第三十八話奴隷
序列闘争でハクトの勝利に終わり、皆で闘技場を後にする
いまだに興奮冷めやらずといった雰囲気で満ちている
ハクト達はギルドでカードをもらう
「それでは、こちらが冒険者の身分証明となるカードになります」
昇格試験と序列闘争によって少々遅れたがハクトとケイルのカードが受付嬢から渡された
それぞれにがランク、Bランクとわかるようになっている
「ありがとう、それと聞いてなかったね。あなたのお名前は?」
「私はカーラという名前です。よろしくお願いしますね」
「カーラね、了解。よろしく頼むよ」
お互いに微笑み合う
「あぁそれと、ギルドではチームを組むさいに登録が必要と聞いたんだけど、今できるかい?」
「はい、問題ありません。」
「それじゃあ、僕とケイル、エニファの三人でとりあえず登録しておいてくれ」
「かしこまりました。チームを組む場合チーム名を決める必要があるのですがお決まりになさっていますか?」
「ふむ……みんなと話し合ってから決めることにするよ。ただ、今のチームだとちょっと役割が偏っているんだよね。だから、二人か三人これからチームに入れる予定だからそのときに決めようかな」
「それでしたらギルドの方で目星をつけておきましょうか?」
「ギルドでは、そんなこともしてくれるんだね」
「ええ、冒険者ギルドに所属している冒険者でソロで活動している者ももちろんいます。実力が噛み合わないチームから脱退する冒険者は意外と多いのですよ。なので、そういった場合にギルドの方から推薦をすることで、チームを組み、死亡する危険を減らすようにしているんです。もちろんギルドで推薦する人は人格や性格などで問題のない人が選ばれるため、安心してください。ハクト様はどのような役割を求めているのでしょうか?」
「僕が求めているのは後衛だね。魔法使いや弓使いなどが欲しいかな」
「分かりました。他に条件はございますか?」
「まず、実力や才能があるのは最低限必要なものだね。今は実力がなくても、才能がある新人でもいいけど最低でもAランクまでの実力か才能がある人がいいかな」
「Aランクですか……それだと少し厳しいかもしれません。というのも最低条件が高いのもありますがランクの高い、低いに関わらずの冒険者は基本的にチームを組みます。そのチームを抜けて、ハクト様のチームに入ろうとする人は、信用を失いますから……いないとは言いませんが少数でしょう。それに、Aランク相当の実力、才能の持ち主はそうはいません。そのためハクト様の希望する人物はこの都市ではいないと思います」
「そうか……それは残念だねぇ」
「ハクト様チームはすぐに決められますか?」
「いや、別にすぐ決めなきゃいけないわけではないよ」
「それでしたら、噂を広めてみてはどうでしょう?」
「噂……かい?」
「ええ、Sランク冒険者に最短記録で昇格し、序列2位になったハクト様がチームメンバーを募集しているという噂を流すのです。そうすれば各国から人が集まるでしょう。その選別もギルドでおこないますのでハクト様の負担は極力少なくすることが可能でしょう」
「ふむ、それはありがたいね」
「それと、提案ですが、奴隷を買うというのも手ですね」
「エニファみたいな才能のある奴隷が簡単には見つからないかと思うけどなぁ」
エニファは今年で24才
この若さでBランクの実力をもっていてまだ伸び代があるという稀有な人物だ
ハクトやケイルと比べたら霞んでしまうが
「おっしゃるとおりです。ですが、掘り出し物というのがあるかもしれません」
「それはもっともだね。それじゃあ後日いってみることにするよ。では、長く話につきあってくれてありがとう。これで、失礼するよ」
ハクトはそう笑顔でいってカーラの前を去っていった
カーラは思わずほぅと見蕩れてしまう
(格好よかったなぁ)
思わずぽけーとしていると
「カーラ、大丈夫?」
「っっ!!だ、大丈夫です!」
隣の同僚から心配されてしまったことに恥ずかしさで顔をあからめさせた
「つ、次の方!?」
動揺を隠そうと意識をそちらに向けようとしたのが丸わかりだがまぁわざわざいう必要はないだろう
ハクトは、カーラとの話を終えると皆がギルドにある酒場にいるのでそちらへむかう
そこではケイル、シルフィア、エニファ、トゥーレが談笑していた
「おう!終わったか」
いち早く気づいたトゥーレがハクトに声をかける
「ああ、今終わったところだよ。そういえばトゥーレはチームを組んでいるのかい?」
「チームといえか師匠と弟子って感じだな。俺が育てている雷魔法スキル所持者だけのチームで俺あわせて5人。それも、最低でもBランク以上の者だけのチームだ」
「それは、少数精鋭なチームだね。そもそも雷魔法所持者自体が少ないしそのなかでも才能のある者たちのチーム……まさにSランク冒険者のいるチームにふさわしいといえるね」
「はは!!お前に言われるとちょっとむず痒い感じもするがまぁありがとよ。チームの話題をふってくるってことはお前もチームを組むのか?」
「ああ、シルフィアを除いた僕たちでチームをつくろうと思っていてね。あと、何人か後衛や僧侶などの回復魔法を使える者を加えたいって思ってるんだ。それで、ギルドが協力してくれるって話だったんだけどちょっとすぐにはできそうにないみたいだね。それで、奴隷を買ったらどうだって言われたんだよね」
「ほぅ、奴隷か……それは良い手だが奴隷商によるな。ちゃんと見極めたほうが……とか、言う必要はないだろうな。それに、お前の眼があれば大丈夫だと思うが」
ハクトの固有スキル『神の目』
これがあればもっているスキルや才能がわかる
この眼があれば不良品をつかませることは不可能だろう
「奴隷の扱いは国や都市果ては奴隷商によって違う。それなりに信用のおけるところじゃないと奴隷に劣悪な環境を強いているところは少なくない。だが、そういうところのほうが掘り出し物はあるって聞くがまぁ気をつけてくれ」
「ご忠告どうもありがとう、トゥーレ」
「よせやい、ああ、それとしばらくはこの都市にいるからもしよかったら鍛練につきあってくれ。俺が真の『雷神』になるためにな」
「かまわないよ。僕もトゥーレとの闘いでより成長できるだろうからね」
「そうか、それはありがたい。それじゃあ、またな!」
トゥーレがギルドを去る
「それでは、ハクト様これからどうしますか?」
「今日はこんな時間だから宿に行こう。明日奴隷商にいこうかな。あ、そうそうエニファが売られた時の奴隷商ってこの都市にある?」
「いえ、この都市ではありません。お役にたてず申し訳……」
「いやいや気にする必要はないよ。それじゃあ宿に行こうか」
ハクトたちもギルドを後にする
宿で食事をとってしっかりと睡眠をとる
そして、夜があける