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なぜかいつもしまらない

「そうだー、シロちゃん」


「なんです?」


何かを思い出したようにニナさん言った。


「シロちゃん、お家見つかったら。すぐ帰っちゃうー?」


そのつもりだが、ティラーナまでは旅を続けたいという気持ちは芽生えている。

そんな風に伝えると腕を組んで、ニナさんが何かを考え出した。


「どうしました?」


「えー、うんとねー。ティラーナまで、たぶん半年か一年なんだけどー」


「はい」


「そしたらー、シロちゃんまだ大人じゃないからー。お礼ができないよねー?」


「はい?」


「ちゅーより、すごいことー」


そういえば、ドロテアで、そんなやりとりがあったことを思い出す。

いや、違う。

この人、何を言い始めるんだ。


「わたしー、経験ないけどー。やりかたは知ってるからー。どうしよー?帰るときにしちゃうー?」


誰か、この猫を止めてくれ。

て言うか、何をするんだ。

何をしちゃうんだ!


胸のドキドキが止まらないね!


「あ?」


地獄の底から響くような声。


とんでもない寒気がした。


ドスの聞いた声が聞こえ、振り返るとクロさんがギンの頭の上に乗っていた。

黒い髪が揺らめいている。

強い魔力を感じる。まだ、本調子じゃなかったはずだ。

なぜか、ギンも同調している。

口から煙が出てる。

なにあれ、怖い。


「あの、クロさん?」


「ギン、殺れ」


その言葉とともに、頬に衝撃が走る。

なにこれ、痛い。

超痛い。

前に受けた一撃の百倍は痛い。


「くたばれ、エロガキ」


クロさんの吐き捨てるような言葉。

ギンの叫びが聞こえる。

お前は僕の味方だと思ったのに。


ヤバいコンビが生まれた。

そんな思いが頭に浮かんで、意識が消える。


起きたとき、足首にロープが巻かれて引き摺られていた。


その扱いはあんまりだと思う。

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