第五十六話 色彩属性2
「それは、【具現化】になります」
「【具現化】?」
「はい、これがこの色彩属性の真価になります。【具現化】の能力の一つは色彩属性を纏うことで武器や防具に変化させることができます」
「ふむ、それは僕には必要ないのかな?スキル【一心同体】を使えば全身の防具に包まれてるし、武器は白夜があるし」
「確かに、ハクト様には一見必要のない能力に見えるかもしれませんが、この具現化はなにもただ、武器や防具に変化するだけの能力ではありません。武器や防具の強化や形状変化ができます。」
「武器や防具ってことは【一心同体】ででてくる、防具や白夜もかい?」
「はい、その通りです。」
「なるほど、それは使えるね。いや、素晴らしい能力だ。それと、形状変化っていうのはどれくらいにできるのかな?」
「変化といっても、形状変化は色彩属性を纏ったことで武器が変化するという方が分かりやすいかもしれません。つまり、ハクト様の白夜のような剣の刀身を長くしたり、より幅を大きくしたり、極端な例では、長剣を大剣にすらすることができます。ですが、これはかなり想像力が求められるので難易度が高いです。そもそも、色彩属性は形状変化はおまけのようなもので本来は具現化した武器や防具または、元の武器の強化が本来の能力と言ってもいいでしょう。このように元の武器を変化するくらいなら初めから色彩属性で産み出した武器の形状を変化させた方が何倍も効率が良いです。」
「ふむ、なるほど、なるほど…わかった!ありがとう。だけど、ある意味これは相手に対する奇襲になりそうだね。剣を避けたと思ったら刀身が延びて傷をおう、つまり、剣の間合いを読みきったと思った強者に対してより強力な一手になりそうだ。これは是非使えるようになりたいね。ところで、色彩属性を使うとでてくる武器や防具は所有者の想像力次第なのかな?形状変化は想像力が必要だって話だけど」
「確かに想像力は必要になってきますが、所有者ごとに具現化される武器や防具は一定ではありません。言うなれば、所有者の得意な武器が具現化されることが多いです。ですが、これは必ずしもそうなるわけではありません。というのもこれは自分の得意な武器が想像しやすいからです。いってしまえば所有者の意思が具体的に現れるものというのがこの『具現化』になります。」
「ふむ、ということは所有者の『具現化』は人それぞれってことか…なかなか面白いじゃないか。その『具現化』の限界はどのくらいなのかな?例えば武器の種類や数だったり、武器と防具を両方できるのかとか」
「それは、所有者次第ですね。一般的に『具現化』できるものは多くても三つと言われていますがこれは、ヒトという種族の限界が関わってきます。」
「種族の限界?」
「はい。そうですね…例えばヒトは翔べませんよね?」
「ん?風魔法で飛ぶことに近いことはできるんじゃないかな?」
「確かに風魔法で飛ぶことはできます。しかし、翔べません。分かりにくいかもしれませんがこの違いが種族の限界と呼ばれるものとなります。わかりやすく言うと風魔法で飛ぶことはかなり燃費が悪いことはご存知ですか?飛べる時間は熟練と呼ばれる魔法使い、Bランク程の魔力持ちでもっても5分が限界と呼ばれています。これは、ヒトという種族は飛ぶようにできていないからということになります。つまり、飛ぶことができる部位がないのです。」
「なるほど、ヒトは羽がないね。だから、本当は飛べないけど無理やり魔力で飛ぶという現象を起こそうとしてる。それの燃費が良いはずがないってことか。つまり、羽のような飛べる部位がある種族とは根本から違うってことだね」
「そうなります。ですから、羽のある種族、これは魔物も含めますがそれらの飛ぶ時間は比べ物になりません。特に高位の種族ほど飛べる時間は増えていきます。そして、このように羽がある種族が空を翔ることから翔ぶという表現になり、それはヒトにはできないという限界のひとつと見られています。つまり、ヒトが【具現化】で現せるものも限界があるということです。」
「なるほどね…それは、限界を越えることは無理ってことか。種族として産まれた以上は仕方ないって割りきるしかないね。うーん、それじゃあスキルで限界を越えることはできないのかな?」
「限界を越えるスキルはあります。ですが、かなり入手難易度が高いです。限界を越えるスキルとして代表的なのは【限界突破】というものになります。これは、レアスキルなのですが一時的肉体の限界を越えることができます。ですが、限界を越えるため代償があり、このスキルを発動した時間が長い程代償が大きくなります。Bランク冒険者でも個人差はありますが15分が限度で、それ以上発動するのは危険であり、最悪の場合死亡してしまいます。」
「なるほど、なるほど…僕だとどのくらいいけそうかな?それによっては取っておきたいスキルだね」
