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第三十七話序列2位

「勝負あり!」


審判の声が響き、試合の終わりを告げる

ハクトの勝利だ!


「うぉぉぉおおおお!!」


観客の熱気が凄い


「序列闘争の結果、ハクトは2位に昇格!トゥーレは3位へ降格とする!」


冒険者になる初日でSランクへ昇格し、瞬く間に序列2位へ躍り出たハクトの偉業に歓声が止まらない


ハクトがその歓声に答えるべく剣を頭上にかかげる!


『わぁぁぁあああ!!』


さらに歓声が増した


序列闘争は上位の者を倒すとその順位になり、それにより上位の者が敗けると順位がひとつ繰り下げになる


トゥーレが闘技場の結界からでると傷だけでなく魔力も元通りとなる

だが、疲労は回復されないためでたら直ぐに闘うことはできないが


「ハクトよ、お前はすげぇよ」


トゥーレが感嘆を込めてハクトを誉める

たった一言だがそれに込められた称賛はハクトに痛いほど伝わった


「ふふふ、ありがとう、トゥーレ」


ハクトも微笑んでトゥーレの称賛を受け入れる


「ハクトよ、これでお前は序列2位となった、つまり、最強と称される1位に次ぐ実力をもっていることになる。しかも、お前はまだ若い。これからの伸び代は計り知れないだろう。そして、お前は必ず頂点を取りこの世界最強となるだろう。」


トゥーレの言葉は断定的であったがこれからこの言葉は事実になるだろうという絶対な自信があった


己に勝てる者のなかでもハクトとの闘いを通して溢れんばかりの輝かしい未来を見た気がしたというのが根拠だ

所詮気がしただけだろうと侮るかもしれないがトゥーレは自分が感じたものは絶対な自信をもっている


そして、序列1位との闘いとハクトとの闘いでは同じ、いや、それ以上の感覚を覚えたのだ


序列1位、つまり冒険者最強になろうとするものは数えきれないだろう


だが、誰もが壁にぶつかり、諦めていく

それは、才能であり努力である


子供のような純粋な気持ちである最強になりたいといってそれを達成できるものなど皆無に等しい

なぜならたった一人しかその頂点にいられないからだ


そして、その頂点にいる者は十年間その座を守り通している

まさに、最強の名にふさわしいといえるだろう


そして、トゥーレもその序列2位の座を長年守っていたといえるがそれは、言い換えれば長く1位の座をとれていないのだ


トゥーレにとってこれほど悔しいことはないだろう

自分は最強になれない、その現実はトゥーレにひどい衝撃を与えた

自分は努力した、才能もある、なのになぜ勝てない!

Sランクという冒険者の頂点、そこまで登りついたものは現在6人しかいない

まさに、選ばれた数少ない英傑であるといえるだろう


トゥーレも今年で30をいくつか越えた

トゥーレもいい年だ、まだ、引退を考える年齢ではないがそれでも、若いときのような無茶はしないようになっている


トゥーレは自問する、俺はこれ以上強くなれるのかと

1位に負け、ハクトにも負け、俺には未来はないのかと


トゥーレは暗い顔を、浮かべる

それを見てハクトはいう


「トゥーレはもう自分は強くなれないって思ってない?」


「っっ!!」


「それは、間違いだよトゥーレ。君にはまだ未来がある。君は忘れてるんじゃないかな?君は『雷神』というスキルをもっていない。それは言い換えればこれからそのスキルを手にいれればさらに強くなれるってことじゃないか」


そう、トゥーレはまだ強くなれる

これはただの励ましではなく、事実なのだ


ハクトからは見えているのだ

スキル『雷神』(未覚醒)

となっているのを


これは以前ケイルがなっていた封印と似たような状況で今は使えないが使えるようになる前兆のようなものだ


ゲームでの、経験値や熟練度が足りないといったら分かりやすいかと思う


この世界では、ステータスがあるがあくまで、スキルの内容を知ったりするためのものであって攻撃力がどれくらいの数値というのはわからない

スキルの名前はその内容がわかりやすいような名前となっているが固有スキルになると名称ではわからなくなるものがある

ハクトの固有スキル『一心同体』もこの世界には四字熟語というものがないので一見してわからなくなっている


しかし、『雷神』は雷系のスキルだということが一目瞭然であるため、良心的な名称だといえるだろう


さて、つまりトゥーレは『雷神』のスキルを覚醒できていないということなので、決してこれ以上強くなれないか?と聞かれるとそうではないといえるだろう

だが、ハクトはこれがいつ覚醒するか?どれくらいの経験をつめばよいのか?というのはわからない

なぜならトゥーレはハクトの眷属ではないからだ

では、トゥーレを眷属にすればよいのか?といわれるとそうではない


トゥーレは冒険者であり、ハクトはダンジョンマスター


本来は敵同士なはずの両者なのだから、迂闊に眷属を増やすことなどできないからだ

もし、ハクトがダンジョンマスターと知られたら人族の英雄になるという目標が達成できなくなる

それでは、神様との約束も達成できなくなってしまう

もちろん、別に人族にこだわる必要はないのだが今までの苦労を無駄にするのもいやだ


「トゥーレ、君はまだまだ強くなれる。この僕が保証する」


「なぜ、そんなことがわかる?」


「僕の目は不思議な色をしてるだろう?この目は特別でね、相手の未覚醒だったり封印されてるスキルも見てわかるんだ。それによると、トゥーレはいつか『雷神』のスキルを手にいれることができる。さらに、経験を努力をつむことで君はまた強くなれるんだ。だから、諦めないでくれ。君ほどの実力者が腐ってしまうのはとてもしのびないからね」


ハクトは自分の銀色の目を指さしながら言う

トゥーレはそれを聞いてひどく驚いた顔をした


そして、

「くっくっくっく、あっはははは!!」


まるで憑き物が落ちたように清々しく朗らかに笑った


「感謝する、ハクト。俺はまだ終わらない!いつかお前を越えてやる!覚悟しておけ!」


トゥーレはそう宣言した

これでもう、大丈夫だろうとハクトは少しホッとした


「あぁ!トゥーレ!待っているよ!」


二人で握手をする

その顔はとてもよい笑顔だった


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