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第五十一話新たな眷属と名付け

「よくできましたね、シルフィア様。私は嬉しゅうございます」


「あ、ありがとうございます、ドライアド。」


シルフィアはちょっと複雑そうにドライアドに礼をいう

感謝の気持ちと先にハクト様のキスを取られたことへの嫉妬などの気持ちがない交ぜとなっているのだ

いくら、いまのはノーカウントといっていても口付けなことには変わりがないからだ


「ドライアド、僕からも礼を言わせてくれ」


「礼をいわれるほどのことでは…」


「いや、礼を言わせてくれ。シルフィアとの仲をもっと深めたいと思っていたけどきっかけがなくてね」


「ハクト様…」


シルフィアが感激の表情をうかべている


「それでは、素直に受けとりますね。主君は何人妻を娶る予定ですか?できれば、私もそこに入れてほしいのですが」


「グイグイ来るね、ドライアドは。僕のことを真に愛し、信頼し、全てを捧げてくれる者を妻にしたいって思ってるんだ。だから、僕はこの条件さえのんでくれるのなら何人でもかまわないつもりだよ。例えば、ドライアド達は僕に忠誠を誓ってくれているし、シルフィアやエニファ達もそうだね。ただし、だからといって直ぐには決められないし、ドライアド達とはもっと仲を深めてからにしようかな」


「かしこまりました、主君。私は安心しましたよ」


「ん?なにをだい?」


「主君であれば、私を幸せにしてくれると。真に愛してくれるようになると思いまして。また、変な女に引っ掛かることもないかなとも。ドライアドのキスをされても、その色香に惑わされることもなく、理性を保っていることは凄いことなのですよ。私、自信なくしちゃうくらいです」


「ふふん、そりゃハクト様ですからね!当たり前です」


「その割りには心配というか騒いでいた気がしますが…」


「うっ」


シルフィアが言葉につまる


「ドライアドはそういうスキルをもっているのかい?」


「ええ、もっていますよ。有名なサキュバスなどはもっと凄いらしいですが、私もそれなりですよ?」


「なるほど、それでシルフィアがあんなに反応したのはそれもあるのかな?」


「そ、その通りです。ドライアドの色香に惑わされるといった話は知識にありますので…ですが、ハクト様には効きませんでしたね!流石です!」


「あ、ありがとう」


(結構危なかったんだけどなぁ…)