「そうですね…ハクト様でしたら、通常時で1時間30分、【一心同体】発動時は3時間といったところでしょうか。これ以上の使用は危険です。」
「それだけの時間だったらなんとかなりそうなものだけど、相手次第だね。うーん、切り札として取っておきたいかな」
「はい、ハクト様は強者ですが、今はまだこの世界の最強とは言えません。手札を多くする意味でもこのスキルはお薦めです。」
「うん!わかったよ。ちなみにだけど、能力を強化するスキルがあるよね?【腕力強化】とか【身体能力強化】とか。これにも種族の限界は適用されるのかな?」
「ハクト様、良い質問ですね。厳密にいうと種族限界は適用されません。ですが、スキルによる強化の限界はあります。また、こういったスキルは自分の元の能力から参照して、強化されるので、強者程より、スキルの効果は大きくなります。今、ハクト様が挙げた【腕力強化】や【身体能力強化】は強化系のスキルとして所有者が多く、代表的なスキルとなりますが、その分強化する能力は低めとなっています。ですが、あるのとないのでは大違いです。実際にCランク以上の冒険者にはいずれかの強化スキルを1つでももっていることが多くいます。」
「へぇー、そうだったんだね。僕はそういった強化スキルはもっていないからわからないけど結構大事そうだね。僕もとっておいた方がいいかな?」
「ハクト様は直ぐに取る必要があるほど身体能力がないわけではありませんので大丈夫かと思います。それよりもハクト様に薦めたいスキルがあります」
「お!それはなにかな?能力を強化するスキルかな?」
「はい、それは【並列思考】になります」
「そのスキルは…お薦めするということは【具現化】と関係あるのかな?」
「はい、もちろんです。先程の具現化できるものの限界があると話しましたがその限界を越えるために必要なスキルです。」
「ということは、【具現化】で現すものに限界があるのは思考する能力の限界が関わっているということなんだね?」
「はい、その通りです。このスキルはレアスキルとなりますが、かなり有用なスキルです。このスキルは思考する機能、つまり、脳の処理能力を向上させ、一度に複数の行動を取ることができます。簡単にいうと、剣を振るうと同時に魔法を放つことができます。」
「それは、確かに有用だ。僕のように魔法と剣を両方使う者にとっては重要なスキルだね」
「他にも属性の違う魔法を同時に放つことも可能になるため、上位の冒険者程取得を目指すスキルとなります。そこでなのですがハクト様にはこの【並列思考】に加えてこれの上位スキル、【群衆思考】を取っていただきたいのです。」
「それは何故かな?」
「この【並列思考】は2レベル毎に1つ、思考する機能が増えていきます。そして、最大は5個です。本来ならそれでも充分ではあるのですが、ハクト様にはこの【白銀色】があるのでもっと上を目指してもよいかと思いまして。この【群衆思考】は並列思考の上位スキルということもあり、1レベル毎に10個の思考を同時に行うことができます。」
「1レベル毎に10個!?それは破格の性能だね、【並列思考】が霞んでみえるよ。なんでそんなに違うのかな?」
「それは、入手難易度の差となります。【並列思考】も簡単にとれるようなスキルではないのですが【群衆思考】はそれを何倍も難しくしたようなスキルなのです。この【群衆思考】をもっている者は種族的にみてもかなり限られてきます。よっぽどの才能の持ち主又は1%未満の確率で先天的にもつ者などです。」
「なるほどね~、それをダンジョンマスターはDPで取ることができるんだからかなりずるい存在に思えてくるよ。」
「そう思うのは、ダンジョンマスターの中でもハクト様くらいの者ですよ」
「え?なんでだい?」
「ハクト様は一心同体の効果のおかげで1日経てば継続的にそして、確定で新入りのダンジョンマスターとしては破格のDPを得ることができます。そして、ハクト様は強いモンスターを召還することと、自分をより強化することを両方行ってきました。さらに、スキルを取得するだけでなく、訓練も行い、実戦行って経験を積んでいきました。さらに、ダンジョン内だけでなく、外にも目を向け、領域を増やし、このお陰で1日に得られるDPはその他大勢のダンジョンマスターが羨む程です。」
「つまり、僕は他とは違う、異質ってことかぁ」
「ですが、それを気にする必要はありません。」
「ん?そうかい?」
「ハクト様が他のダンジョンマスターの誰よりも優れた存在であることはここにいる皆が知っているのですから」
そう言ったシルフィアも含めて皆が頷いた
お待たせしました!
読んでくださりありがとうございます。
もう少しで夏休みに入るのでなるべく、執筆スピードを上げていきたいと思っているのでこれからもよろしくお願いします!




