表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/57

黒髪の幼女に出会う

黒い塊に見えたのは、彼女の髪が原因だ。

長い長い、真っ黒な髪の毛。

ただ黒いだけでない、僅かに紫の混じった黒髪はさらさらと流れて魅力的にみえる。

さらに面白いことにその長い髪を身体に巻き付けるようにして眠っていた。まるで童話の世界にでも来たようだ。


「クロちゃーん。おきてるでしょー?このしろいのおねがいねー」


ニナさんが階段から声をかけて、そのまま先程の部屋へと戻っていった。ていうか、しろいのって言い方。

そして、声をかけられたとうのクロちゃんは動かない。本当に寝てるんじゃないかと思ったが、のそのそと動きだし、ゆっくりと立ち上がった。

前髪も長く顔がよく見えない。

カーテンを開くように髪をわけて、彼女は片目を出す。


「しっろ…………」


これが、僕を見たクロちゃんの第一声である。

結構、傷つく。僕も思ってたけど。子供って正直だ。


「………あなたも買われたの?」


「え、いや、森で迷ってたのを助けてもらったんだ」


「助けたわけじゃないと思うけど」


マジか。こんな感じだから、薄々感じてたけど、何されるんだろう。

というか、買われたってなんだろう。

不安を感じていると、クロちゃんが話を続けた。


「とりあえず、私たちは子供だから性処理には呼ばれない。ニナもまだ呼ばれてないし」


こんな小さい子から性処理なんて言われるとは思わなかった。というか、ニナさんが呼ばれたとして犯罪じゃないのか。オッサンたち、やっぱりヤバい人だったらしい。


「リコの花をとったり、水汲みしたり、雑用が仕事だから。明日からよろしく」


「え?」


「私もやるし、よろしく」


いつの間にか働くことにもなっている。

僕は街へと行きたいだけなのに。


「ええと、クロちゃん」


「ちゃん、やめて」


「あ、はい。クロ」


「クロ?」


「クロさん」


「そう」


この子も怖い。


「もう日もくれるし、仕事は明日から」


「いや、僕は」


「明日からだから」


そう言って、クロさんは先程の位置に戻って髪の毛にくるまって横になってしまった。

どうにもこの夢の登場人物は話を聞いてくれない。ニナさんも帰ってくる気配はない。

部屋もどんどんと暗くなっていく。


仕方がないので横になる。


もう夢も終わるのかも知れない。

次は海の上だろうか。

暗闇で不安が膨らんだ。

目を閉じる。


夢から覚めるため夢をみよう。

本当にこれが夢ならば。

の話だが。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