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本部


ジンたちが奇襲を受けていた時、

本部である騎士団駐屯所も敵襲にあっていた。


違和感が騎士団長フランシスの頭をよぎる。

これまでも幾度となく団の動向が漏れていたのだ。

作戦が漏れることもありうると思っていた。


しかし、本部にまで襲撃が来るのは予想外だ。

そもそも裏ギルドに3カ所で戦線を維持しながら、

本部にまで攻撃を仕掛ける戦力があるとは思っていなかった。


戦力を見誤っていたのか、

それとも新たな戦力が加わっているのか、

何かしらの計略によるものなのかは分からない。


ただ、このままではマズい。

本部には増援用の余剰戦力を配置していたため、

陥落はしないだろう。


だが混乱した状況では

援軍要請を受けても戦力を出せないのだ。

本部は無事でも、

各戦線が全滅しましたでは洒落にならない。


隣国では革命戦争の真っ最中。

こちらに影響が来る前に膿を出しておこうとした男爵の考えは間違いではなかったハズだ。

しかしこんなにも敵戦力が大きいとは。



幸いにも味方が敵を食い止めているため、

自分は対応を考える余裕が与えられている。

つまり、今のうちに対策を考えなければならない。


「伝令です!」

む、戦線にも動きがあったようだな。


「南西戦線及び、東戦線のアジトは無人。その後現れた敵戦力によって足止めされています!」


足止めだと?

見てみると本部に来ている敵も少ない。

制圧が目的ではなく、

こちらも足止めが狙いか。北西戦線からは伝令が来ていないところを見ると、

敵が本気で潰そうとしているのは北西というわけだ。



混乱した状況では多数を送ることはできん。

少数精鋭か……。

「デイン!本部指揮を任せる!アルベルト、マーカス、ジェイク、クラムはついてこい!北西へ向かうぞ!」


今はこれぐらいが限界だ。

北西が完全に陥落さえしなければ、

まだ全体としては有利な形勢が作れる。



通りを駆け抜けようとするが、

足止めを狙ってるというだけあって、

いつまで先が見えない。

このままでは埒があかんな。

ふん!背中のクレイモアを降り下ろすだけで立ちふさがった敵を両断する。

後ろの部下たちも圧されてはいないが、

手間取っているようだ。


数が多いというわけでは無いが、

明らかに時間稼ぎを狙っている。

これだけ回避と防御に専念されてはなかなか倒せない。


遠くに見えるあれは味方か?

それっぽい格好の奴が戦っている姿が見える。

違ったら困るが行ってみるしかないだろう。

状況から考えてあれは北西戦線の伝令の可能性が高い。


こちらに背をむけていた敵を凪ぎ払い、

右から来た新手の攻撃を手甲で受け流して、

こちらも剣を振る。

たった50m程度の距離が全く埋まらない。

味方らしき戦士がいるというのに……。

これでは……。



どこから現れているのか把握できないが、

敵の数が減っている感じがしない。

兵を小出しにしているのか?


このままダラダラと戦い続けていては

何かしらの情報を持っているであろう

あの味方がやられかねない。


もう一度後ろを見ると、

部下たちは離れてしまっているものの、

全員まだ大丈夫そうだ。



「おい!そこの!」

伝令みたいな奴に向かって叫ぶが、

こちらに気づかない。

せめて名前が分かればこっちに注目させられるだろうが、

これだけの喧騒の中ではろくに声が届かない。


こうなったら仕方ない。

力を温存しておきたかったが、

そう言ってる場合ではないようだ。


周りの敵と戦いながら精神力を高める。

剣に術式付加。

「うおおぉお!エターナルブリザード!」

俺の正面から伝令のすぐ手前まで一直線に氷の刃が地面から突き出る。

真上にいた敵を貫き、

近くにいた敵を凍らせる。


「砕け散れ」

敵を含めた氷全てが粉々になった。


一時的だが道が開けた。

敵が怯んでいる間に駆け抜ける!

「お前は北西戦線の伝令だな!?」

「騎士の方ですか!?北西は作戦決行前に敵に包囲、奇襲されて動けません!団長に援軍を出していただけるようお伝え下さい!」

「私が団長だ」

兜を被ったままでは分からなかったのだろう。

伝令は驚いたような顔をしたが、

構っている余裕はない。


後ろを見るとさっきの術式で突っ切った分、

更に仲間たちと離れてしまった。

全員でここを突破するには時間がかかりすぎる。

この味方を一人にするわけにも行かない。

なら、

「聞こえるかジェイク!!俺は先に行く!お前たちはこいつを加えて、ここを制圧しろ!」


聞こえただろうか。

僅かに頷いたようにも見えた。

確認している時間は無いし、

例え伝わっていなかったとしても、

あいつらなら理解してくれるハズだ。



さて、走り抜けるか……!

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