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こんな転生を望んだわけじゃない

作者: 琴梨

ちょこちょこ書いていたものを投稿します。

何番煎じになるのかならないのかわかりませんが書きたくて書きました。

私には兄と妹が一人ずついる。

兄は4つ上の22歳で、ウェルズリ・キャンベル。現在次期当主となるべく父の補佐という形で勉強中。金髪碧眼、整った顔立ちをしており、公爵家の跡取りということで結婚の話が山盛りにきている。

初めて兄の顔を見たとき、私は心の中で萌えた。大いに萌えた。幼い頃は今よりも大分髪色が薄く、白金の髪にキラキラ輝く緑の瞳が赤ん坊の私を見つめているのである。

yattaaa!!とか心のなかで叫んだ声は誰にも届いてないはずだ。

妹は3つ下。アイシャ・キャンベル。私とよく似た顔立ちをしている、オレンジがかった金髪に、薄い緑の瞳。子供の頃はよく姉妹に間違えられた。伏し目がちなその様子は、華奢な体躯と相まって儚げな雰囲気を醸し出している。

妹が産まれたとき、そのあまりにも可憐な姿を見て私はまたもや萌えた。

お姫様だ!お姫様が産まれた!!前世からの無表情スキルを発揮したため、その内心歓喜の様は誰も知らないはずだ。

幼い頃からクールな兄と無表情な私、(性格が)可愛い要素が足りなかった私達兄弟に天使を加え、成人した今でも仲の良い三兄弟である。

かくいう私はエドワード・キャンベル。王太子の幼なじみであり近衛騎士。男である。



そう、男なのである。

憧れのTS転生。

――私は前世、女だった。高校を卒業して、大学ライフへの期待に胸躍らせ、一人暮らしをするために部屋を借りたり家具を買おうとして。

……そこから、記憶がない。おそらく死んだのだろう。でなければ、今世の私に産まれてからの記憶があることに説明がつかない。いわゆる生まれ変わりということで納得がいく。まあそれはいいのだ。色々とやり残した事はあると思っているが、その分こちらでやりたいことをやればいいと思っているので。それはおいといて、私はいわゆる腐女子というものにあと一歩でなるかならないか、という感じの、アニメ声優二次元大好きな乙女であった。

……断じて腐女子ではなかった。そこまでではなかったはずだ。

……ま、まあ、それはおいといて。例に漏れず(?)転生ものの小説も好きであった私は、死んだら乙女ゲームの世界に転生して、ムフフ…とか、生まれ変わったら男になってウフフ…とか、夢想する時間が至福の一時となっていた。そして、新しい人生に目覚めた私は、やった剣と魔法の世界キターーーーっ!しかも転生ものの小説のなかでも特に大好きな、TS転生というものをしてしまっていることに狂喜乱舞した。

(実際はかなり魔法の比重は少なく、魔法や魔法使いを実際に見たという者はあまりいなかったし、私も使えない)


……と、思ったが。

転生してみて後悔した。前世の記憶が残っているため、心は女性なのに体は男性。第二次性徴を迎えた10歳頃から数年、悶えて枕に突っ伏す出来事が往々にあった。特に朝が…朝がっ!

それに一番大きい理由は無駄にキラキラしい、王太子殿下のせいである。

殿下は兄とはまた別のイケメンである。王家の正当な後継者の証である、太陽のような金色の髪に、すっきり晴れ渡る空のような水色の瞳。顔の造形は彫刻のようであり、引き締まった長身とバランスのとれた肢体。

兄がクールな美形なら殿下は優しい爽やか美形。私の中で、兄と合わせて二大イケメン。


……このイケメン、外見は非常に良いのだが、中身が残念なのである。


「えーと、エド、何か失礼なこと考えていない?」

「いーえ?敬愛する殿下に対し恐れ多いことなど、この私が考えるはずありません」


さらりとかわし、澄ました顔で側に控える。



高スペックな今世の私。国有数の勢力を誇る公爵家という家柄に、外見、身体能力、頭脳。どれをとっても人に褒められるレベルのもので。転生して新しい人生を送るには、良すぎるものである。