そう、ハクトにドライアドの色香が効いていないようにみえて実は効いていたのである。

だが、持ち前の精神力と初めてのキスがいきなりであったことの驚きが勝ったためとくに効いていないように見えていただけなのだ

まぁ、知らぬが仏である


「さて、そろそろダリオンが戻ってくる頃だね」


ハクトが気配を感じて言葉を発した瞬間、ダリオンが見えてきた


「お待たせしました、主君」


「かまわないよ、皆は?」


「は、リビングアーマー、リビングデッドアーマー、ノワールナイト全員入り口で待機しております」


「そっか、気をつかわせて悪かったね。それじゃあ呼んできてくれ」


「は!お前たち、許しがでたぞ」


ダリオンがそういうと、ガチャガチャと金属が当たるような音が聞こえてくる

そして、とても規律よく、行進してくるのが見えた

一切のズレがないようにみえる見事な行進だった

多種多様なダンジョンモンスターは外のモンスターとは一線を画すものがこのような集団行動だ

もちろん、獣系のモンスターやキング系のモンスターに率いられた軍団など集団で行動するものがいないわけではない

だが、モンスターは強い奴に従うのであって必ずしも絶対の忠誠を誓うことはない。

自分を守るために従う、これは、処世術といえば分かりやすいだろう

このように利用し利用される関係がほとんどだ

だが、ダンジョンモンスターは主であるマスターに絶対の忠誠を誓う

そもそも、ダンジョンモンスターはダンジョンマスターが召還するのであって、召還主側が利用するだけだ

それはダンジョンを防衛するための戦力であり、駒だ

だが、ダンジョンモンスターはそれに疑問を抱かない。ただ、ダンジョンマスターのために簡単に命をかける

これが、何故なのかはわからない。ただ、そのようなものだとしか思われていない

一種の独裁的な環境だといえるだろう

もちろん、ダンジョンマスターはモンスターを好き放題に召還できるほどのDPを得ることは難しい。もし、倒されたらそのぶん費用が無駄になってしまう

だからこそ、ダンジョンマスターはこういう召還などは慎重に行うし、モンスターを大事にする

この大事にするというのはハクトのように家族のようにという意味ではなく、自分が殺されないために駒として大事に使うという表現が当てはまる

モンスターを増やし、ダンジョンを大きくするために必要な戦力という認識が普通だ

ダンジョンマスターは


さて、そうこうしている内にリビングデッドアーマーとリビングアーマーがハクトの前に並び跪く


「よく来てくれたね、みんな」


「………」


ハクトが声をかけるが返事はない

これは別に無視をしているわけではなく、彼らは話すことができる器官がないため仕方ないことなのだ

だからこそ、ハクト達は気にしないし、そういうものだと理解している


「これからすることは名付けと眷属の契約だ。まずは…君だ」


ハクトが一体のリビングデッドアーマーを呼ぶ


「……!!」


呼ばれたリビングデッドアーマーは威勢よくハクトのそばに寄る


「君はこのダンジョンの最初に召還したモンスターだからね。君から名付けをしたいと思っていたんだ」


「………!?」


リビングデッドアーマーは驚いている

それもそうだろう召還されたダンジョンモンスターは同じ種類であれば見分けがつかないほど同じ姿をしているため、個体を識別することは難しい

それこそ、眷属であったり、名前がつけられていたら話は違うが

だから、リビングデッドアーマーは驚いていたのだ

しかも、ハクトが呼んだリビングデッドアーマーは言った通りにこのダンジョンの最初に召還されたモンスターである


「さて、それじゃあ名前を付けるよ。君の名前は…『イアン』だ」


「……!」


ハクトに名付けられるとリビングデッドアーマーのからだが光る


「おや?この光は…もしかして、進化かな?」


ハクトの言った通りである

光が収まるとさっきまで黒い色をした鎧が白くなり、神聖な雰囲気を纏った存在になった


「イアンはなんて種族になったのかな?」


「すみません、私の知識にない種族です。おそらくは…新種かと」


「新種!?」


シルフィアの言葉に皆が驚く

もちろん、新種というのが生まれないわけではない。

突然変異や進化などの現象から新種が生まれる

だが、その確率はかなり低く、滅多に起こるものではない

実際に以前に新種が見つかったのはおよそ50年前であり、モンスターの新種というのはそれほど珍しいことなのだ



「………」

イアンが新しい姿になり、人間の聖騎士のようになっている


「イアンは話せないのかな?」


「それは、実体がないからにございます。リビングアーマー系統のモンスターは実体というものを持たないため一部の感覚器官というものがございません。食事をとることや痛みを感じること、もちろん話すこともできません」


「なるほどね。それと、明らかにアンデッド系統のモンスターとは違う神聖な雰囲気をしている理由は分かるかい?」


「おそらくは、ハクト様の影響かと」


「僕の?」


「はい、ハクト様は神によりこの地に生まれ落ちました。神からの影響でハクト様も神聖な雰囲気をしていますし、神聖属性の適正もありますのでそういった影響かと思います。」


「あれ?僕にも適正があるんだね」


「ダンジョンマスターという性質上、DPによるスキルの取得という制限がありますが適正は個々にあります。ハクト様は剣系統や空間魔法の適正が元々あったため最初にステータスとして表れましたが他の属性に適正がないわけではありません」


「適正がないとスキルは得られないのかい?」


「いえ、そういったことはありません。ですが、通常人族は適正がないとスキルの成長が他よりも遅くなります。才能と言い換えてもいいでしょう」


「ダンジョンマスターにもそれは当てはまるってことかな?」


「ええ、そうですね。種族的に適正をもつ者がいますのでダンジョンマスターの種族によって変わりますし、逆に苦手とするものもあります。例えば、獣人や獣系のモンスターは魔力が他の種族と比べて少なく、適正をもつ者もあまりいません。もちろん、全てが当てはまるわけではありませんが」


「へぇ、そうだったんだ。それじゃあ僕の苦手とするものはあるかい?」


「ハクト様は基本的に苦手とするものはありません。これは万能型と呼ばれるタイプです。かなり珍しいタイプですよ」


「なるほどね、まぁ原因はわかったよ。それじゃあイアンの種族を名付ける必要があるね。ふむ、よし!イアンの種族は『セイクリッドアーマーだ!』」


遅くなってしまって申し訳ございません

今年もよろしくお願いします

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