第四十九話新たな眷属2
「さて、それじゃあエメラとユリィと眷属の誓いをしようかな」
「はっはい!」
「は…い」
少し、2人は緊張した面持ちだ
「そんなに緊張することはないよ、すぐに終わるからね」
優しい笑顔を向けられて、幾らかユリィとエメラの表情が和らぐ
「じゃあまずはユリィからしようか。」
「はい!」
ハクトが少し剣で切り血を流し、ユリィにそれを飲ませる
そして、無事に誓いは終わった
「ね?簡単に終わったでしょ?では、次はエメラ」
「は…い」
ユリィのときに流した血をエメラにも飲ませて誓いをする
やはり、エメラも簡単に終わる
(やっぱりご主人様の血は美味しい)
「眷属ってこんな簡単になれるもんなんだね~」
「それは違いますよユリィ。眷属の誓いには必須の条件があります。それは心の底から主の、今回の場合ハクト様の眷属になりたいと思う気持ちが必要です。これは誓いをすると口で言っているだけでは成立しません。例えばスパイがハクト様の眷属になることは不可能というものです。眷属の誓いというのは言ってしまえば魂の誓いとも言えます。」
「だから、ダンジョンマスターは眷属を簡単に増やすことは難しいんだ。みんなのように僕と共に生きてくれると誓った眷属というのはかなり得難い存在なんだよ。僕はとても恵まれているということを改めて実感したよ。」
「そうですね、正直このダンジョンは生まれて一年どころか半年も過ぎていないのに異常といえるほど強いといえますしその絆は他の追随を許さないでしょう。そもそもダンジョンマスターの眷属は基本的に召還したモンスターです。召還されたモンスターは召還主に絶対服従のため当たり前といえば当たり前ですが。そして、ハクト様のように人間種や亜人種、魔族を眷属にするためには捕虜となった者が無理やりに眷属とさせられることが大半です」
「あれ?それだと心の底からって条件を満たさないんじゃ…」
「無理やりというより恐怖といった感情ですね。もし、これから眷属にならなければ殺すと言われたとき、様々なひとがいれど大半は死にたくないと思うでしょうからこのときに心の底から眷属になるしかないという状態になってしまうんですよ。そして、複数いれば見せしめとして殺すことでより恐怖を与えることができますからいろいろな方法で眷属を増やすことができます」
「まぁ、僕も同じダンジョンマスターだけど同種であろうとそのようなことを行う者は好きではないね。だけど、否定はしない。それが最善だという状況になったら僕もそうするしかなかったかもしれないからね。」
「ハクト様はそのような手段など考えもしなかったと思いますが実際それを行ってダンジョンを大きくした者は多くはありませんがいます。ですが、これから先なにがあるかはわかりませんがハクト様にはそうなってほしくはないです。私の勝手な意見ですし、他のダンジョンマスターを否定している考えになりますが」
「シルフィアのような人が僕の眷属で本当に良かったと改めて思ったよ。僕は誓おう、眷属にはいや、僕の家族にはそんな恐怖で縛り付けるようなマネはしないと!」
「素晴らしいお考えです。わ、私もハクト様の眷属で良かったと改めて思いました」
シルフィアが顔を赤らめながら恥ずかしそうにいう
「さて、みんなと眷属の誓いはできたね。それじゃあそろそろ新しい仲間とご対面しようかな。ダリオン!」
「は!」
「君が召還したモンスターは2体だったかな?」
「は!その通りであります。1体は室内に入ることが困難なため申し訳ありませんがそこまでいく必要があります。」
「ハクト様、ダリオンになにを召還させたのですか?」
「ああ、ハイブラウニーとドライアドだね。どちらも非戦闘向きなスキル構成をしているんだ。だけど、どちらもBランクのモンスターだから結構強いほうだけどね。どちらもこのダンジョンには必要な人材だと思ってね、ダリオンと相談して決めたんだ」
「主様、相談したということはいつこちらのダンジョンに戻っていたのですか?ずっと私たちと一緒にいたはずですが」
「そういえば言ってなかったね。これは通信ってレアスキルを取ったんだ。これを使うと…」
『聞こえるかな?エニファ』
「!?」
エニファは驚いたようだ
「な、なんでしょうか今のは。頭のなかに直接主様の声が」
「それがこのスキルの効果だね。近くにいるときは使う必要はないし、主に遠くの人に使うスキルでね。頭の中で口で話さずに会話できるんだ。これをつかってダリオンと相談したって訳」
「な、なるほど」
「さて、それじゃあダリオン、ハイブラウニーを呼んできて欲しい。ずっとそこで待ってるのも疲れちゃうだろうしね」
「流石は我が主君、もうすでにお気づきでしたか。」
