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第四十話奴隷3

「えっ……?」


ユリィが小さく声をもらす

そして、状況を理解すると、、、


「ダメっ!あなた死んじゃう!」


抱きしめられたことの驚きよりもハクトが死んでしまうと心配……いや、拒絶する


「大丈夫だよ・・」


「早く離れて!じゃないと呪いがっ!!」

ユリィがそういった瞬間


「ぐうあああぁぁぁああ!!」


ハクトが叫ぶ

からだの内側から焼き尽くされる炎による痛みに耐えきれず叫んでしまったのだ


「ハクト様!」


「パパ!」


「主様!」


シルフィア達の心配する声で我にかえる


「ぐうぅ」

それでも痛みは消えない

だが、ハクトはこの子を離すなんて一ミリも考えていなかった

この子の呪いを解くことを諦める気などさらさらなかった

今までこの子はどれ程の苦痛を受けてきたか

その痛みと比べたら今の自分の痛みなんてたいしたことじゃない


その時間は20分ほど

それだけの時間をハクトは痛みに耐えたのだ


そして、ユリィのからだから光が輝きだす

突然の光景に皆驚いた


「これはっ!!まさか!」


店主が驚きの声を響かせる

店主は以前、呪いの解呪を成功したときの光景を思い出す

あのときもこのように呪いをもっていた者が光を発していたということをだ


「ハクト様!もしや、解呪を成功なされたのですか!?」


ハクトは店主へ向けて笑みをうかべる

それだけで伝わったのだろう店主は泣きながらも同じように笑みをうかべる


ユリィの方へ顔を向けると彼女も泣いていた


「私の……呪いを…解いて……くれての?」


「その通りだよ」


「私…もう……誰も…誰も触れたら死なせない?」


「ああ!」


「本当…に?」


「ああ!!!」


ハクトの力強い声を聞いて安心したのだろう

今まで我慢していた涙が止めどなくながれる


「うえええぇぇぇぇええん」


そんな彼女をハクトは優しく抱き締める

もう、怖がらなくていいのだ

誰も殺してしまうことはないのだ


まだ小さい彼女は誰かに触れることすら許されなかった

それはどれ程彼女に重しとなっただろう


実は彼女は生まれたときから呪いをもっていたわけではない

まだ、六歳くらいだったときにいつのまにか呪い受けていたのだ

彼女自身その呪いをうけるなにかのきっかけがあったわけではないのだ

突然彼女に呪いがつけられていた


あれは、彼女が外から家に帰った時だった

いつものように母親が「おかえり」といって抱き締める

いつもどおりの家族のスキンシップ


ただ、いつもと違っていたのはユリィが呪いを受けていたこと

そのときの光景は今でも目に焼き付いている

母親が身体中を焼き付くし絶叫をしながら死んでいった


まだ、幼い彼女にはなにがあったか理解できなかった

まだ、死という概念すら理解できていなかったのだ


ただ、母親が痛ましい叫びをあげ動かなくなった

その事実がどうしようもなく怖かった


「ママ?ねぇっママ!ママぁぁああ!!」


ユリィは泣き叫んだ

起きて!起きて!っと母親のからだを揺さぶる

それでも、母親は起きない

当たり前だ、死んでしまったのだから起きるはずもない


彼女の泣き叫ぶ声が聞こえたのだろう村の隣人が家にきた


「どっどうしたの!?ユリィちゃん!」


「ママがっ!ママがぁあ!」


この声でなにがあったのかを即座に察する

何故かはしらないがユリィの母親になにかがあったのだろう


ただ、少し疑問が残る

それは匂いだ

肉の焼けたような匂いが立ち上っているのだ


「今、神官さんを呼んでくるわね!」


神官というのは、洗礼を受けた神に従う者のことで基本的に回復魔法を使う人のことをいう

神官は基本的に教会に所属していて、怪我や病気の治療といったことを行う

なお、これは無料ではなくしっかりと治療の度合いに見合った料金をとる

何故ならそれを職業にしているため、それで生活しているのだ

もし、これを無料でやってしまうと日々の生活さえ遅れなくなってしまう


もちろんこれはどこの教会もそういった方針をとっている

こういうと教会が無償でやってやればいいと思うかもしれないがその費用で神官の生活も新たな教会の増設、また、新たな回復魔法、治療法の開発などを行っているのだ


ユリィの村は一人だけだが、神官がいるため、それを呼びにいったのだ


「ユリィちゃん!大丈夫か!?」


神官がユリィの家に着いた

そして、異常な雰囲気の部屋をみる

母親に抱きついてママがママがと泣きついているのはまだいい

が、神官をしている者にはわかるこの不浄なものをかんじる


(なんだ……これは?まさか!?)


