表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/65

第三十六話VS雷神2

(これからどうするべきか……)


トゥーレは久しい興奮を覚えていることを自覚していたが頭は冷静だった


(見たところ奴の『魔斬り』は完璧ではないみたいだ……ならば奴に対応される前に一気に叩く!!)


「ハクト!俺自身がもつ最強の魔法を受けてみろ!」


そういうとトゥーレの体に魔力が集まっていく


ここでハクトは選択を迫られる


接近するか否かとということだ


ここでハクトは待ちの選択をとった


それは、正解でもあり、間違ってもいた


普通の冒険者であれば、魔力を集めているのを見て即座に接近し魔力を体に集め終わるまでに攻撃をすることが常識だろう


それも正解なのだ


では、なぜハクトは待ちの選択をしたのか?


それは、トゥーレが誘っていることを見抜いたからだ


実際トゥーレは接近してきた場合の対応もできるようにしていたた


つまりトゥーレにとっては接近されても待ちの選択をされてもどちらでもよかったのだ


(ハクトは待つことを選択したか……ならば俺の最強の魔法を食らわせるのみ!)


トゥーレのからだにさらに魔力が集まっていく

そして、トゥーレのからだからバチバチと音がなる


トゥーレの魔力が漏れだしているのだ


トゥーレは純粋な魔法使いではないため、魔力制御が魔法使いより劣るし、魔法の威力も劣る


だが、Sランク冒険者であるトゥーレの魔法がその辺の魔法使いに負けるほど魔力制御が下手なわけないし、威力だってそうだ


つまり、Sランク冒険者であり実力の確かなトゥーレですら魔力制御に手間取るほどの魔法ということだ


「っ!!あれを見ろ!」


観客がそれに気づいた

闘技場に黒い雲が集まってきたのだ


もちろんこれは異常気象ではなく、トゥーレの魔法の影響だ

雲からバチバチと雷の音が鳴り響いている


そして、トゥーレの魔法が炸裂する!!


「くらえ!ハクト!『墜落せし大降雷フォールンサンダー』」


トゥーレの魔法名を叫んだ瞬間


バチバチバチ!!

バリバリバリバリ!!


凄まじい音をたてて雷がハクトに降り注ぐ!


それは数秒のことだった


観客は誰一人としてハクトの無事な姿を想像もしなかった

当たり前だろう、いくらSランク冒険者だからといってあんな大魔法を受けて無事な姿を想像する方がおかしいだろう


だが、たった二人、いや三人はこれだけで勝負が決まるとは思っていなかった


それは、誰か?


一人はガレフ、自分に勝った男がこんなことであっけなく負けるとはこれっぽっちも思っていなかった


一人はトゥーレ、こちらもガレフと同じでこれだけで勝てるとは思っていなかった、それに……トゥーレには聞こえたのだ


ハクトがある技を放ったのを


そして、もう一人は誰か?

そんなのは決まっている


この試合で簡単に負けることなどありえないのだ


そう……どこの誰が試合に負けると思って参加するだろうか

自分を信じてない者に闘いをする資格はない


そう!誰よりも自分の勝利を信じたのはハクトだ!


ハクトは魔法を受けることを選んだ

なら、それを打ち破ってみせないと格好悪いじゃないか


「うぉぉぉおおおお!!!!!」


ハクトの口から普段みせないような気合いの雄叫びがでる!


今まで見たことない大きい、いや、大きすぎる雷に向かいハクトはこれを斬る!!


「『魔斬り』!!」


まず、一太刀、雷に向けて剣で斬る!


そして、ハクトはもうひとつ剣がある!

二の太刀!


「うぉぉぉおおおお!!」


自身の全力を込めて2つの剣を振るう!


だが、それだけでは、トゥーレの魔法は完全にかき消すことができない


だが、それならもっと斬ればいいだけだ!!


三の太刀!

四の太刀!


