雄はSSSランクに至っていることが条件のひとつとなります。」
「え!?そんなに!?」
「はい、なので真の英雄はこれまでこの世界では存在したことがありません。なので、これまで英雄と呼ばれた者は人々から認められた存在でも本当の英雄ではないということです。その証拠にこの者達は証をもっていません。」
「証?」
「これは、固有スキルなのですが固有スキルのなかでも特別なもので言ってしまえば証明みたいなものです。英雄であることを証明するスキルですね」
「へぇ~なるほどね。ところで、SSSランクってどんな存在なの?前にランクを聞いたときはSSSランクの説明はなかったからね」
「SSSランクは『真なる者達』と呼ばれています。この世界で最強と呼ばれる者達ですね」
「真なる者達?」
「はい。これは種族の限界を越えて進化した者達の最終地点になります。一番イメージしやすいのは龍のなかの龍と呼ばれる龍王でしょうか。竜と龍を合わせてドラゴン種と一般に言われますがその最終進化先ですね。なので、ドラゴン種のなかでは龍王が最強の存在と呼ばれています。」
「へぇ~そうなんだ。なんかそんな存在が暴れたらヒトなんて容易く滅ぼされそうだね」
「やろうと思えば簡単にできますね。ですが、基本的に人々の元に現れることはありませんので安心してください」
「それは、ありがたいね。それで、英雄の話に戻るけどつまり、英雄になるには進化しなければいけないってことかな?」
「はい、その通りです。例えば、人間種であると、種族の名前の先頭に『ハイ』がつくことが多いです。ヒトであれば『ハイヒューマン』、エルフで言えば『ハイエルフ』ですね。まずは、そこを目指すのが優先です。」
「ダンジョンマスターの場合はどうなのかな?『ハイダンジョンマスター』とか?」
「その通りです。ダンジョンマスターの場合はハイがつきます」
「ふーん、なるほど。まずは、ハイダンジョンマスターにならないといけないんだね。ちなみに進化の条件ってなんなの?」
「ダンジョンマスターはかなり複雑な進化条件となっています。というのも、今ダンジョンマスターを形作っている形態の種族の条件に加え、ダンジョンマスター独自の進化条件をもっています」
「つまり、僕の場合はダンジョンマスター独自の条件とヒト族の条件が必要な訳だね」
「はい、その通りです」
夏休みに入ったのでこれから投稿ペースを上げます!
これからもこの作品をよろしくお願いします