「ユリィちゃん!あなた呪いにかかってるね!?」


「……へ?呪い?」


そう、神官が感じたのは呪いの気配だった

それも、強力な呪い。まるで、吐き気を催すほどに悪意に満ちている呪いだった


私では、呪いを解くことができない……と悟った

もちろん、この神官が呪いを解くのが不得手というわけではなくこの呪いが強すぎるのだ


教会の本部、つまり、数ある教会のなかでも最も優秀で最も神官の数が多いところなら解けるかもしれないがただの村人では料金が支払えない、というよりもそこに行くまですら大変なのだ

そんな距離を彼女が行くことはできないだろう


しばらくすると、猟師である父親が帰ってきた


「ユリィ!ミリィ!」


ミリィとはユリィの母親の名前だ

そして、ミリィが倒れていてユリィが泣いている光景をみてすぐに近づこうとすると神官に止められる


「待て!ユリィに近寄ってはいかん!彼女は呪われている!」


「なっ!!」


「呪いの内容はわからないが彼女に触れてはいかん!おそらくユリィに触れた者に反応する呪いだろう……死にたくなければ決して触れてはいかん!」


「何をいう!俺はユリィの父親だぞ!そんな俺が娘を己可愛さに近寄らないとでも思うのか!」


そう言ってユリィを抱き締める


「ほら!ユリィ!こっちに来なさい」


「でも、パパ!」


「大丈夫だ。俺は元冒険者だ母さんよりも丈夫だ。ほら!こっちにおいで!」


「うんっ!」


ユリィが父さんに抱きつく

次の瞬間


「ぐうぅああああ!!」


父親の叫び声が響く


「パパ!」


「だっ大丈夫だっ!」


痛みに焼ききれそうになりながらもユリィに笑みをうかべる

実はユリィの父親にはある根拠があった

以前に呪いをうけたものが呪いを解くためにはある条件があると教えられたことがある


そして、この呪いには発動する時間が上限があると教えられたのだ

つまり、二分発動するという条件があったら二分を越えると呪いが解除されるということだ


何分かかるかなどはわからないがそれでも父親として娘のために命が失われようとも助けるという気持ちはなんと高潔なことだろう


ただし、ハクトが現れる前に呪いをもっていたということからわかるように父親は最後まで耐えきることはできなかった


それでも3分ほどからだ中を焼ききることに耐えきれたのは元冒険者ということも納得できるだろう


母親が即死したのを考えると天と地ほどの差がある


ただ、ユリィは自分の呪いのせいで自分の両親が死んでしまったということは強いショックをうけた


そこからはなんということはない


村の皆が呪いをもっていることを気味悪がり商人へ奴隷として売られた


ただ、そこで、売られた場所が店主の場所だったというとはささやかな幸せだったのかもしれない

店主はユリィの父親に恩をうけた

だから、彼女の呪いを解呪しようと試みたことは何度もある


ただ、一度も呪いは解けなかった

店主も幾度か諦めようとしたがやはり諦めきれなかった


そして、今日!ついに彼女の呪いが解けたのだ!!

なんと素晴らしいことだろう!


そして、ユリィが泣き止むと


「あり…ありがとうございます」


少しつっかえながらもお礼をいった


「呪いが解けて良かったよ」


と言ってハクトが微笑む


「店主、彼女を買いたい。いくらだ?」


「っ!えっ?」


ユリィが驚きの声をあげる


「ハクト様、料金などもらえるはずがありません!呪いを解いたということで対価をもらったも同然です!」


「そうか、それは…良かっ…た…」


ハクトがそう呟いた瞬間ハクトが倒れる


「ハクト様!」








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