ここまでやってようやく魔法がかき消える


「ふぅぅぅううう」


ハクトが息を吐き出した


その姿に称賛を送るものがいる


「さすがだな!ハクト!俺の最強の魔法を斬るとは思わなかったぞ!!」


観客も沸き立つ


「すげぇ!あんなすげぇ魔法を斬りやがった!」


「さすがSランク冒険者だな、最近なったばかりの新人だと聞いていたが……」


「そんなことはどうだっていいだろ!俺はあいつを応援するぜ!」


「格好いい……」


観客からさっきとは比にならないほどの歓声が響く


「ほう、ハクト観客の心を掴んだな、さすが、俺が認めたやつだ!」


ガレフも嬉しそうにハクトを眺めている


「ふふふ、ハハハハ!!」


トゥーレが堪えきれないといった様子で高笑いをあげている


「ハクトよ、俺は自身の最強の魔法を使ったってのに無傷っていうのはちょっと自信なくすぜ」


そう、ハクトは無傷なのだ

雷をくらったのでところどころでしびれというのはあるがどこか怪我をしたっていう部分はない


「だがな、俺は魔法拳士だ、こっからは接近戦でいかしてもらうぜ!」


トゥーレが魔力を纏っていくのがハクトの目に映る


「ハクトよ、いいことを教えてやろう。俺はな『雷神』なんて異名を持っているが雷神というスキルは持っていない」


そうなのだ、トゥーレは『雷神』というスキルは持っていない

ただ、トゥーレしか持たないある固有スキルを持っている


そのスキルの名は……


「俺の固有スキル『雷身』は雷をその身に宿すスキルだ。これは身体強化の上位にあたるようなスキルでなこれをしている間は雷と同等いやそれ以上の速さで動ける。他にも腕力強化とかもあるが……まぁそれは今から味わってくれ」


『雷身』発動!


トゥーレが『雷身』を発動させると体が雷の化身になったようにバチバチと音をたてている


「これは雷を纏っている間は魔力を常に消費するんだがな、この空間は雷がところどころにあるからそれを吸収することができるんだ、さすがに全部の魔力を還元できるわけではないがな」


そう、ハクトは魔法を斬ったがそれはハクトに直接あたる範囲だけであり、全部の魔法の範囲を斬ることはできない

そんなことをしたらトゥーレの魔法で倒されていただろう


そのため、このフィールドではいまだに雷がバチバチと鳴っているとこがあり、そこからトゥーレは魔力へと変換できる


なお、トゥーレは先ほどの魔法で自身の魔力の三分の二を使っていたが、この魔力変換で自身の魔力を三分の一を取り戻すことができた


全快とまではいかなくともこれだけあれば勝てるとトゥーレは考えていた


「行くぞ?」


それは静かな一言だった


そして、まさに雷の化身となったトゥーレがハクトへ突進する!

常人では見ることすら敵わないスピードでだ


観客も残像を見ることで精一杯である

あのガレフですら完璧に対応することは不可能だと言わざるを得ない


つまり、Sランク屈指のスピードということだ

だが、思い出して欲しい


ハクトのスキル『神の目』はただ解析のスキルを持つだけなのか?


確かに解析のスキルは能力に含まれているがそれだったら『解析の目』というスキル名でいいだろう


『神の目』のスキルはあらゆる能力を複合させたものである

そして、あらゆる能力のひとつに動体視力の強化というものがある


つまり、いくら速いスピードでこられてもハクトは視認できるということだ


ただし、このスキルで強化されるのは視ることであってそれに反応する能力は強化されないのだが……


ハクトは前のガレフとの闘いで桁違いの力を見せている

そして、ハクトにはそれ相応の反応能力も備わっている


ハクトはトゥーレの突進を視認し、そして、すでにどの攻撃にも反応するよう神経を研ぎ澄ました。


そして、それにトゥーレも気づいた

トゥーレは驚きはしたがそれによって迷いをみせることなどしない


トゥーレはまず突進し直前で雷の矢をだす

これは目眩ましと先手をとるためだ


そして、ハクトはそれに対して『魔斬り』で対応した


それに対してトゥーレは笑みを浮かべる


(『魔斬り』を使ったということは一手遅らせるということ、この一瞬の差が命取りだ!)


