第十二話ドラゴニュート3
さて、心苦しいがこれは言うべきことだろう
「ケイル……残念ながら君の母親は殺されてしまったみたいだ」
それを聞いたケイルの様子を伺っているとかなりショックを受けているようだ。
「あれ?おかしいな、こうなるって分かってたのに……悲しいよぉ…お母さん……なんでだよ!どうしてあんなに優しかったお母さんが殺されなきゃいけなかったんだよ!」
ケイルは泣いていた。そして、怒っていた。この世の理不尽に、そして、自分の弱さに
「僕がもっと強かったら!僕がこんな黒く生まれてなかったら!なんでこんなにも世界は残酷なんだよ……」
ケイルの心からの思いが嘆きとしてでてきている
「ケイル……君は強くなりたいかい?」
「強くなりたい!誰にももう奪わせない!理不尽をはねのける強さが欲しい!」
「じゃあケイル、僕の眷属になってみないかい?」
ダンジョンマスターとモンスターや人、亜人との間に結ばれる主人と眷属の主従関係のことを言う。ダンジョンマスターとダンジョンモンスターの間に結ばれるといろいろな利点があるがダンジョンから出られなくなるというデメリットもしょうじる
もちろん領域を外につくった場合はその領域のある限りまで外に出られる
これにはシルフィアも当てはまるシルフィアと僕は眷属と主人の関係だ
「どうかな?僕ならケイルをあのドラゴニュート達よりも強くしてあげるよ!」
「分かった!お兄さんの眷属になる!その代わり絶対に俺を強くしてね!あいつらを見返してやるんだ!お母さんの仇は絶対にとるんだ!」
復讐に燃えるケイル、その決意は本物だ
これからケイルは死物狂いで強くなるだろう
そして、復讐を果たすだろう。こんなにも小さいのに憤怒に身をつつんでいる
ケイルの母は復讐なんてしてほしくはないだろう、どこかで平和に楽しく子供らしく生きて欲しいと願っているのかもしれない
でも、これはケイルが決めたことだ
なら僕はケイルを強くするために手伝おう
僕がケイルに理不尽をはねのけるような強さを与えよう
「では、ケイル、眷属の誓いをしようか」
眷属の誓いの方法は簡単だ。ダンジョンマスターの血を少し眷属に飲ませればいいそして、このダンジョンマスターの眷属になると誓う、それだけだ
シルフィアはそんなことしなかったのは元々眷属と主人の関係だったからだ
「俺はお兄さんの眷属になる!」
そう宣言した直後僕とケイルの間にパスが繋がった感覚ができる
「これで眷属の誓いは終わりだよ。さて、ケイルは自分のステータスは見たことあるかい?」
「あるよ!でも、とてもじゃないけど強くはなかったよ」
「ふむ……それだとこれは特別に見られなくなっているのかな?」
僕の固有スキル『神の目』は『鑑定』の上位の『解析』に加えてその人の潜在能力や封印されているスキルを見ることができるなので、僕が見たケイルのステータスはこうなっている
【ケイル】
職業なし
種族ドラゴニュート
ランクD
固有スキル・黒龍化(封印)
レアスキルなし
コモンスキル・格闘適正(中)
・格闘術レベル2
こんな感じのステータスとなっている
固有スキルが封印されているのはやはりランクがまだひくいからだろう
この固有スキルは、普通のドラゴニュートではできない龍になることができるのだろう
それにステータスにはでてないが頑丈な鱗や普通の人間を凌駕する身体能力、爪や尻尾などを武器に使えるのを考えるとケイルは順調にいけばSランクになることもできるかもしれない
(なかなか育てがいがありそうだ)
これからの未来はきっとケイルにとって良いものになることを願おう