「まあね、ここのダンジョンマスターだから自分のモンスターの気配はハッキリとわかるからね」
「そうでしたな、それでは…ハイブラウニー!入室の許可がでたぞ」
「はっ!」
ドアの向こうで待機していた者からハキハキとした返事がきて、この部屋に少女が入ってくる
これはブラウニーという種族が一般的に幼い外見をしているからだ。普通のブラウニーは幼女といっても差し支えのない外見をしていて、ハイブラウニーになると外見が成長するみたいだ
「お初にお目にかかります主君、私がハイブラウニーです」
「やあ、ハイブラウニー。僕が君の主のハクトだ。ドアの向こうで待たせてしまって申し訳なかったね」
「いえいえ!そんなこと気にしないでください主君。」
「主君、配下である我らに気遣いは無用ですぞ」
「なにを言ってるんだいダリオン。僕らは仲間たちであり、家族だと僕は思ってるんだ。たとえ、それが召還したモンスターであっても代わりはしないよ。そうだ!あとで、僕が初めに召還したリビングデットアーマー達やリビングアーマーも呼んでおこうか。彼らは僕がこのダンジョンの最初期のメンバーだからね」
「我が主君!このダリオン、あなた様が主君で良かったと心の底から思っております。私達を家族と見てくれるとは感激でございます。リビングデットアーマー達には私から連絡をしておきましょう。」
「主君、新参者である私でさえ家族としてみると言うのですか」
「当たり前だろう?ハイブラウニー。」
「ああ!主君!このハイブラウニー、生涯変わらぬ忠誠をお約束します!」
「ふふ、ありがとう、ハイブラウニー。あとで、君達にも名前をつける予定だから楽しみにしててね」
「なっ、名前をですか?今日初対面の私に?」
「僕に忠誠を誓ってくれるんだろう?なにか問題でもあるかい?」
「なにもございません!」
「よろしい!それではドライアドと会おうかな。案内してもらえるかな?」
「は!かしこまりました。こちらへお越しください」
ハイブラウニーに案内されて外へ出て、花畑や茶畑が見えてきた。そこでは一本の木が目を惹く
大樹と言うほどではないが、しっかりとした木である
だが、他に木はないため少し不思議な光景だ
「あれがドライアドなのですか?ただの木のようですが…」
「あれはドライアドの依り代だね。あれがドライアドが生息している証拠になる木になるんだ。ドライアドは木霊とよばれる精霊の近親種族みたいだね。」
「な、なるほど」
木に近づいていくとこちらに気づいたような気配を感じる
「ドライアドさーん!私達の主君が来ましたよー!」
ハイブラウニーが木に向かって呼びかけると木の中からグラマラスな美女がでてきた
「これはこれは、ようこそいらっしゃいました。はじめまして我が主君、私はドライアド。ここの畑を任されているものです。」
「やあ、ドライアド。僕がこのダンジョンの主であるハクトだ。そして、彼女らが…」
「存じております。妖精さん達から教えてもらいました」
「妖精?」
「はい、妖精です。主君は特別な眼をお持ちですね?眼を凝らしてみてください」
「わかった」
ハクトが言われた通りに眼を凝らすとだんだんと光の球のようなものが見えてくる
さらに、それらはこの畑付近に無数に存在していた
「これは…この光る球は…」
「これが妖精です。この子達から教えていただきました。」
「彼らは自我をもっているのかい?」
「自我と呼ばれるほど立派なものではありませんが、彼らはこの世界に無数に存在していて、見たもの聞いたものを私達精霊やエルフなど自然に密接した存在に伝えたり、精霊魔法などの魔法の手助けをしてくれているのです。基本的に妖精は魔力で構成されているので魔力の濃いところから生まれますのでこのダンジョンは妖精にとって素晴らしい環境でしょうね」
「へぇ、それは知らなかったよ。僕にもその精霊魔法は使えるのかな?シルフィア?」
「スキルを取ればできるのではないでしょうか?」
「ふむ、『精霊魔法』は10万DPか…よし!あとで、取ってみよう。そのときはドライアドに教えてもらってもかまわないかな?」
「ええ、構いません。むしろ、ありがたいことです。それと、申し訳ありませんが主君、魔力を頂けませんか?」
「構わないよ、ドライアド。どうするんだい」
「そばにきて頂けませんか?移動するのが難しいんです」
そういわれてハクトはドライアドのそばにいく
「さて、どうするんだい?」
「こうするんです」
ドライアドがハクトの顔に手をふれる
そこから魔力をとるのかな?と思っている瞬間、
「っ!!!」
ハクトはドライアドに口づけをされる。それもかなり熱烈に口の中を蹂躙される
「ああぁぁぁああ!!」
シルフィアの悲鳴が空しくダンジョンに響いた
いかがでしたでしょうか?
楽しんでいただけたら幸いです




