第四十三話奴隷6
「それじゃあ店主、奴隷契約を結んでもいいかい?」
「かしこまりました、それではこちらへどうぞ」
店主に案内された
部屋のなかは簡素でありとくに目につく物はない
「ここは?」
「ここは、奴隷契約を結ぶさいの部屋でございます。なにもなくて驚きましたか?」
「まぁ正直ね」
「奴隷契約を結ぶ部屋はどこも同じようになっていましてね……契約した時に理由がおわかりになるでしょう。さぁどうぞこちらへ」
店主に部屋の中央に案内される
「では、ハクト様契約を結びます、ユリィもこちらへ」
「うっうん!」
ユリィも緊張しているのだろう返事が少しつっかえている
「それでは!」
店主が勢いよく言った瞬間
「!!!」
ハクトとユリィを、円で囲むように光輝く魔方陣が出現する
そして、光が収まった時にユリィに首輪が着けられていた
「これは!なるほどなるほど、こんな魔方陣が出るのを邪魔しないように……いや、この魔法自体を邪魔しないようにしているのかな?」
「その通りにございます、さて、これにてユリィはハクト様の奴隷に正式になりました。どうぞ大事にしてやってください」
「ああ!もちろんだよ!」
店主とハクトが仲良く握手を交わす
「それと、ハクト様にお伝えしたいことがあります。実はこの都市にハクト様の条件に合うような奴隷がいるという噂があります。ただし、そこは低級と呼ばれるあまり品のよくない場所になりますがよろしいでしょうか?」
「なんだ、そんなこと気にするわけないじゃないか」
「さすがはハクト様です。それではその店までの道のりをお教えいたします」
「ありがとう、あと、ユリィの服を買いたいんだけどこの都市の服屋のおすすめとかあったら教えてくれるかな?」
「かしこまりました」
「ごっご主人様!服なんて奴隷の身には贅沢なんじゃ……」
「なにを言ってるんだい。エニファだっていい服を着てるだろう?」
その通りにエニファはけっして奴隷が着ているような服装はしていない
奴隷が基本している首輪がなければ普通の獣人としか見えないだろう
なお、これは服屋で買ったわけではなくDPで得たものだ
DPでは、服も武器も買うことができる
ただし、その性能は低く、とてもじゃないが戦闘で使って安心できるような代物ではないが……
そのため武器や防具などは人間の都市に入って手にいれることが一番だ
もちろんダンジョンマスターが簡単に自分のダンジョンを留守にはできないためそんなことをするのはよっぽどの実力をもつかただのバカか
もちろんハクトは前者であり、エルダードッペルゲンガーを代理としているため留守にしてもなにも問題はない
裏切られるという心配をする人もいるだろうがダンジョンモンスターはダンジョンマスターに絶対服従でありその心配もない
「それじゃあまずは服を買いに行こう、その奴隷店には明日行こうかな」
「かしこまりました」
「そういえば店主の名前を聞いていなかったね、なんて名前なんだい?」
「これはこれは失礼しました、わたしはワークルと申します」
「了解したよ、ワークルでは失礼するよ」
「今後ともご贔屓に」
商人らしい言葉をかけられてハクトたちは店を後にする
「それじゃあワークルに教えてもらった通りに服を買いに行こうか」
「はいっ!」
意外なことに服を買うことに一番喜んでいるのはシルフィアだった
声がスキップするみたいに弾んでいる
そういえば、いつも同じ格好だということに今さらハクトは気づく
エニファもユリィも喜んでいるような雰囲気だ
(こういうところに気を配らないとみんなの主として失格だな)
これからはこういう思いをさせないようにしようと心に刻みつける
実はこれはハクトが主として異端であり、通常は配下の服など気に止めないものがほとんどだ
そんなことに無駄にDPを使うようなことはしたくないし、人間の町で買うにしても危険が多すぎる
ダンジョンマスターは自分のダンジョンが攻略されないことが第一の目標であって配下のモンスターに対しそんな配慮をする者などいない