でも、この想いだけは上手くいかない。



私は殿下が好き。いつからその想いを抱えていたのか、殿下を見るたび、言葉を交わすたびに私の心の中の女の部分がキュンキュンするのだ。

その想いに気づいてからは、仮面を被ることにした。想いがもれないための、心に被った見えない仮面。

無表情に加えて仮面を被った私は相当可愛くないだろう。

だが殿下は私の想いなど知らずに、数々の女性と浮名を流している。いや私の想いがバレたら、外から見れば同性愛者となってしまい、私は死にたくなるほど恥ずかしいのだが。

……ともかくその女好きな部分が殿下の残念なところ。

今日も時間になったので他の近衛騎士と交代するため執政室へ行くと、部屋の外に近衛騎士が出ている。戸惑ったように赤い顔で控えている近衛騎士は、今年騎士になったばかりの新人だと記憶している。何か嫌な予感がしながらも扉をあけると。それなりの地位にいると思われる、貴族のご婦人らしき女性が椅子に座る殿下に跨っていた。


仕事しろ!


怒鳴らなかった私は偉いと思う。

仕事中の私の仮面はこんなことくらいで外れない。コホンと咳払いし、氷点下の視線を殿下と相手の女性に投げかける。

二人の甘い雰囲気が一気に冷たく凍える。

大体なんで執政室まで入り込めるんだ。王宮のこの辺りにはおいそれと入れるものは滅多にいない。きっと誰かが――といっても殿下しかいない――招き入れたのだろう。

女性が名残惜しそうに部屋を出ていくと、私はため息をついた。

……これさえなければ、本当に文句のつけようがない方なのだが。


「殿下、理想の女性っていないんですか」昼の休憩を挟み、夕食を執政室で取り、もう少しで仕事が終わろうとした頃。私は殿下に疑問をぶつけてみることにした。女性との噂が絶えないにも関わらず、長続きしないのか、本気と思えるような相手がいなさそうなのである。

殿下は形の良い顎に手を添えて、視線を上の方に彷徨わせながら考える。

「う〜ん、そうだなぁ。僕は顔はアイシャ、性格はエドが好みかな」

それって私が女ならいいってことか!?

自分がこのまま女になった姿を想像してみる。幸い顔は兄弟であるアイシャと似ているため、あまり違和感がない。

「アイシャはやりません」

そうか、好みなのか。

いやちょっと待て。こんな無愛想が好みなのか。殿下の好みってどうなってんだ。

自分の意に反し緩みそうになる頬を叱り飛ばし、若干強張った表情を維持しながら、

「それよりも気持ち悪いこと言わないでください。嬉しくなんてありませんからっ」

そう、言い捨てて交代の近衛騎士と代わるために部屋から出ていった。


殿下は一人になった部屋で呟いた。

「エドってツンデレだよね」






それから。

ある日城に間違って入り込んでしまい困っていた魔女を助けたり。

何かお礼に一つ願い事をかなえようと言われたので、願い事ねえと考え込んでいたらいつの間にか女に性別を変えられていたり。

おいおいおいちょっと待て。

と思わないでもなかったが、体が縮み服がぶかぶかになったせいで人前に出ていけなくなった私は物陰に隠れながら侍女を呼び止め、おんな物の服をなんとか持ってきてもらい控室まで帰れたもののちょっとした騒動を呼び起こしてしまったり。

家族から「もう一人娘が(妹が)(兄が)欲しかった」と言われあっけないほどすんなりうけいれられたり。

女性化した私を見て王太子が顔を真っ赤にしたり。



そんなことは、また別の話なのである。




拙い文章ですみません。

なかなか長く書けない…

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