たった一瞬、されど一瞬

この差は強くなればなるほど大事になる

とくにSランクとなればその一瞬で負けることの方が多い


「くらえ!」


ハクトに向けて拳を穿つように放つ

さらに、今のトゥーレは『雷身』を使っているため拳自体が雷を纏っているため感電させる追加効果がでる


ハクトは『魔斬り』を使った後であり、反応することができないとトゥーレは思っていた。


だが、トゥーレはひとつ間違っていた

ハクトの身体能力を侮っていたのだ


トゥーレの拳がハクトに突き刺さる瞬間……


ハクトの剣がトゥーレの拳と打ち合う!!


「ガキィン!!」


拳と剣が打ち合ったとは思えないような音がなる


「ちぃっ!!」


トゥーレが呻くように後ろへ跳ぶ

ハクトの力とトゥーレの力がぶつかりあい力負けしたかたちだ


「俺の『雷身』は身体能力強化も含まれているんだが……それに打ち勝つとはどんな馬鹿力だ」


トゥーレが呆れたように呟く


それにハクトは肩をすくめる

ハクトはSSランクの身体能力を『一心同体』で得ているためなのだがそれをわざわざ教える必要もない


「それじゃあ、トゥーレ、こちらからもいくよ!」


ハクトが地面を踏みしめると

一気に駆け出す!


その速さはトゥーレとも遜色ない


トゥーレも一瞬驚いたが直ぐに笑みを浮かべる

楽しくて仕方がないのだ

自分と同じ強さの領域にたつものなど片手で数えるほどしかいないトゥーレにとって強い、しかも自分と真っ正面から闘えるものがいるというだけでトゥーレは純粋な喜びをかんじた


トゥーレは戦闘狂のけがあるのかもしれない


そして、直ぐに顔を引き締め、ハクトに対応する


剣と拳が数十合打ち合う

そして、だんだんトゥーレが押されてくる


トゥーレは魔力を常に消費しているため長期戦はハクトの有利になるだけだ

だがそれが出来ない


なぜなのか?

それは単純にハクトが強いからだ


魔法を発動しても、斬られるか避けられる

さらに魔力が減っていく


トゥーレは歴戦の戦士、そう簡単にはやられない

だが、これでは負けるのも時間の問題だと悟る


(これは、まずいな……)


トゥーレは馬鹿ではないし、戦闘においては天性のものをもっている

というかそれが高ランク冒険者の必須な才能なのだが…


(いったいどうしたら……)


これはもう自爆覚悟でいくしかないかと覚悟を決め、残り少ない魔力を全て使おうとすると


「トゥーレは『魔斬り』ただ魔法を斬るだけのスキルだと思っているかい?」

戦闘中とは思えない軽やかな声でハクトは尋ねる


トゥーレはその意味を直ぐには理解できなかった

そもそも『魔斬り』自体が伝説のものなのでわからないのも当然なのだが


「魔法を斬ることはつまり魔力を斬るってこと、つまり『魔斬り』を使って相手のからだを斬ると魔力を斬り飛ばすことができるんだよ」


それを聞いたトゥーレは直ぐに決着をつけようと動こうとしたがそれよりも一歩ハクトの方が早かった


「『魔斬り』!!」


ハクトがトゥーレを斬る!


トゥーレは自身の魔力が急になくなり『雷身』を維持できなくなる

さらに、魔力がなくなることでひどい倦怠感を覚える

自分の魔力が空になると意識を失ってしまう、そのためトゥーレは意識をしっかりするので精一杯だった


そして、トゥーレの首に剣が突きつけられる

もう、トゥーレはなにもできない、完敗であった、だがそれは清々しい気持ちになれるものだった


「俺の敗けだ」


トゥーレの宣言で闘いは終わる


「おおぉぉぉおおおお!!!」


観客も沸き立つ

ハクトの勝ちだ!!



過去最長の文章になります

それよりも本当に本当にお待たせしました

なるべく早く次話を投稿できるように努力します

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