だが、ハクトたちは普通のダンジョンマスターと配下ではないので今さらであるが
ちなみにケイルは服に興味がないのか反応が薄かった
ほどなくして服屋につく
ワークルに教えてもらった場所のためかなり豪華で清潔なお店だ
中に入ると服がこれでもかと並べられている
「いらっしゃいませ、ハクト様ですね。どのような服をお望みでしょうか」
「私達にふさわしい服を選んでくれないか?」
「かしこまりました。ご予算の方はどれくらいでしょうか?」
「そうだね……全員分で白金貨1枚でどうかな?」
「なっ!!……かしこまりました。少々お待ちください」
店員はそういって奥へ行ってしまった
店員がなぜ驚いたのかというとその予算の大きさだ
普通は金貨までで精一杯であり、白金貨など滅多に見れるものではなく、この店でもそれは例外ではない
全員の分の服を数着買ってもお釣りがくるくらいだ
「お待たせしました。お客様それでは私達が誠心誠意でお選びいたします!」
さっきの店員が奥から数人を連れてきてそう言う
「ああ、奴隷の二人も僕達と同じように選んでくれ」
「っ!か、かしこまりました」
店員達は少し驚きを顔に浮かべたがすぐに立ち直った
「それでは、男性はこちらへ。女性はこちらへどうぞ」
店員に案内される
「お客様方は皆見栄えが良くてこちらとしても選びがいがありますね!しかも、ハクト様は別格です!」
店員が興奮したようにハクトへ向かっていう
「そこまでかな?」
「そこまでです。では、ハクト様はどのような感じが良いとかはありますか?」
「専門のあなたに任せるよ」
「おまかせください!」
元気良く店員が気合いをいれる
それから何回も着せ替え人形のように着て脱いでを繰り返しハクトは3着、ケイルは4着買うことにした
これでもまだ金貨5枚ほどでしかない
「ハクト様、服は宿の方へ配達いたしますか?」
「いや、それには及ばない。アイテムボックスをもってるからそれに入れるよ」
「かしこまりました。申し訳ありませんがお連れの方々はまだ時間がかかりそうなのですが……」
「気にしないでいいよ、女性の買い物は長いからね」
「ありがとうございま……」
「ハクト様!!」
店員が言い終わる前にシルフィアが呼ぶ声が聞こえる
「どうしたんだい?シルフィア」
「服がいっぱいで選びきれなくて……」
「全部買ったらいいじゃないか」
「それでもハクト様のお金ですから節約しないと……」
「なんだそんなこと気にしていたのか、気にする必要はないよ。それでなん着欲しいんだい?」
「うっ!えっと…そのぉ…20着です」
シルフィアが言いづらそうに言う
「こっ!これでも我慢したほうなんですよ!?」
「やっぱり女性は服が好きなんだねぇ」
ハクトはある意味感心してしまった
「ハクト様……本当に全部買ってもいいんですか?」
「ああ、いいよ。でも、全部買ってもまだ予算が余るね…エニファ、ユリィはどんくらい選んだんだい?」
「私は8着でユリィは7着です」
「遠慮しないでいいんだよ?」
「いっいえ!遠慮したわけではないんです。ただ自分に合うものがこれらだったというだけです」
「そうかそうか。それじゃあシルフィアは欲しい服全部買っていいよ。我慢しなかったらなん着欲しいんだい?」
「……後、5着欲しいです」
「素直でよろしい!それで、全部でいくらになる?」
「はい、全部で金貨50枚となります」
「それじゃあこれでおつりをもらえるかい?」
「かしこまりました」
白金貨を渡しおつりを受けとる
ハクトはアイテムボックスにいれる風にみせかけ『空間収納』の魔法を発動し、服をすべてなかにいれる
「それじゃあ宿に戻ろうか、明日、ワークルに教えてもらった奴隷店にいこう」
・・・・
宿に着いたら人数がユリィを含めた5人となり、これから一人増える予定なので新しい部屋を用意してもらった
値段は変わらなかったし、食事も相変わらず美味しい
ユリィなんて泣いて食べていたほどだ
そうやって和気あいあいとしながら夜が明ける
ようやく店主の名前をだせました




