プロローグ
入学式に遅刻した少年高城交響は川辺に膝をついた。
「だから、無理。もう、無理!」
川辺に腰を下ろしながら、ゼエハアと呼吸をする彼は、周りを見渡して叫んだ。
「徒歩2時間はありえねぇって。普通車で送るなり、バスで行くなり、色々、方法があんだろうが!それをあのクソばばあが、「毎日歩くのも、健康に良いから歩いて行きなさい。」ない!マジでないです。」
若干、泣きが入りながらも喚いていた。
「いやね。確かに、俺だって少しは悪いと思いますよ。でもね、起きて8時半なのに歩けは、ないでしょう〜。だって、絶対、遅刻じゃん!」
ちなみにこの学校は、入学式が始まるのは、8時なので、彼は起きた時から遅刻は決定していた。起きた理由に関しても、先生の必死なモーニングコールがあったからにすぎない。
そんな風に愚痴りながら、石を投げて遊んでいると、不意に携帯が鳴りだした。
「うぉ!な、なんだ。携帯か。この感じだとメール?おかしいなぁ。母さんは基本、メールしてこないし、俺と母さん以外でメール知ってんの誰もいないし、イタズラメール、か?」
地味に交友関係が狭い少年だった。
「メールの題名は、っと。【勇者のサポートについて】イタズラ決定だな。削除っと。」
その瞬間、少年の周りを眩い光が覆い、カバンと携帯を残してきえた。