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八話 修行の結果 (一か月後)

ハアハアと、息をしながら座りこむ。異世界に来てから、もう一か月かぁ、とボロボロになった両手を見ながら感慨気につぶやいた。まさか来てそうそう修行に励むことになるとは、異世界ライフも楽じゃないんだな。

「よぉ〜頑張ったやないか、坊っちゃん」

そう言いながら近づいて来る赤色のスライム。

「相変わらず、ステータスは低いんやろうけど、わいが生きる術を一か月間みっちり教えこんだんや〜。まあ、大丈夫やろ。」

「はい、師匠!」

俺がそう返事すると赤スライムが感慨深く?こっちを見て、「アッと言う間やったなあ〜」とつぶやいた。確かに当事者じゃない人?からみたらそうかもしれないが、俺は結構長く感じた。最初の腕立て伏せから始まってよくここまで来れたもんだと思った。

「じゃあ、そろそろわいは行くわ。」

と少し名残惜しそうに言った。

「そうですね。迷宮ダンジョンスライムである師匠はダンジョンを一か月ぐらいしか離れられないんですもんね。」

「ああ、そうやな。やからそんな泣きそうな顔すんなや。わいが悪いみたいやんか。」

俺は淡々としているように見えて実はそうではない。いや、実際死の瀬戸際だったからこんなに名残惜しいのかもしれないが本当はもっと師匠といたかったのは事実だ。

というよりも一緒に旅をして行きたいとまで思っている。でも、師匠は迷宮ダンジョンスライムだ。ダンジョンをそこまで長くは離れられない。だから俺は精一杯もっと一緒にいたいという欲求を抑え、できるだけ明るく言った。

「師匠、気をつけてくださいね。」

「そっちのほうが正直不安っちゅうのはあるんやけど・・・しゃあないか〜。」

そう言いながら師匠はこっちに背?を向けながらポヨンポヨンと音をたてながら行った。俺はそれを見えなくなるまで眺めていた。俺は見えなくなって数分経ってから「じゃあ、行くか!」と少し腑抜けている自分に気合をいれるように叫んだ。





話は一か月前、というかステータスを見せ合った直後ぐらいにさかのぼる。




「めっさ、弱ッ!」

それが赤スライムことアキラさんに俺のステータスを教えたときの一言目の感想だった。いや、確かにスライムに負けるくらいだから弱いのは理解できるがいくらなんでもその感想は辛辣すぎると思う。もう少しオブラートに包んでも・・・

「いやいや、これは弱いなんてもんじゃないで!坊っちゃんもスライムに負けるくらいやか自分が弱いくらいはわかっとるんやろけど・・・、これはさすがにないわ〜」

そうそう、俺が男だと発覚したときからアキラさんの俺の呼び方は坊っちゃんになった。俺の年齢を考えると俺は坊っちゃんという歳ではないがアキラさんからしたらまだまだ俺は坊っちゃんの範囲に入るのかもしれない。だから、俺はあえてそこにはふれない。まあ、俺の呼び方はどうでもいいとして本題に入ろう・・・俺のステータスってそんなに低いのか?確かに俺は高い方ではないだろう。なぜならあのスライムに負けたのだから。そう最弱と名高いスライムに。そこからみたら確かに俺のステータス低いんだろうがそれでも村人よりも少し劣るくらいだと思っていたのだが・・・

「わいが意地悪言うてると思うとるんやったら大間違いや。なんせスライム言うたらそこら辺のガキンチョが蹴って殺せるくらいなんやで〜。それ考えたら坊っちゃんは・・・」

アキラさんがなにを言おうとしているかはわかった。つまりあれだ。俺はその辺のガキンチョの蹴りで死ぬってことだ。

弱すぎんだろがッ!あのクソ神、なぁ〜にが異世界こっちに来たら特典をつける、だ!弱すぎてスタートでつまずくじゃねーかボケがぁ〜!

俺はやってらんねぇとばかりに木を殴りつけ、その痛みで悶絶していた。その姿を見てらんないとばかりにアキラさんがある提案をしてきた。

「わいがここにおられんのは一か月ぐらいやけど・・・それでよかったら稽古つけたろうか?」

「え!、いいんですか?こんな俺にアキラさんの手間をかけさせちゃって・・・」

「なぁ〜に、わい、もともとここに来ても特にすることはなかったけんなぁ〜。少しの間やけどわいが強くなる術を教えたるよ」

「是非、お願いします!」

こうして俺は赤スライム(アキラさん)に一か月という短い期間、弟子入りすることにした。



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