いきなりピンチ
縁というのは不思議なもので、時より運命を感じてしまう瞬間がある。
今まで何の縁もなかった人間と、自身の近親者が同じ仕事場に勤めていると聞いたときは世間の狭さをありありと感じたものだ。
他にも自身に今まで起こらなかったハプニングが繰り返し起こるようになった時。
そんな時は、神様が本当にいて、ゲーム感覚に面白可笑しく自分を苦しめている。なんて風に思ったりした。
もちろん、そんなことは被害妄想だと思うし。
これからも思うんだろうけれど、現在の状況はあまりに酷い気がする。
「あの女。次に会ったら、あの生爪を剥いでやる…………!」
「にゃー。もう奴隷はいやー」
女子二人が檻の中で嘆いている。
否、クロさんは眼を血走らせ、黒髪を揺らめかせて怒りを表現している。
かく言う僕も、その檻の中にいる訳だが。
この世界に来て、捕まったり、檻に入ったり。
そんな事が増えた気がする。
「いやー、うん、強く生きようか!あはは!」
僕ら三人以外にもう一人。
頭を掻きながら、朗らかに笑う金髪の女性。
その人がショートボブ気味の髪を揺らしてニコニコと笑っている。
「お前もだ、楽に死ねると思うなよ…………!」
「……あー、はい、えと、すいません。えと、助けてください、はい」
もはや、クロさんの言葉がゴッドファーザーみたいになっている。金髪の女性、アルディナは正座をして檻の隅で小さくなった。
ニナさんは涙目で外を眺めたままだ。
ガタガタと揺れる。
どこかに運ばれているようだ。
ギンは無事だろうか?
旅の友の無事を祈りながら、今に至る経緯を思い出していく。
まずは、金髪の女性。
アルディナとの出会いから。




