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第四十一話奴隷4

「ハクト様!」


シルフィアがハクトの異変に気づいてすぐに駆け寄る

そして、すぐに脈をはかる

大丈夫……ちゃんと動いている


「パパ!パパは大丈夫なの!?」


「主様!」


ケイルとエニファが心配そうに駆け寄る


「脈は動いているので大丈夫でしょう、店主、ハクト様を寝かせる部屋を用意してもらえますか?」


「かしこまりました」


ユリィはすぐにこの状況を理解できていなかったがふと、我に帰ると自分の主人が倒れていることにひどく混乱した


「ご主人……様は…大丈夫なの?」


「ええ、大丈夫ですよ。ハクト様はSランク冒険者です。こんなことで死んでしまうような方ではありません」


「本当…に?」


「ええ、本当です!」


シルフィアの力強い言葉に安心したのだろう

少し笑みをうかべると気を失ってしまった


「ユリィ!?」


「大丈夫です。おそらく呪いが解けた反動でしょう。少し寝かせておけばなにも問題ありません」


戻ってきた店主がそう告げる


「お部屋をご用意させていただきました。こちらへどうぞ」


ハクトはエニファとケイルが支え合いながら部屋へと連れていく


「大丈夫かなぁ?」


「大丈夫よ、なんてったって私たちの主ですもの!」


エニファが元気そうにいうが空元気なのは一目瞭然だった

ハクトがこんな状態になるのは初めてだったのだ。心配するのも当然といえるだろう


いつも私たちに笑顔をみせ、救ってくれる

ケイルもエニファも、そして、ユリィも救ってくれた

そんな愛しい主人の暖かい雰囲気がシルフィアもケイルもエニファも大好きだった

ただし、ハクトはこれからも無茶をするだろう

人のために己のからだを投げ打つなんてことは常人にはできない、それが命がかかっているとしてもだ


良く小説であるような誰かのために自分の命をかけて助けるという行動はどれ程高潔なことだろう

たったひとつの勇気でたったひとつの覚悟さえあればできる行動だ

たとえ、自分が死なないと思っていてもそれに生じる痛みや苦しみに耐えることのできる者はこの世界に何人いるだろう


無償の愛なんて奇麗事だと思う人もいるだろう

ただし、母から生まれ両親に育てられるという行為も無償の愛と言えるだろ

特にこの世界では、親のいない子供は別段珍しいものではない。もちろん全員がそうなっているわけではないがモンスターに襲われた、戦争で亡くなったなど理由はありふれたものだ


ただし、自分で親を殺してしまったという人は珍しいだろう

しかも、ユリィは自分の意思ではないのだ

愛情に溢れた生活を自分で、いや、自分の呪いで壊してしまった彼女の心境はいったいどれ程のものだったか


・・・・

ハクトを部屋のベッドに寝かせる

ユリィも隣のベッドに寝かせている


シルフィアがハクトのすぐ側に甲斐甲斐しく世話を焼いている

「・・・本当に無茶をするんですから」


誰にも聞こえないように呟く

シルフィアは最もハクトの近くにいる存在だ、そして、初めてハクトがこの世界であった人でもある

そんなシルフィアだからこそハクトの心の内を理解している

ハクトはユリィのような存在を無視することなどできないし、これからも無視することなどしないだろう


ただし、それは全員ではない

悪人や救うに値しないと判断した者には救いの手などさしのべない

これを聞いてハクトが偽善者だと思うかもしれないがそれのなにが悪い

この世界では命の価値は低い

相手を殺さなければ自分が殺される、そんな世界なのだ


ハクトは愚かではないため、相手を殺すことを躊躇うことなどしない。そもそも彼はダンジョンマスターなのだから本来人とは敵対する関係にあるのだ。躊躇したら自分が殺される


たとえ、なにも悪いことをしていなかったとしてもだ


そもそも人はモンスターを殺すのはいいのに人を殺すのはダメなどということは矛盾しているのでは?とシルフィアは思っているもし、聖人と呼ばれる人ならば命を奪うこと自体をしないのが正義というものなのでは?と思っているがそれは難しいだろう。


自分の命は誰だって大切なのだ

当たり前だろう誰だって死にたくないのだ


だから、この世界では人がモンスターを殺すのは正義であり、正しいことだと教えられる


ただ、なかにはテイマーと呼ばれるモンスターを仲間にするという存在もいるらしい

そういうとハクトはチコを仲間にしているためテイマーと呼ばれる

ただし、まだ、チコを見た者はまだチコが幼体の姿しかみたことがないためテイマーと呼ばれるより愛玩用に育てていると見られているが

もちろんチコがSランクモンスターだと見破った者はいない


このように一部の例外を除きモンスターは殺すものだというのが常識であり、それが正しいのだ

もちろん、モンスターは必ずといっていいほど人を襲う

ゴブリンなどがいい例だろう

ゴブリンは知能が低く相手との力の差がわからないためたとえ格上でも襲う

さらに、相手よりも数が多いため襲うなんてこともあるらしい


ただのゴブリンはこんなものだがこれが上位種になり集落をつくったりするととたんに危険度が増す

ただのゴブリンはEランク

つまり、ただの農民ですら殺せる


だが上位種となるとD、Cとランクが上がっていく

そして、上位種は頭も良くなるため仲間いや、配下をつくり伝説ではゴブリンの王国をつくったものがいたほどだ


・・・・

一時間ほどするとハクトが起きた


「ん……むぅ…おや?」


「お目覚めですか?ハクト様」


「あれ?シルフィア?僕はいったい……?」


「ハクト様はユリィの呪いが解けたあと意識を失ってしまい倒れたのです」


「ああ!そういうことか、まぁユリィの呪いが解けたのはよかっ……どうしたの?シルフィア?」


シルフィアの様子がおかしいことにハクトは気づく

シルフィアは我慢していたがもう我慢できそうになかった


「ハクトざま!良がっだ!死んでじまったらどうじようがと……!」


シルフィアはハクトに抱きつきハクトの胸を湿らせる

ハクトのことを誰よりも心配していたのはシルフィアだった

そして、ハクトが起きるのを誰よりも願っていたのもシルフィアだった


「ごめんね、シルフィア」


「良かったっ!!本当に良かった!」


数分するとシルフィアも泣き止んだ

少し、恥ずかしそうにしながら


「申し訳ありません。ハクト様」


「いや、シルフィアはなにも悪くないよ。心配かけてごめんね」


「ハクト様、おからだの方はもう大丈夫ですか?」


「ああ!もう大丈夫だよ。それと、ケイルとエニファはどこにいるんだい?」


「店主と一緒にハクト様の条件に合いそうな奴隷の情報を整理しています……っと来たようですね」


トントンとドアがノックされる

「失礼いたしま……っ!ハクト様お目覚めになられたのですね」


「パパっ!大丈夫!?」


「主様!」


ケイルとエニファが心配そうに駆け寄る


「ああ、もう大丈夫だよ。」


「ハクト様、ご質問ですがユリィをお買いくださるのはこちらはなにも問題ありませんがユリィはハクト様に見合う才能の持ち主なのでしょうか?それと、ユリィの呪いを解く条件はいったいなんだったのでしょう?」


「主人は彼女を鑑定したことあるかい?」


「実は呪いの影響で鑑定してもわからなかったのです」


「ふむ、それなら仕方ないか……彼女はね」


そこで、ハクトは1拍おきこう告げる


「レアスキルの炎使いの魔術師だ、さらに、固有スキル持ちのね」


その言葉は皆を驚かせるのに充分だった






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