五話 最弱
ポイント入れてくれた方、ありがとうございます。
これからも精一杯頑張りますので、見守っていただけると有難いです。
色々あってせっかくの冒険気分が台無しになってしまっていたが、ついに冒険の始まりである。神のルールで少し縛りがあるとはいえ、一応異世界という男子高校生のロマンにたどりついたのだから、楽しまなきゃ損だろう。
そういえば、神のルールで思い出したが、今の俺の姿は日本にいた頃とは若干異なっている。髪は白髪だし、目は薄い赤色というか朱色といったところだ。ちなみにステータスの名前が変わっていることにも気づいた。どうやら、こういった格好でないと目立つそうだ。神から聞いた話によると、この世界では黒髪黒眼は勇者だけだそうだ。まぁ、そうなるとこの格好も頷けるというものだ。
さて、無駄話はこの辺にして、そろそろ強くなる方法とどうやってこの森からでるのかを考えないと。まったく、神も人里にだしてくれればいいものを・・・なんでこんなハプニングが起きそうなところにだしたのか・・・。さて、と。とりあえず、水も食料もなんにもない状態からは脱しないと!
ゼェハァゼェハァ。
俺の荒い息音だけが森に木霊している。
はい!ここでみなさんに問題でぇ〜す。僕は何時間歩いたでしょうか!?
シンキングタァ〜イム!チクタクチクタクチクタクチーン!
こぉ〜たぁえはぁ〜、なんと1分!日本にいた頃の方が体力がありますね〜。これはいったいどういうことなんでしょうか!?異世界にいって強くなった小説は山ほど聞いたことがありますが・・・弱くなったなんて聞いたことがありません(泣)
俺もうダメかも。マジで無理だわ。だってここって魔物みたいなとんでも生物がウヨウヨいるのに、前よりも弱体化してるんだったら勝ち目ねぇ〜じゃん。俺、この世界でどうやって生きればいいんだよっ!
そんなとき、俺の前を青い物体が通っていった。俺はその物体を見たときに閃いた!
そうじゃん、最弱生物倒せばいいじゃん!、と。
いくら俺でも、流石にLvが上がれば強くなれるはずだ。大物を倒せるようになるまで、スライム狩りをしようと考えたのだ。
ふははははっ!我ながら素晴らしい案だ。そうと決まれば、サッサとスライム狩りに行こう! おっとその前に、これは記念すべき作戦となるのだから、作戦名をつけておこう。ん〜・・・、スライムは作戦名にいれておきたいよな?あ!後、俺が成長するっていうのも入れておきたいし〜・・・。
こうして俺はこんなくだらないことに一時間も費やした。
よし、決まった!作戦名はスライム成長作戦だ!・・・ってなんでスライムが成長してんだよッ!
まぁ、なんやかんやあって俺はスライムの前に来ていた。
「ふぅ〜〜〜、すまないが俺の成長の糧になってもらうぞッ、スライム!」
そう言って俺は最弱生物に殴りかかった。結果は・・・ポヨンポヨンとリズミカルな音色を奏でただけだった。泣きそう。マジで泣きそう。俺、こんな奴より下なんですか?
俺が膝をがっくりと曲げていると・・・何を思ったのか?スライムがこちらを振り向いた。スライムの核がこっちをジィ〜と、見ている。俺は訳が分からずスライムを見つめ返した。見つめ合うことしばし。いきなり、スライムが襲いかかってきた。
え!?、なんで?とパニック状態になった俺はスライムのタックルをもろに受けてしまった。
衝撃は思ったよりもずっと重く、俺は受け止めきれずに木に叩きつけられる。
「ガッ!、ハァッ。」
肺に入っていた空気が全て吐き出され、体当たりを受けた部分が陥没しているのが目に入る。ヤッベッ!これ、どう見てもあばら逝ってんだろ。
俺は痛みで冷静になった頭でこの状況を脱するために、相手の力量を測るために真眼でステータスを見た。
ステータス
名前 無し Lv.1
種族名 スライム
HP 50/50
MP 20/20
体力 ∞
筋力 50
敏捷 100
知能 10
耐久 70
魔攻 5
魔防 5
スキル 無し
種族・固有スキル 融解Lv.1
ハッ、なんだよ・・・俺って最弱以下だったってことかよ。もうこれじゃあ勝ち目マジでねぇわ。
俺はゆっくり近づいてくるスライムを見て諦観したように目を閉じた。